福井県のご当地グルメ
福井県を代表するご当地グルメと聞いて思い浮かべるのはソースカツ丼?それともおろしそば?いえいえ、消費量日本一を誇る『油あげ』の存在を忘れてもらっては困ります。
厚揚げと油あげの違い
どちらも豆腐を油で揚げたものですが、外側の表面だけを揚げたのが厚揚げで、こちらは豆腐の食感が大きく残っているのに対し、薄切りの豆腐を使用して内部まで揚がっているのが油あげです。
谷口屋のおあげとは
谷口屋は、大正14年創業の歴史を持つ福井県の高級豆腐の老舗です。自然に恵まれた越前・竹田村で創業以来90年、当時から変わらない伝統の製法で一枚一枚、心を込めた手作業を守り続けています。
味と大きさに誰もが驚く、代々受け継がれてきた唯一無二の油揚げ。
表面の皮はカリッと揚がっていて香ばしく、サクサク、カリカリとしたその食感はまるでクロワッサンのよう。じんわりとしみ出す、菜種油と大豆の何とも言えない旨味が口いっぱいに広がります。美味しさの秘密は、質や産地にとことんこだわりぬいた材料や素材のみを使っているから。そして、伝統の技を受け継がれてきた熟練された「揚げ師」だけが一枚のあげにつき約1時間、揚がり具合を見ながら100回以上手作業でひっくり返しじっくりと揚げてるからです。
機械製造や他では決してまねできない伝統の「谷口屋の油あげ」をどうぞご賞味くださいませ。
谷口屋WEBサイトより引用
三代の永きに渡り守られてきた伝統、こだわりにこだわった素材、熟練した揚げ師が時間をかけて丁寧に手作業で作っているこの油あげは、他の油あげとは明らかに違うのです。
ということで今回は連休を利用して、油あげ消費量日本一という福井県の中でも日本唯一という油あげレストラン『谷口屋』へとやってきました。谷口屋の営業開始時間は10時半ということなので、早めの到着を目指しまして「昼ごはんにはちょっと早いかな~」と余裕の表情だったのですが、到着したのが10時40分くらいだったでしょうか。
「ええっ!?もうこんなに人がいる!!」
車も既に多い……というか、前回来た時と比べて随分と雰囲気が変わっちゃってました。駐車場は広くなっているし、工場っぽい建物も新築されているじゃありませんか。そう、実は筆者がこの谷口屋に訪れたのは約2年ぶりで今回が3回目なのです。秘密のケンミンSHOWで紹介されたというのは前回訪れた時に知りましたが、谷口屋のWEBサイトを確認してみましたところ、それからも様々なメディアに紹介されているようなので、きっと全国的に有名になったということなのでしょうね。
では恐る恐るレストランへ足を踏み入れてみると……
『20組待ち 約80分』
ギャーーーッ!!
これがもし筆者の住む地元のお店であったならもう光の速度で諦めていますが、富山からわざわざ福井まで来てしまったのでここはもう覚悟を決めて並ぶしかありません。
しかし皆様ご安心下さい。前回来た時にはなかった素晴らしいシステムが新たに導入されていたのです。そのシステムとは……
『自動受付発券機!!』
しかも順番が来る8組前に自分の携帯電話への呼び出しもしてくれるという優れモノです。ラーメン屋の列に並ぶのも億劫でしょうがない筆者にとっては実にありがたいシステムです。
サクっと受付したので後は待つだけなのですが、何かしようにも周りには山しかないので必然的に直売店でお買い物に勤しんだり、スイーツなど嗜みつつテラスで愛について語り合ったりしながら優雅な一時を過ごすことが出来ます。
80分待ちとのことでしたが、30分ほどで呼ばれました。
レストランの店内は小奇麗で手入れが行き届いていて、前回来た時となんら変わりはない様子です。
それでは何を注文するかですが、「今回こそ何か別なものを」というのがチラッと頭をよぎるのですが、筆者がこのお店に訪れるのは2年に一度あるかないかです。となると、やはりここは一番食べたいものを注文したいじゃないですか。ということで今回も谷口屋の名物『油あげ』と、福井のご当地グルメ『おろしそば』がセットになった『1枚おろしそば御膳』をいただくことにします。
1枚おろしそば御膳
油あげ1枚・おろしそば・日替わり豆腐・日替わり惣菜で¥1,600(税込)
黄金色に輝くこの油あげの見た目の美しさにまず目を奪われます。この油あげはお店側で食べやすく切ってもらうことも出来ますが、箸で切って食べるのがオススメとのことなので、このまま箸でいただくもよし、本能の赴くままにかぶりつくもよし、もう好きなようにいただいちゃって下さい。
この分厚さ!通常の油あげは薄く切った豆腐を揚げますが、こちらの油あげは豆腐一丁を丸ごと揚げているので見た目の迫力がまず違います。
まずはそのままで
箸を入れると凄まじく弾力がありまして、箸でちぎるのもそれなりに力がいります。でも箸でちぎったほうがタレに絡みやすいとのことなので、そこはもう踏ん張りどころですね。
では、まずそのまま何も付けずにいただいてみます。こちらのレストランで提供されるのは全て揚げたてとのことなのですが、口へ運んでみると油っぽさなど微塵もなく香ばしさしか感じられません。外側の「カリッ」とした食感、そして噛んでいくごとに「もちっ」とした食感と口の中に広がる大豆の甘みと旨味には、長距離のドライブも報われた思いです。
次に越前塩をかけて
油あげの生地には福井県の越前海岸で越前塩を作るときに出来たにがりを使用しているとのことなので、この塩との相性が抜群なのはもう食べる前からわかろうというものです。この塩でいただいてみますとただ単に塩っけを足したという単純な味の変化ではなく、相乗効果なのか確実に旨味もアップしています。これがまた本当に美味しいんですよ。筆者的に超オススメです!!
そして薬味と専用のタレで
油あげとタレの旨さが絡み合い、さっぱりとしたネギと大根おろしの風味が全体を爽やかに引き立てます。筆者は塩とタレを交互に食べていましたがこれがもう幸せすぎて、どれだけでも食べれちゃいそうな気になっていましたね。
おろしそば
つるつるっとした麺に冷たいダシ汁がかかっていて、薬味として最初から大根おろし・ネギ・鰹節かかかっています。実にさっぱりした味わいでサラサラッと食べてしまえます。
日替わり惣菜・豆腐
この日の日替わり惣菜は爽やかなキュウリの酢の物でした。
そして日替わり豆腐ですが、「油あげ(豆腐)があるのに、さらに豆腐がつくの?」と思う人もいるかもしれませんが、まったくタイプの違う豆腐なのでとても美味しくいただくことが出来ました。油あげ用のタレとは別に、この豆腐専用のタレもあるんです。
食べ終わって
この油あげの美味しさはステーキやマグロの大トロのような派手な味わいではありませんが、日本人ならきっと誰もが安心する温かい味わいだと思います。そしてこの油あげの原料となる水・大豆・にがり・油などは、全てにおいてこだわりにこだわったものを使用しています。
しかしこの谷口屋では『特別な材料』と『優れた技』だけあればそれで良しとはしていないのです。
特別な材料と優れた技があれば素晴らしい油あげが必ず出来るというわけではありません。製造に携わる全ての職人たちの「美味しいおあげをお客様に届けたい!」という「気」を常に注入しているからこそ、谷口屋の油あげは感動の美味しさがあるのです!
谷口屋WEBサイトより引用
そうなんです!!この油あげは原料や製法も本当に素晴らしいのですが、何よりも作り手の心がこもっているんですね。大正時代から現在に至るまで、油あげというものをこれほどのものに昇華させた素晴らしいこだわりと伝統が守られているというのがいただく側にも伝わってくるからこそ、我々は感動と尊敬の念を抱かずにはいられないのです。
これは実際に食べてみれば、決して大げさな表現ではないということが分かっていただけるのではないかと思います。
なぜなら、食べ終わってお店から出るとき、
120分待ちの状況でしたけど、それでもここの油あげが食べたいんですっ!!
谷口屋
住所:福井県坂井市丸岡町上竹田37-26-1
営業時間:AM10:30~PM3:00 冬期(11月~3月)AM11:00~PM3:00
不定休:WEBサイトのカレンダーにて告知あり
URL:http://www.taniguchiya.co.jp/