就活生必見! 距離、時間、コストの壁を越える「Ustream会社説明会」とは?

  by 青木 勇気  Tags :  

※「就活ライブチャンネル」HPの画面キャプチャーです

東日本大震災における活躍が記憶に新しい「Ustream(ユーストリーム)」。ライブビデオストリーミングなどのプラットフォームを提供する動画共有サービスだ。視聴者とのチャット、視聴者からの投票などの機能があり、手軽に「生放送」ができるため法人個人問わず積極的に利用されている。まだまだ成長過程ではあるものの、玉石混淆のソーシャルメディア業界において、様々なビジネス・サービスを生み出しうるポテンシャルの高いプラットフォームと言えるだろう。

今回は、筆者が注目するいくつかのサービスの中から、総合人材サービス企業であるソフトバンク・ヒューマンキャピタルが運営する「就活ライブチャンネル」を紹介したい。HPをご覧いただければ分かるが、このサービスのポイントは「地方学生・留学生のためのオンライン会社説明会」というところにある。つまり、学生に、いつでも、どこでも、オンラインで「会社説明会」に参加できるメリットを提供しているということだ。

たとえば、地方学生の就職活動においては、東京の本社に面接を受けにいくためにかかる往復の交通費(場合によっては宿泊費)、時間は馬鹿にならない。また、当然ながら情報格差もある。首都圏に比べると、就職フェア、会社説明会、各種セミナー、OB訪問などの仕入れ先が少ない。結果的に、選択肢を狭めることになってしまう。そんな状況がある中で、ソーシャルメディア(Ustream)を利用し時間と距離を埋めるソリューションとなるのが「就活ライブチャンネル」なのだ。

一方、企業側にもメリットがある。人気の企業であれば「集客」においては困らないし、大手企業であれば主要都市の支店・支社で現地採用することが可能である。しかし、知名度の低い中小企業や成長過程にあるベンチャー企業などは、その存在を知ってもらうことからはじめる必要があり、地方学生をターゲットにするのは物理的に難しい。だからこそ、「就活ライブチャンネル」を利用してオンラインで会社説明会を行い、ソーシャルストリーム上で学生とコミュニケーションを取り、サイト経由でエントリーしてもらうことに意味がある。

もちろん、「Ustream会社説明会」はTwitterやFacebookと同様にひとつのツールに過ぎないが、工夫次第で効率的な採用活動ができることを証明した例は少なくない。ある芸能プロダクションは、会社説明に加えて所属タレントを出演させたり、座談会形式で仕事におけるエピソードや社風、職場環境を社員に語らせることで視聴者の心を掴み、相当数のエントリーを獲得したとのことだ。

■ 採用活動に直結させるだけでなく、仕事観や生き方の啓蒙も

また、「就活ライブチャンネル」では、就職活動に直結する会社説明会だけでなく、仕事観や人生観そのものを啓蒙するコンテンツも配信している。たとえば、田原総一朗氏、茂木健一郎氏、松田公太氏等、著名人や専門家を論客に迎えた対談番組、講演会など、中には大学生をスタジオに招き、出演者に質問できるイベントもあり、人気を博している。

他にも、経団連による倫理憲章の見直しがあり、就職サイトのオープンも2カ月後ろ倒しになった2013年度の就職活動支援として、業界を代表する企業の経営者、社員が登場し“業界の今”を語る「就活ライブチャンネル 業界研究」というコーナーも設けた。漠然と知っている企業にエントリーするのではなく、まずは業界を知り、そこにどんな仕事があるかをイメージすることを問いかけることが狙いだ。

筆者自身、昨年大学三年生に取材する機会があり、就職活動含めどんな日常を送っているのかを聞いたが、「どんな業界、会社、仕事があるかわからないため、何から始めるべきか知りたい」という声が多かった。また、ゼミやテスト、サークル、バイトなどで忙しくしていて、三回生の夏休みくらいまでは就職活動をしている学生はごく一部らしく、就職活動を始めるにあたって「業界研究コンテンツ」のようなものが容易されていると非常に助かるとも言っていた。学生にとって必要なのは、内定を獲得することを目的にしたノウハウだけではないのである。

サービスとして、デバイスやネット環境に依存する部分は否めず、ビジネスモデルや集客にも改善の余地はあるだろう。だが、時間と距離の問題を解決し、仕事観の育成を目指す「Ustream会社説明会」の存在意義は決して小さくない。今まさに就職活動中の学生の方、これまでとは違った方法で学生にアプローチしたい企業人事の方は、一度「就活ライブチャンネル」をチェックしてみてはいかかだろうか。

青木 勇気

Webプロデューサー/事業開発/文筆家。ヘルスケアサービス「Doctors Me(ドクターズミー)」を運営したり、「Yahoo!ニュース 個人」「アゴラ」等で記事を書いたり、小説を出したりしています。

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