豚骨と鶏ガラでとったダシに辣醤(ラージャン)や白菜、ニンニクの風味が加わった塩辛いパンチのあるスープ。
黄色がかって少しだらしなくちぢれた細麺。
家系、二郎系、魚介系にべジポタ系……いかなブームや新波が起ころうとかたくなにそのスタイルを守り続ける潔さ。
それが今回ご紹介する『サイカラーメン 大阪上六店』だ。
言わずと知れた奈良県人のソウルフード『天理ラーメン』の元祖チェーンだけに
「なぜに大阪の店舗?」
と思われる方も多いだろうが筆者がプッシュしたいのはその立地。
サイカチェーンの中核となる本店(奈良県天理市)、屋台店(同市)などは残念ながら都会や観光地と呼べる地域にはなく、また駅からも遠い。
他県の方が訪れようと思っても観光ついでにふらっと寄ることは難しいし、行き帰りだけで一日仕事になってしまうのだ。
その点、この大阪上六店は大阪ミナミの主要エリアからほど近い大阪上本町駅から徒歩2分。
新歌舞伎座や近鉄百貨店、シェラトン都ホテルなどの有名施設が近いので、なにかの用事で近くに行くという方も多いないだろうか。
さて、大阪上六店は駅から上町筋沿いに北上するとすぐ右手に見えてくる。
小さなビルの一階にあり、行列ができるほどではないがいつもお客の出入りが絶えない人気店だ。
サイカラーメンにはいくつかのメニューがあるが、ビギナーの方に外してほしくないのは本道「サイカラーメン」と「ライス」。
筆者はいつもサイカラーメンの大に備えつけの豆板醤とニンニクをスプーン一杯ずつ投入する。
他のラーメンであれば味が崩れるところだが、サイカラーメンはそもそもの風味のウェイトを占辛みとニンニクがめているので心配ない。
むしろ”スタミナ感”が増して味の世界観が補完されるのだ。
サイカラーメンのスープを構成するのは白菜と豚バラによる甘み、醤類によるピリッとした刺激、ダシとニンニク、ニラによるあと口の広がり……まさにオーケストラ。
一貫して旨みが絶えないのでちょっとやわらか目のちぢれ麺との相性ピッタリだし、それ以上にライスとのマリアージュっぷりは半端ない!
筆者はサイカラーメンを食べながらいつも考えさせられる。
「このボリューム……具材のおりなす複雑玄妙さ……麺もライスも包み込む守備範囲の広さ……これはもはや”鍋”じゃないか!」
そう!サイカラーメンは鍋!
ラーメン誕生のはるか以前から日本人のソウルフードであった鍋の境地に至っているのだ。
これが日本のふるさと、ソウルの源である奈良で生み出された事実は偶然とは言いがたい。
「いちいち奈良まで行ってらんねーよ」
という方もせめて大阪までは足を運んでいただいて、ぜひ味わっていただきたい逸品である。
彩華 大阪上六店 (サイカラーメン)
TEL 06-6762-2878
住所 大阪市天王寺区上本町5-3-18
営業時間 11:30~翌2:00
定休日 なし
http://www.saikaramen.com/