デジタル広告のブロッキング・ソフトウェアは、ユーザを増やすが、広告主を多少混乱させる。 2015年8月14日
By eMarketer
デジタル広告のブロッキング・ソフトウェアのおかげで、インターネット・ユーザは、マーケッタや広告主が提供する、広告のユーザ経験よりも、広告に邪魔されない、インターネット経験を享受する傾向がある。
これに対し、マーケッタや広告主は、クルーセル的なビデオ広告や、ユーザの嗜好や関心に合わせたターゲティング広告、および、分かりやすく製品を紹介する、ネーティブな広告コンテンツといった、新たなデジタル広告のユーザ経験を提供している。
eMarketerの「Digital Ad Blocking: Will Escalating Usage Imperil Marketing, Monetization Efforts」レポートによると、デジタル広告の利益における、広告ブロッキングの効果は、最小であったが、広告ブロッキング・ソフトウェアの採用が、より広く普及するようになれば、状況は、より早く、変化するようになるという。
1)2015年6月に実施した調査に基づく、広告ブロッキング・ソフトウェアを使用する、デバイスのタイプごとの、英国と米国のインターネット・ユーザの割合
回答者の割合(%)
デバイスのタイプ 米国 英国
デスクトップ 41% 34%
スマートフォン 11% 7%
タブレット 7% 7%
ソフトを使用しない 53% 61%
ソース:Oxford大学、2015年6月15日
eMarketerの調査データによると、米国のインターネット・ユーザの約10%から15%が、デジタル広告を、積極的にブロックすることに意味があると回答している。
eMarketerによると、中でも、より若い米国のインターネット・ユーザが、広告ブロッキング・ソフトウェアを使用している割合が高いという。
2014年2Qに、Adobeとパートナーを組み、PageFairが実施した、広告ブロッキング・ソフトウェアの使用状況の調査によると、2014年6月の1ヶ月間に、広告ブロッキング・ソフトウェアを使用していた、世界のインターネット・ユーザ数は、1億4400万人で、世界のインターネット・ユーザの4.9%に相当していた。
PageFairとAdobeの調査レポートの2015年8月版によると、2015年6月の1ヶ月間に、広告ブロッキング・ソフトウェアを使用していた、世界のインターネット・ユーザ数は、1億9800万人に増加しており、世界のインターネット・ユーザの6%に相当していた。
ちなみに、PageFairとAdobeの2015年8月版の調査レポートによると、広告ブロッキング・ソフトウェアを使用していた、米国のインターネット・ユーザ数は、4500万人であり、すべての米国のインターネット・ユーザ数の16%に相当していた。
Oxford大学でジャーナリズムを研究する、Reuters Instituteの2015年6月のレポートによると、米国において、広告ブロッキング・ソフトウェアを使用している、インターネット・ユーザ数は、以前よりも多くなると予測している。
Oxford大学の調査によると、米国のPCユーザの41%、および、米国のモバイル・ユーザの11%が、広告ブロッキング・ソフトウェアを規則正しく使用しているという。
PageFairとAdobeによる、2015年6月の調査によると、ヨーロッパのインターネット・ユーザの広告ブロッキング・ソフトウェアの使用率が、約9%から38%に、大きく増加していたことが判明した。
ギリシャとポーランドのインターネット・ユーザの広告ブロッキング・ソフトウェアの使用率は、それぞれ、37.5%と34.9%であった。
スロバキアとフランスのインターネット・ユーザの広告ブロッキング・ソフトウェアの使用率は、それぞれ、8.9と10.3%であった。
2)2015年5月における、米国の広告代理店の専門家による、広告ブロッキング・ソフトウェアに対する、関心のレベルの割合
関心のレベル 割合
大きな関心がある 9.0%
ある程度関心がある 46.3%
あまり関心がない 44.8%
ソース:Strata、2015年6月16日
Strataによる、2015年5月における調査において、米国の広告代理店の専門家の44.8%は、広告ブロッキング・ソフトウェアが、自分たちの顧客に関することに心配ではなかったと回答した。
米国の広告代理店の9.0%だけが、広告ブロッキング・ソフトウェアに、大きな関心があると回答した。
米国の広告代理店の46.3%が、広告ブロッキング・ソフトウェアに、ある程度関心があると回答した。
さらに、米国の広告代理店の44.8%が、広告ブロッキング・ソフトウェアに、あまり関心がないと回答した。
3)2015年2Qに、Webサイトのカテゴリごとの、世界のインターネット・ユーザが、広告ブロッキング・ソフトウェアを使用している割合
Webサイトのカテゴリ 割合
ゲーム 26.5%
ニュース・グループ 24.2%
成熟コンテンツ 19.7%
SNS 19.1%
技術/インターネット 17.0%
教育 16.9%
スポーツやリクリエーション 15.5%
エンターテイメント 15.0%
金融サービス 13.3%
自動車 11.2%
検索エンジンやポータル 10.5%
レストラン 10.0%
ショッピング 7.2%
ソース:PageFairとAdobe、2015年8月10日
PageFaireのデータは、いくつかのWebサイトのカテゴリへの、世界の訪問者の25%以上が、そのサイトを訪問するときに、広告ブロッキング・ツールを使用していたことを示している。