時おり、心がたまらなくつるうちはなさんの音楽を欲することがある。
何かにつまづいたり、行き詰まったりして、心が疲弊する。そんな時だ。
初めてつるうちさんの音楽に触れたのは3年ほど前、たまたま他のアーティスト目当てで見に行ったライブで、対バンとして出演していた。
キーボードをたたき壊さんばかりの勢いでピアノを弾き、ありったけの思いを込めてシャウトする姿と、聴こえてくるポップでメロディアスな曲が印象的だった。私は一発で彼女のファンになった。
その後、定期的に行われるライブに通うようになり、配信限定やミニアルバムといった形でリリースされる曲に耳を傾け続けた。
彼女の歌う歌は、いつだって自分と他者の“存在証明”だ。
夜と朝の間、今日と昨日の間、君とわたしの間、常に何かと何かの間で関わりをもって存在している自分を歌った『ID』、いつか自分が消えてしまった後も、生み出したメロディは歌い継がれるようにと願う『百年歌』、自分は自分、ひとりの人間であってそれ以上でもそれ以下でもない、堂々とそれを宣言した『I AM ア 人間』。
つるうちさんは、その魂からあふれだすような歌によって自分の存在を証明し、それと同時に、その曲を聴いているわたしたちの存在をも肯定してくれる。
自分の存在する意味が見えなくなったり、またそれによって不安を覚えたりする時、彼女の歌が聴きたくなるのはそのためだ。
しかし、今年の3月、彼女は音楽を発信することをやめてしまう。
後に語ったところによると、3月11日の大震災を見て「世界がまるっきり変わってしまった」と感じたのだという。
「はたして自分が音楽を続けることは人のために役立っているのだろうか」「もしかしたらファーストフード店でアルバイトをしている方が人の役に立てるのではないか」そんな思いにとらわれ、ライブ活動を停止した。
状況が変わったのは7月。8月13,14日に千葉と大阪で開催されるロックフェス“サマーソニック”。その出演者を一般から募る“出れんの!?サマソニ!?”という企画に応募、磯貝イモン賞と湯浅篤賞という審査員賞をダブル受賞し、出演が決まったのだ。
そこに選ばれたことで、あらためて「自分は歌っていてもいいんだ」と感じたという。
サマーソニック本番、いつも以上のエネルギッシュなステージでライブ復帰。その後は都内のライブハウスで活動を続けるとともに、初となるフルアルバムの制作に着手。来年1月11日に発売されることが決まった。
アルバムタイトルもずばり「つるうちはな」。発売に先駆け、先の『I AM ア 人間』のほか『YOU』『STEP』など、いくつかの曲のPVが彼女のオフィシャルYoutubeチャンネルで公開されているが、いずれも今までの曲同様、力強くポップな名曲ぞろい。聴きごたえのあるアルバムになることは間違いないだろう。
2012年1月11日、彼女の歌が世界を照らし出す日まであとわずかだ。
つるうちはなオフィシャルYouTubeチャンネル
http://www.youtube.com/user/tsuruuchihana?blend=21&ob=5
※画像はつるうちはなオフィシャルウェブサイトより http://tsuruuchihana.syncl.jp/