AppleとGoogleのパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)は、行動する前に、ユーザのニーズを予測する。 2015年8月3日
By Daisuke Wakabayashi and Alistair Barr、WSJ
AppleとGoogleは、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)で、ユーザのニーズを予測することで、互いに競っている。
世界のスマートフォンの殆どすべては、AppleのiOSベースか、GoogleのAndroidベースのスマートフォンであり、世界の殆どの、ポピュラーなモバイル・アプリを利用でき、ユーザが、尋ねる前に、必要な情報を提供してくれる、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)を利用できる。
AppleとGoogleは、スマートフォンを、ユーザのニーズに合った情報を提供したり、スケジュールを管理したりする、モバイル・デバイスに変える。
AppleとGoogleは、自分たちの専門や、得意分野の技術を、OSプラットフォームやPDAに反映させ、差別化に取り組んでいる。
Appleの次版のiOS 9オペレーティング・システムの新機能、Proactive Assistantは、ユーザの思考や行動パターンを学習し、iPhoneに保存された情報を利用して、ユーザを支援する。
これに対し、Google Nowは、クラウド・ストレージのユーザのデータや検索履歴から、適切な情報を探して、ユーザを支援する。
AppleとGoogleは、両社のそれぞれの強みを強調するために、2015年秋にリリース予定の、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)の新版に、自分たちの強みを強調した、新たな機能を提供する。
AppleのiPhoneのパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、Proactive Assistantは、ユーザが、どのアプリを、何時、どのように、どれぐらい長く利用しているか、といった情報を収集し、ユーザの行動パターンを把握するようだ。
さらに、Appleの「Proactive Assistant」は、ユーザが、望むことを予測するための能力を持っているという。
この能力は、スマートウォッチやコネクティッド・カーといった、将来のスマート・デバイスにおいても、重要になるだろう。
GoogleとAppleによる、取り組みは、パーソナル・デバイス分野において、「パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)」に、新たな波をもたらすだろう。
Microsoftは、「Cortana」と呼ばれる、Windowsオペレーティング・システムを搭載した、すべてのパーソナル・デバイスで利用できる、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)を提供している。
Amazon.comのパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)は、同社のEchoスピーカの内部に組み込まれた、「Alexa」である。
2015年5月に開催された、Googleの開発者コンファレンスにおいて、Googleは、旅行から帰ったきた、ユーザが、空港の駐車場の車に戻ったときに、Google Nowが、空港のガソリン・スタンドで給油した方がよいと、ユーザに警告している様子を事例として紹介した。
Googleによると、Google Nowは、旅行者の旅行の日程を示す、メールやスケジュールなどと、航空会社により提供される、リアルタイムな出発データから、ユーザの帰着時間を推論できるという。
2012年に紹介された、Google Nowは、ユーザのWeb検索履歴やブラウジング履歴、Gmail、スケジュール、YouTubeといった、Googleのサービス、現在の位置や時間、および、アプリの使用履歴といったデータを収集し、ユーザを支援している。
Googleは、ユーザに、最も有用な推奨を提供するために、ユーザに関する、できるだけ多くの情報を欲している。
Appleは、より保守的なアプローチを取り、スマートフォンで、収集された情報に、自分たちを制限している。
Appleによると、iPhoneのProactive Assistantは、ユーザが、どのアプリを、何時、どれぐらい長く使用したかを把握しているという。
また、Proactive Assistantは、ユーザが、何処にいるか、何時、誰とコミュニケートしたかを把握しているようだ。
Appleによると、Proactive Assistantは、差出人や送受信日付といった、ユーザのメールの何らか情報を、控え目に収集して、カレンダに予定を記入したりするという。
しかし、Appleは、収集した情報の利用を制限しているので、Appleは、Google Nowが持っている機能の内の、いくつかを持っていないようだ。
近くリリースされる、AppleのProactive Assistantは、ユーザが、今後の会議やスケジュールなどに基づいて、連絡を取る人を示唆する、「Siri Spotlight」と呼ばれる、機能を持つだろう。
AppleのProactive Assistantは、ユーザが、レンタカーのオフィスの近くにいるときに、ガソリン・スタンドを見つけるが、情報を積極的には、送ることはないようだ。
Appleは、スマートフォンで提供される情報を探すときの、1つの例を紹介した。
AppleのProactive Assistantは、スマートフォンのカレンダーに記載された、次回のアポイントメントに間に合うよう、出発時間を示唆するために、渋滞情報や電車の運行状況などの、リアルタイムな交通データを使用する。
Appleのアプローチは、ユーザの定期的な行動を学習することに、焦点を合わせている。
例えば、ユーザが、練習しながら、朝に音楽を聴いているなら、Appleのスマートフォンは、ユーザが、朝、ヘッドフォンを耳に当てると、練習曲の音楽の再生を開始するようになるだろう。
Appleによると、スマートフォンは、ユーザに関して、多くを知っており、ユーザの情報は、スマートフォンに保存されるが、Appleにより収集されることはないという。
AppleのCEO、Tim Cook氏は、ユーザの情報を、マーケッタに販売することにより、利益を得ているという、Googleのような会社に批判的であった。
Googleによると、同社は、ユーザの情報を、他の会社に販売したり、他の会社と共有したりしていないが、ユーザの情報を、ターゲティング広告に使用し、広告の売上から利益を得ているという。
Googleと連携している、アプリ開発者によると、Google Nowは、ユーザと、どれぐらいの情報を共有するかに依存しており、より多くの情報を共有するユーザは、より適切な示唆が得られるという。
しかし、この利益に対し、Googleは、多くの個人情報を共有する上で、プライバシーの問題に関する、重み付けを考慮しなければならないだろう。
Northeastern州立大学で、メディアを学んでいる、23才の大学生、Dylan Russell氏は、Motorola Moto Xスマートフォンで、Google Nowをよく利用しているが、これまで、プライバシーの問題に遭遇したことはないという。
Dylan Russell氏によると、特に、探そうとしていた訳ではないが、Google Nowが、地元のレストランに関する情報や、地元の映画館で上映されている映画に関する情報を表示したのを見たという。
また、Dylan Russell氏によると、担当の教授から、宿題のレポートの作成を促す、メールが送られてきたときに、Google Nowは、リマインダーを作成したという。
2015年後半に、Googleは、ユーザが、アプリケーションで行っていることを理解し、示唆するために、テキスト認識や画像認識を使用する、Google Now on Tapを紹介することを計画しているという。
Google Now on Tapは、情報を、積極的に送ることはないが、ユーザが、取ろうとしている、次のステップを予想できるようだ。
例えば、友達が、夕方、特定のレストランで食事をしようと、テキスト・メッセージで誘うと、Google Nowは、そのメッセージを認識し、レストランに、テーブルを予約するために、OpenTableのような、予約アプリへのリンクと共に、そのレストランのYelpのレビュー、電話番号、スケジュール、地図を持つ、情報カードを作成することができるという。