今回は『Soul Kitchen』というアーティストの結成から活動方針その他を紹介しよう。
仕事をしながら音楽活動を行うのは当たり前
メンバー3人(サポートメンバー以外)が、すべて仕事を行いながら音楽活動を続けているバンド、『Soul Kitchen』を紹介したいと思います。
メンバー
- Vo.&Gt:田中俊輔
- Bs:古川伊織
- Dr:辻岡国治
バンド結成のいきさつ
2012年に夏に行われる市民イベント『墨田ジャズストリート』というイベントに出るために結成したバンド『サンクチュアリズム』で、この3名がいた。このバンドはその年の『墨田ジャズストリート』でのライブと、2013年2月に行ったライブで解散。夏のライブの前に、辻岡が田中に「ボーカル物のバンドをやりたいんだけど、一緒にどう?」と声をかけたのが結成のきっかけとなった。そして、2013年2月に行ったライブで『Soul Kitchen』デビューライブを行う。
メンバー全員が仕事をしている
メンバー全員(サポートメンバーも含めて)全て社会人として仕事を行っており、兼業アーティストとして活動している。よくアーティスト活動をしているとき、本業を持たずアルバイトをしながらバンド活動をしている人が多いが、このバンドは、仕事をして、土日を活用してのライブ活動に絞っている。当然、ライブ活動やリハーサルも土日になるので、多くの本数をこなせない。
仕事や家庭環境によって制約が多くなる
家庭や仕事の環境により、練習もままならないという人がほとんどで、社会人になると音楽はあくまでも趣味というスタンスが多い。彼らは、「他の人と同じ時間をつかって練習していたら、他の人と同じスキルしか身につかない。もっともっとうまくなるためには、普通の人が寝ている時間を使って練習するしかない」という。
仕事を持っていてもいい音楽は作れるし、演奏できる
月に何曲も新しい曲を作ってくる田中俊輔。彼は、他に『うどんタイマーP』の名前で『ニコニコ動画』で『ボーカロイドプロデューサー』としてボーカロイドの動画をアップしている。それ以外に『東方プロジェクト』のサークルにも参加し、そちらでもアレンジ等を行っているのだ。普通の人が、それこそ「寝ている時間」に、寝ないで作曲をし、PCを使って打ち込みの音源を作っているのである。
ベースの古川は、仕事を2か所で行っている。朝普通に出勤し、時間で終わると、次の職場へいき「専門オペレータ」として終電まで働いている。朝2時間早く起き練習したり、夜中寝ないでベースを弾いてスキルアップを行っている。
このように、メンバーは普通の人が寝ている時間に練習したりしている。そういう意味でも「本気」なのだ。
よく聞くのが、音楽を本気でやるために「正社員にならず」「アルバイト」をしているという若い人たち。その心意気は否定しないし、筆者も10代のころはそうやって音楽活動を続けていた。
が、よく考えてほしい。ほとんどの人は、生活のためアルバイトの時間が長くなってしまい、結果として途中で挫折する人が多くなる。決して仕事をしながらの音楽活動は片手間ではなく、本人の考え方次第なのである。
結成短期間でどこまでできるのか
『Soul Kitchen』では、1年先の予定を立てている。いつライブを入れるのか、いつレコーディングするのか。
CDのリリース日を決め、逆算していつごろレコーディングをしなければならないか。合わせて発売ライブに動員するためには、どういうスケジュールでライブを入れたほうがいいか。
また、今年はどういう動きをして、来年どういう動きをする。再来年は、、という形で大きな目標も立てている。
ほとんどのケースが「ただ漠然と誘われたライブに出ている」のではないだろうか。
どうしたいのか?がよく見えない活動が多い気がする。
趣味であるならば、それでもいいだろう。しかし、本気で上を目指しているのであれば、大枠のスケジュールは立てる方がいい。いや、立てるべきなのだ。
『Soul Kitchen』はどうしているのか。
結成1年目は、ネットを通じての知り合いに「お披露目」する1年とした。mixiやFacebook、Twitter等の知り合いに対し、『Soul Kitchen』というバンドを知ってもらうこと、その音楽を聴いてもらうことを趣旨とした。
幸い、音源を聞いたインディーズレーベルの『スタジオエイエス』が彼らの音楽を高く評価し、初ライブの3か月後にインディーズとしてCDデビューしたのだ。この時の持ち曲は、10曲を超えていた。
2年目に入り、関西への遠征も行い、知り合い以外の場所でのライブも増えた。多いときは月に6本というライブをおkなった。※平日に仕事をしながら、土日を使い、当然リハも行っている。平日仕事終わってからライブハウスに直行、ついて10分後に演奏ということもあった。
また、『Soul Kitchen』のメンバーということであちこちのセッションにも顔をだし、バンドを知ってもらう努力を行ってきた。1stアルバムもリリースした。
3年目に入り、いよいよより多くの一般の人に知ってもらう活動へと少しずつシフト。
野外のJazzフェスへの出演、地方の野外イベントへの出演などを行いながら、2枚目のシングル発売へ向けての、プロモーション活動。自分たちのラジオ番組開始、また、北海道から九州までのFM局(コミュニティFM中心)への音源の送付等。曲をかけてくれるという情報をネットで調べ、音源とバンドプロフィールの送付。これらのプロモーション活動を行い、実際に3か月間にわたり全国80局での楽曲の配信などを決定している。
ライブハウスには、同じジャンルが出てそうな、有名なライブハウスに音源とプロフィールの送付を行っている。
これらの活動が、結果となって来年2月にまる三年となる。すでに3周年記念としてワンマンライブができるようにライブハウスと交渉、日程を確保している。(ワンマンで埋まらないかもしれないが、それでも目標として設定してそれに向かって活動している)
そして、4年目に向けて。
来年の国内での大手夏フェスへの出演を視野に、ブッキングマネージャーへの打診、プロモーション、海外のイベントプロモーターとのやり取りなどを行っており、来年度は大型フェスの出演を中心に行うという予定を立てている。
ビッグになろうとしているインディーズバンド、メジャーを目指しているアマチュアバンドは、参考にしてみてはいかがだろうか。