三重県の津地方検察庁に、唖然とする公告が掲示されていて話題になっています。
なんと、「落し物として押収した覚せい剤を返却するので名乗り出なさい」というもの。
津地方検察庁によると、2008年に三重県のスーパーの店員が、レジの下から、医薬品が入ったカプセルを発見。三重県警が医薬品の成分を調べたところ、覚せい剤であることが判明。
三重県警は覚せい剤取締法違反容疑で捜査を行ったものの、被疑者を逮捕することができず、容疑者不明のまま津地方検察庁に書類送検。検察官が捜査を行ったものの、結局被疑者を逮捕できなかったため、押収した覚せい剤を落とし主に返却する公告を出したということです。
違法薬物を落とし主に返却するというのも、不思議な気がしますが、刑事訴訟法第499条には以下のように規定されています。
刑事訴訟法第499条
1.押収物の還付を受けるべき者の所在が判からないため、又はその他の事由によって、その物を還付できない場合には、検察官は、その旨を政令で定める方法によって公告しなければならない。
2.公告をしたときから6箇月以内に還付の請求がないときは、その物は、国庫に帰属する。
うーん、なんとも煮え切らない気がしますねえ。この事件の場合、違法薬物とはいえ落し物です。検察官が捜査のために押収したあと、捜査が終了したら、法令にのっとって、持ち主に返す手続きを取らなければならないということなのでしょうか。
ちなみに返却期限は、7月7日だそうですが、それまでに持ち主が現れない場合は捨てられるそうです。
さすがにないとは思いますが、もし落とし主が名乗りでた場合は、覚せい剤取締法違反で逮捕される可能性が高いのだそう。
我々の常識からすれば、なんともおかしな話に見えますが、果たしてこの厄介な落し物はいったいどうなるんでしょうね。
※写真はイメージ 足成より http://www.ashinari.com/2010/08/18-339910.php