日本政府 あと5年以内にジェネリック医薬品を80パーセントに

  by 松沢直樹  Tags :  

20日、日本政府は、高騰した医療費を抑制するために、2018年から遅くとも2020年度末までには、ジェネリック医薬品の利用率を80パーセントに推し進めることを示唆しました。
22日の経済財政諮問会議で議論する15年度の経済財政運営の基本方針にも、盛り込まれる予定です。

ジェネリック医薬品とは、特許権が切れた医療用医薬品を、他社メーカーが製造したものを言います。(後発品と呼ばれることも)

一般的に、医薬品は開発時に、開発メーカーが特許を申請します。そのため、15年間は開発メーカーが独占販売を行うことができます。
その後は、他社も自由に販売することができるため、安価に製造されることとなります。

安価であることと、すでに医師が処方した治療実績のデータがあるため、正確な副作用情報が把握できるなど、メリットが多いのも事実です。
しかしながら、開発されてから15年経過すると、陳腐化してしまって、実際の運用が難しいケースもありえます。たとえば、病原菌を殺す抗生物質は、市場に出回って医師が処方を繰り返すと、耐性菌とよばれる抗生物質が効かない細菌が出てくることが知られています。

そのため、ジェネリック医薬品だけで、必ずしも賄えない場合もありえます。また、ジェネリック医薬品は、化学的にみて、開発メーカーが発明した医薬品と化学構造がまったく同じものとは限りません。
したがって、効能が薄れたり、副作用のトラブルが新たに生まれる可能性もないとはいえないのが現状です。

現在、日本の医療費は、国家財政を圧迫するほど膨らんでいますから、ジェネリック医薬品が重要なのは間違いありません。ただし、効果的な使い方と、薬だけに頼らない治療を行うことが重要なのも事実です。自分自身の健康を守るために、少し意識してこの問題にも向かい合えるといいですね。

※写真はイメージ 足成より http://www.ashinari.com/2009/04/26-017743.php

松沢直樹

福岡県北九州市出身。主な取材フィールドは、フード、医療、社会保障など。近著に「食費革命」「うちの職場は隠れブラックかも」(三五館)」近年は児童文学作品も上梓。連合ユニオン東京・委託労働者ユニオン執行副委員長