Slush Asia, Photo: Jussi Hellsten
フィンランド発、世界最大級のStartup event、Slushのアジア版、Slush Asiaが4月24日金曜日に東京お台場の特設会場にて開催されました!
Slush Asiaって何?そう思われる方はぜひこの機会に覚えていただきたい、そう思う位、会場の盛り上がりは”This is something!”でした。そんなSlush Asiaの開会から閉会までの様子をレポートします!
Opening
Openingは9時。8時台未明、ゆりかもめで向かう車窓から見えてきたホワイトロック(スピーチなどのイベント会場となる白いドーム型テント)。この日のための特設会場です。
パートナーの企業はこんな面々。う〜ん、これは……!すごいですね……!
Receptionで受付をすると、B5サイズの名札をいただきました。裏にはこのような会場内の地図、そしてWIFIの情報。表には参加者の所属、名前、カテゴリー(INVESTIGATER、STARTUP、STUDENT、ATENDEE、MEDIA)が書いてあります。B5サイズという大きさは、会いたい人と会えるよう、この機会を最大限に活かせるようにとの工夫かと。
まずは会場の把握から。主な会場は、上の写真の左上から、DEMO AREA、DEMO STAGE、PITCHING STAGE、そしてKEYNOTE STAGEの4箇所です。おまけで地図で中央に位置するSLUSH CAFEも。どれも白いドーム型の空間で、渡り廊下は屋外。とても動線が分かりやすく、迷子になることがありませんでした。そして秒単位で別の会場に行けるアクセスの良さ。
9時ちょうど、メインとなるKEYNOTE STAGEがドーム内が音楽とプロジェクションマッピングに満ちて、Anttiさんが開会のスピーチを!Passionateで堂々とした素晴らしい開会宣言。早くも盛り上がった歓声が聞こえていました!
Slush Asia, Photo: Jussi Hellsten
Slush Asia, Photo: Tsukasa Nakagawa
KEYNOTE STAGE
メインとなるKEYNOTE STAGEではゲストスピーカーが次々に登場して15分〜20分のプレゼンや、トークセッションをしていく趣向。かつてStartupだった、あるいはそれに通ずる挑戦をして成功を収めてきた、そして今でも挑戦中である方々の、含蓄あるメッセージや哲学的ノウハウのオンパレード。プレゼンを写真で記録する人多数。私自身も心に残った言葉がたくさんあり、列挙すればキリがないほど。
以下、ほんの一部をご紹介。
(大意には私の咀嚼が含まれています。)
“Prepare for the mess and enjoy it!”
IdeaからSuccessまでの道は、決して平坦ではなく、ゴチャゴチャしていて面倒なもの。その準備をしよう、そしてそれを楽しもう。
Tomoko Namba, Founder, DeNA
Slush Asia, Photo: Tsukasa Nakagawa
“Who may do.”
つまり誰がするのかってことだ。それは貴方がするんだ。
Peter Vesterbacka, Mighty Eagle, Rovio
Slush Asia, Photo: Jussi Hellsten
“You are the changer!”
貴方が、地域を変えられる、国を変えられる、世界を変えられる人なのだ。
Soichiro Takashima, Mayor of Fukuoka City
Slush Asia, Photo: Tatsutoshi Okuda
Slushは起業家、とりわけStartup(後に説明)のような、世界を変えるんだ、そのために自らが動くんだ、という気持ちで動いている人たちを応援・鼓舞するための、あるいは聴衆にそのような気持ちを焚き付けるためのイベントなのですね。
PITCHING STAGE
PITCHING STAGEでは、日本から30社、海外から20社のStartupが選ばれて、6分間のプレゼンコンテストを行っていました。Startupというのは、これから急成長する見込みのある新しい事業を、世界に先掛けて始めている企業のこと。審査があり、ファイナリスト5社が選ばれて、その企業は16時からKEYNOTE STAGEでもう一度プレゼンします。そしてWinner1社が選ばれる方式です。
午前中はあまり人がいなかったですが、午後はいつの間にかKEYNOTE STAGEにも勝る熱気に包まれていました。下の写真は宇宙開発事業を手掛けるispace technologies, inc.のプレゼンの様子。魅力的なStartupがたくさん登壇していました。
DEMO STAGE
DEMO STAGEでは実際に動くもののある企業がこちらで紹介できるという趣向。バイクやロボット、アプリのデモなど。
Slush Asia, Photo: Jussi Hellsten
DEMO AREA
DEMO AREAはStartupの企業が自分の製品のデモを行えるようにしているところです。ここは朝からずっと人で溢れかえっていました。直接製品に触ってみれるという魅力があります。下の写真手前に見えているのはデスクロップロボットPLEN(PLEN Project Company)。ユーザーが3Dプリンタで身体を出力したり、プログラミングしたりもできるそうですよ!
Slush Asia, Photo: Petri Artturi Asikainen
DOME AREAで見つけた一製品をご紹介。なんと、超音波で、手を触れずに物を空中に持ち上げることができるんです!こんなの初めてみた!デモではこの白い粒子を持ち上げていましたが、材質を選ばず、水などの液体でもOKだそうです。実験時の不純物混入を防げる、直接触れては危険なものも取り扱えるといったことに応用できるそうです。すごく画期的ですね!
Slush Asia, Photo: Jussi Hellsten
Slush Cafe
Slush Cafeは、KEYNOTE STAGEで講演をしたスピーカーがその直後、30分くらい喋りに来てくれる場所になっていました。MCもボランティアの学生さん。デッキのようなオープンな場所で、カジュアルな雰囲気でスピーカーと交流できる場になっています。風が吹き抜ける素敵なロケーションでした。
Slush Asia, Photo: Yuji Nakazima
MCの皆さんにフランクに話しかけられ、インタビューをしてみたところ、「この場所でこんな役割をするって、2日くらい前に言われたんです。コーヒー飲みながらやっちゃってもいいって言われてます。こういうカジュアルなのがいい!」とのこと。彼らの目の輝きが、SlushのMovementを象徴するものかも知れませんね!
近くのホワイトボードにはゲストスピーカーのサインが集まっていました。これはメモリアル!
Slush Asia, Photo: Tatsutoshi Okuda
Food&BEVERAGE
飲食できる場所はこのような作り。広々していて、座れなくて困っている人を一人も見ませんでした。こちらでもKEYNOTE STAGEの様子がモニターで見えるようになっています。
Slush Asia, Photo: Jussi Hellsten
食べ物は下の写真の右側に並ぶお店で買えました。ピザ、カレー、ガパオなど、どこもおいしそうでした。
Slush Asia, Photo: Jussi Hellsten
このイベントのレベルの高さは特筆に値すると思います。プロジェクションマッピングなどドーム内演出のクオリティの高さ、ゲストスピーカーやStartupの選定に加え、既に紹介した名札の工夫や会場内のアクセスの良さや、ボランティアの方がいつでも声を掛けられる近さにいるなどのイベントノウハウが結集しているかのようでした。
かっこいい専用アプリも用意され、聴きたいステージを逃さないようアラームで教えてくれたり、今どの会場でどんなことをしているか、とてもスムーズに調べたりすることができました。進行も素晴らしく、午後遅くなっても分刻みでほぼ時間通り。Pitching stageのプレゼンは6分間しかないので、これは重要なことですよね。
Pitching Final
16時からはいよいよSlush Asiaも大詰め、PITCHING STAGEでファイナリストに選ばれたStartupが、最終審査に臨みます!6分間のプレゼン後、3分間の審査員からの質疑応答。
どのStartupも素晴らしいプレゼン、アイデアの実現力とビジョン。審査員の厳しい質問にもしっかりと答えていました。
最優秀に選ばれたVMFive Inc.はアプリをダウンロードせずに試せるというサービス。
その他にも、画像データを自動的に分類できるディープラーニングプラットフォームを提供しているサービス(Alpaca DB, Inc.)だったり、
かつて大掛かりだったコンピューターが今や誰もが膝の上で使えるように、今は大掛かりな化学実験室も個人が持てるようなものにしようという製品(Bento Bioworks)だったり、
眼球の焦点を検知して、スクリーンキーボードで文字を入力できたり、シューティングゲームが楽しめたり、キャラクターと目が合ったりという感情を呼び起こせる製品(FOVE, Inc.)だったり、
高性能なアプリが超カンタンに作れるサービス(FASTMEDIA INC)だったり。
色々なStartupがあるのですね。近い将来、彼らのサービスや製品が世界に大旋風を巻き起こしているかも知れません!
Slush Asia, Photo: Jussi Hellsten
Announcing winner
審査員の協議の間、Anttiさんのファミコンソフトをセットするパフォーマンスを合図に、商店街バンドの皆さんが、汗ダクダクのパフォーマンスと懐かしのファミコン音楽で楽しませてくれました。メンバーには元JUDY AND MARYのギタリスト、そしてゲストスピーカーでもあるTAKUYAの姿も。マリオやドラクエなど、あの頃、ヒットしたソフトは知らない人がいないくらいでした。Startup成功事例へのオマージュという趣向なのでしょう。
Slush Asia, Photo: Jussi Hellsten
そして、Pitching FinalのWinner発表!先に書いてしまいましたが1位はVMFive、2位はFASTMEDIA、3位はFOVEという面々でした!
実はここで、ステージから受賞者を呼んでも姿が見えないというハプニングが連続(笑)。でもMCの女性の元気で愛らしい進行で、熱気は冷めることなくAnttiさんのEnding Speechへ。「今日は完璧に進みすぎてると思ってたよ。でもほら、最後は見てのとおり。」と会場の笑いを誘い、「Startupはこんな感じだよね?これが最初のSlush Asiaのプロトタイプさ!」の呼びかけで会場を盛り上げていました。
そのときの様子がこちらのムービー(見所は0:00から0:20位まで)。会場の盛り上がりがよく分かります。
「来年もSlush Asiaをやるべきだと思う?」の問いかけに、会場中が拍手喝采。皆が今日のイベントを楽しんだこと、そしてAnttiやボランティアの方々への感謝を表していたと思います。
After party
閉会の後はAfter party。ドーム内ではDJを呼んでクラブのようなこの盛り上がり!
Slush Asia, Photo: Yuji Nakazima
Slush Asia, Photo: Naoki Yamashita
このイベントは400名ものボランティアが関わって運営されているそうです。Anttiさんにこのイベントを仕掛てどう思うかインタビューしてみたところ、「たくさん仕事があったけど、既にSlushのMovementが起きているのを感じることができて嬉しい。今日来ている人だけじゃなくて、ボランティアの皆にも、このMovementを感じてやる気になって欲しい。Startupの人たちや起業家の人たちには、自分がもっと上に上がれるという気持ちになってもらえたら。」と話してくれました。
以上、メインの流れを中心に紹介していきましたが、他にも、投資家とStartupの間で良い縁が生まれるようにミーティングスペースがあったこと、フィンランドらしくサウナをコンセプトにしたミーティングスペースも設置されていたこと、アフターアフターパーテイおよび前夜のプレパーティが1ドリンクフリーで提供されていたことなど、交流を促す工夫が随所に見られるイベントでした。私自身も会場で、Anttiさんをはじめ、ゲストスピーカーのAngry birdのトレーナーを来たPeterさんや宮本亜門さん、フィンランド大使館の方とお話することができました。
Startupのかっこよさ、熱さが感じられる素晴らしいイベントでした。ここに集まった人たちが、これからの世界を引っ張っていくのかも知れません。来年のSlush Asiaの開催が今からとても楽しみです!