材料を買ってその場でつくるアクセサリー!カップルにも男性にもおススメしたいが女子大生の予算は400円だった驚き~PARTS CLUB~

  by 古川 智規  Tags :  

PARTS CLUB等のアクセサリーパーツ店を運営する株式会社エンドレスは全国のパーツクラブの店内に手作りスペースを設けて材料費だけでアクセサリーを作ることができるという。
女性向けだと思われがちだが、実際に作ってみるとその工程は男性こそ非常に興味深い内容であったのでレポートする。

同社で販売されているパーツ類はそのほとんどが自社開発。つまり市場にあふれるパーツをバイヤーが買ってくるということではなく、多くを自社で開発して製造しているので、パーツ単体は非常に安い。
すべてを見たわけではないが、1000円以下のものがほとんどでそれらを自由に組み合わせてアクセサリーを自分の手で作る。逆に言うとそれだけ作り手のセンスが問われるともいえよう。

初心者のための教室も随時開催されているが、スペースが空いていれば自分でパーツを購入してその場で作ることもできる。

記者が取材したのは原宿の東急プラザ内にある店舗。6名程度なら余裕でシェアできるスペースだ。一人当たりのスペースはあまり必要がないので十分な広さであると言えよう。

必要な工具は無料で貸してくれるので、その場でつくるのであれば用意をする必要すらない。ただし、男性であればおおむね必要な工具は自宅にあるようなもので事足りるようにも感じた。

【製作例】ペアの部

さて、記者が作成しようと思ったのはペアのアクセサリーセット。写真はペア分の全材料だ。自分とパートナーのペアを男性が自作してプレゼントするという想定だ。
そして作ろうとするものは以下の通りだ。

ピルケースを利用したジュエリーケースの天板にオリジナルの彩色をほどこす。

フリーサイズのリングにスワロフスキーのクリスタルガラスの石を入れてペアリング。

土星の輪をかたどった枠にスワロフスキーを入れてピアスのパーツを組み込んで女性用はピアス、同じものにストラップのパーツを組み込んで男性用に携帯ストラップ。

これはリングに選んだスワロフスキーを乗せる前の状態。接着剤を混ぜ合わせてからピンセットでリングに埋め込んでいく。爪がない接着タイプなので簡単にできる。固まるまで待つ間に次の工程に進む。
スワロフスキーはクリスタルガラスの酸化鉛の含有量を増やした透明度、屈折率の高いものだ。鉛の溶出は通常使用している限りない。グラスにも使用されているくらいなので心配は無用だ。

スワロフスキーの石をパーツに組み込んで、抜けないように工具を使用して締めるのだが、遊びを持たせることにより土星の輪の中で石が動くように微調整する。

土星部分のパーツができた状態。
写真左は男性用にストラップのパーツを付けた完成品。
写真右はこれからピアスのパーツを取り付ける前の状態。

こうしてピアス一対と、携帯ストラップが完成した。なお、つくり方のレシピも用意されているが、店員に聞けば作り方のコツを教えてくれるので初心者でも安心だ。

次にこれらのアクセサリーを収納するケースを作る。
ケースに乗せるパーツは星と十字架、それに貝殻にした。記者完全オリジナルデザインでここからが本日の腕の見せ所であり、男性のこだわりの見せ場だ。

若い方はUVレジンはなじみの深いものだろうが、記者が若いころにはそんなものはなかった。似たようなものといえば七宝焼き。中学校の美術の授業で作ったものだ。そんな授業の「技術」を今や生かす時が来たと言えよう。
ちなみに七宝焼きとは金属の素材に釉薬(ゆうやく)と呼ばれる液体状のものを盛っていき、窯で焼くことによりガラス状のデザインを定着させる伝統の技法だ。アクセサリーの七宝焼きのほか、琺瑯(ホーロー)の鍋等が身近なものとして挙げられる。

一度パーツを下ろして、透明なレジンに色を混ぜてつまようじで乗せていく。
この時の色の濃さ、乗せる厚さに個々の技術が生きる。混ざる材質の濃度(この場合は混ぜもの=不純物の量)により表面張力が変わるので、単色であれば問題ないが複数の色を層とするときには境界線でのにじみを考慮する必要がある。にじみを作りたくない場合はそうなる前にUVに掛けることである程度は抑えることができよう。
レジンを乗せ終わったら、ピンセットでパーツを乗せていく。
デザインのイメージは左下から砂浜、海、夜空、それに十字架と星が対になるように配置した。

そしてUVライトを照射して凝固させる。今回はUV-LEDライトで凝固するものを使用したので、1回の照射時間は30秒ほどと極端に短くてよい。
このライトも2000円以下で購入することができるので自宅でも気軽に作ることができる。また、最近の電子機器と同様にマイクロUSBから電源を供給することができるので、モバイルバッテリーでも動作する。

男性から女性へのプレゼント、男女ペアで手軽に安く作ることができるのがいいところだろう。記者が取材目的で作成していた時に、女子大生二人組がやってきて15分足らずでアクセサリーを作って帰って行った。聞いてみると予算は400円ほどで、よく友達と来てはオリジナルのアクセサリーを作って楽しんでいるとのこと。小さなパーツは一袋にたくさん入っているので、友達と来てシェアしながら作るのが材料費を抑えるコツだとか。何とも合理的な考え方だ。
作ってみての感想だが、男性はプラモデルや機械いじりで培った「独自技術」と細部へのこだわりを最大限に発揮できる分野なのではないかと思った。手前味噌ではあるが、このジュエリーケースを店員に見てもらったところ「初めてとは思えないクオリティー高すぎ!」との評価をいただいた。

【製作例】女子の部

さて、同行した女子にも好きなものを一品作ってもらったのだが記者よりもはるかに早く、暇を持て余していたようなので記者のあまり材料を使用してもう一品作り出した。

ケースに乗せるレジンを混ぜてる状態。彼女は単色にするようだ。

UVライトを照射して1回目の「焼き」工程。

パーツを乗せていく工程。
女子らしく大きな月にネコ、それにクラウンをかぶせたオリジナル。ゴスロリっぽいデザインに感じた。

パーツを乗せて2回目の焼き工程で完全に定着させる。

こうして出来上がった作品群。
製作者により二つと同じデザインのない完全なオリジナル作品に仕上がった。

ケースの中にそれぞれが作ったアクセサリーを入れる。

ものづくりは日本の専売特許といわれるほど日本人の手先の器用さは世界的な評価の対象だが、何も工業技術だけの話だけではない。小さな「センスと技術」を発揮して自分だけのオリジナルアクセサリーやプレゼント等、アイデアを出して楽しんでみてはいかがだろうか。単価が安いので失敗を恐れなくていいのも個人にはありがたい。

※写真はすべて記者撮影

乗り物大好き。好奇心旺盛。いいことも悪いこともあるさ。どうせなら知らないことを知って、違う価値観を覗いて、上も下も右も左もそれぞれの立ち位置で一緒に見聞を広げましょう。

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