大人と子供の矯正治療 治療の流れと選択肢の違い ──歯科衛生士の真面目な歯の話 その2

  by 高梨 れん  Tags :  

 大人になってから矯正治療を始める方も多くいらっしゃる昨今です。
 子供と大人の矯正治療の違いについて解説します。
 

子供と大人では治療の選択肢が変わる

 大人と子供では治療の選択肢が変わります。
 子供の矯正治療は成長を利用する事ができます。それによって抜歯を回避できる可能性が高まったり、後戻りがしにくくなります。
 

子供の矯正治療

 成長に合わせた治療を行います。特に、受け口や出っ歯の治療にはそれを利用します。人気抜歯を選択できる可能性が広がるなどのメリットがありますが、治療が長期に渡る場合もあります。
 大人に比べて歯が動きやすく、よりきれいに仕上がる事が多いです。ただし、患者さん本人の協力や努力が不可欠で、クリニックで指示された通りに装置を使わないと十分な治療効果を得られない事もあります。

一般的な治療開始時期

 

  • 下顎前突(受け口)……一般的には6歳前後に治療開始します。『ムーシールド』を希望する場合はもう少し早い場合もあります。
  • 上顎前突(出っ歯)……おおむね9歳前後です。犬歯や小臼歯の生え替わりの時期が適切とされています。
  • 叢生(乱ぐい歯)……永久歯が生え揃ってから行います。(ただし、受け口・出っ歯がない場合)

※おおむねの目安です。医院の方針によって変わることがあります。値段は医院や難易度によって変動します。
※きちんと検査をしないと、どれに当てはまるかがわからない場合があります。お早めに専門医にご相談下さい。

治療の流れ

第一期治療(約30~50万円)
 初めに前後的(受け口・出っ歯)な治療をします。顎を整えて、永久歯がきちんと並ぶための土台を作る事が目的です。ヘッドギアやチンキャップ、床装置などを使います。
 ここでしっかり治療ができていると、歯を抜かない『非抜歯』を選択できる事もあります。

第二期治療(約40~50万円)
 永久歯が生え揃ってから行います。ワイヤーとブラケットを使って歯を並べていきます。必要に応じてゴムなどを用いる事もあります。
 二期治療を受けるかどうか、必要かどうかは相談できます。

大人の矯正治療

 主に歯の表面にワイヤーとブラケットを装着して治療します。補助的にゴムなどを用いる事もあります。
 成長を利用出来ないので、子供の第一期治療はできません。

治療の流れ

 ワイヤーを使って歯を並べます。表からの治療では約80~90万円、裏側からの治療では約100~120万円ほどが相場のようです。
 最近ではインプラントを歯肉に埋め込んで治療する方法もあります。症例にもよりますが、抜歯が必要なケースでも抜かずに治療ができる可能性が増えたり、治療が早く進める事を期待できるなど、注目されています。
 

健康な歯と歯肉があれば矯正治療はできる

 矯正治療を行う大前提として、お口の中が健康であることが必要です。虫歯でボロボロの歯には矯正装置は装着できませ。また、歯周病でぐらぐらになった歯に装置を付けると、その歯は抜けてしまうでしょう。とても矯正どころではありません。
 また、矯正装置を付けると歯磨きがしにくくなり、虫歯や歯周病のリスクが高まります。セルフコントロールがきちんとできないと、トラブルを作り出してしまう事になりかねません。
 治療を始める時に歯磨き指導してくれるクリニックもありますし、その都度希望すれば指導を受けることもできます。
 きれいな歯と歯並びは一生の財産です。歯並びが良くなると、歯磨きもしやすくなるので、虫歯や歯周病の予防にもなります。あなたも美しい口元を目指してみませんか?

※画像は筆者が作図

高梨 れん

主婦五年生。一児の母。歯科衛生士。人生の目標は孫の顔を見ること。 書籍 『リビングの片付け7日間プロジェクト。一週間で人が呼べるリビングになる。』 『タンスの片付け7日間プロジェクト。あの服が見つからない!洋服が一週間で整理整頓できる。』 他(全て㈱まんがびと)

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Twitter: renmaturi24