PC遠隔操作の片山祐輔被告が、無罪主張の根拠として使っていた、裁判公判中に犯人から送られたメールについて、自分で自作自演したものだと認めた。証拠隠滅の疑いで保釈を取り消され、片山被告は逃亡していたが、「死のうと思ったが踏み切れなかった」といい、弁護士事務所で拘束された。NHKニュースが報じている。(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140520/t10014573171000.html)
改めてメールの内容を分析してみると、片山被告は文中で自分を「スプリクトキディ」だと言っている。
「もともと、私はスクリプトキディ(コピペ厨)でした。」と告白。以前送付の文言とも共通点か。
もともと、私は海外サイトで拾ったウイルスジェネレータで作ったものを使うだけのスクリプトキディでした。(落合洋司弁護士のブログよりhttp://d.hatena.ne.jp/yjochi/20140516#1400218482)
「スプリクトキディ」とは、簡単にいえば「コピペ厨」。
「セキュリティ用語辞典」にはこうある。
スクリプトキディとは、ある種のクラッカーに対する蔑称(べっしょう)であり、ハッカーなどネットワークシステムへの侵入を試みる人たちの階層分けにおいて最下層に位置するものとして付けられた名前である。技術のない若者だけを指すようにいわれることもあるが、実際にはクラッカーの年齢の特定は困難であることが一般的で、年齢に関係なく、技術を有さずにツールに頼って興味本位の攻撃をする者をスクリプトキディと呼ぶ。(http://www.atmarkit.co.jp/aig/02security/scriptkiddie.html)
つまり、クラッカーといっても腕に上手下手があるわけで、名人クラスになると、強固なセキュリティでも弱点(セキュリティホール)を見つけられるし、無論ウイルスプログラムも一から全部作れるのだ。それはあたかも将棋のプロが新しい手を次々に発見していくのと一緒である。
ところが、ヘボなクラッカーは、プログラムはソフトで自動で作るか、既存プログラムをコピペして手直しするぐらい、いわばうろ覚えの定跡手順をただなぞるだけで、それはあたかもド素人のヘボ将棋同然である。そういうド素人のことを「スプリクトキディ」だと言っているのだ。片山被告は自嘲的にそう述べたのであろうか。
矢野とおる氏が収集した片山被告がこれまで報道各社や弁護士に送りつけた犯行声明一覧(http://yokoku.in/enkaku2012/enkaku.txt)を調べると、『(BBCに)「凄腕ハッカー」のような扱いで出されても困る。(そこまで誇れる技術力があるつもりもない。)』と、自分の技術力のなさを自覚していた。
また、犯行の内容についても一々元ネタを上げている。例えば、貴志祐介氏の小説『悪の教典』や、筒井哲也氏の漫画『予告犯』の模倣だと述べ、行動の大半がコピペだったことを自ら雄弁に語っているのである。
矛盾した犯行声明を幾つも出すことで報道機関や捜査を撹乱し、面白がっているとも書かれている。
片山被告「自分はネトウヨなのに中韓の手先のサヨクに祭り上げられて不本意。」自分の味方を小馬鹿にしていた!
文中にはもうひとつ妙な箇所がある。
何でこのタイミングで登場かというと、片山氏が報道ステーションやレイバーネットに出てるのを見てかわいそうになったからです。
特にレイバーネット、片山氏のサイト閲覧傾向を見てるとよくいるネラーのネトウヨだと思ってたんですが、
あんな赤くて香ばしい、ハングルハチマキの人たちに祭り上げられているとは…本人も相当不本意だろうなーって。(落合洋司弁護士のブログよりhttp://d.hatena.ne.jp/yjochi/20140516#1400218482)
この「赤くて香ばしい」というのは2ちゃんねるやネットブログ界隈でもほとんど使われない、謎めいた文言であった。矢野氏や2ちゃんねる嫌儲板のユーザーが調べた結果、わずか2例だというのである。
要するに、片山被告は自らを「よくいるネラーのネトウヨ」だといい、「赤くて香ばしい、ハングルハチマキの人たち」と、テレビ朝日のスタッフや、無実だとして彼を支援していたレイバーネット日本の人々を小馬鹿にしていたのである。皇室に対して随分不敬な発言ばかりしている割にネトウヨだというのも妙だし、手を差し伸べてくれる支援者を小馬鹿にする神経も良くわからないが、なにか捜査を撹乱する意図でもあったのだろうか?
(写真はレイバーネット日本ホームページの、記者会見中のキャプチャー。確かに片山被告の表情は冴えないようだが…http://www.labornetjp.org/news/2014/0514shasin)