全国のラーメンを食べ歩くラーメンライター、井手隊長です。
全国チェーンの中華料理店でありながら、毎回攻めた限定メニューを繰り出してくる「大阪王将」。今回登場した「ラムトンジンギス飯」はその中でもかなりチャレンジングな一品だ。
その名の通り、テーマは“ジンギスカン”。北海道名物として知られるラム肉料理を、町中華流に再構築した限定メニューである。
そもそもラム肉という食材は、日本の町中華においては決して定番ではない。中華料理といえば豚肉、鶏肉、牛肉が主役になりがちで、ラムはやや距離のある存在だ。しかし一方で、中国本土、特にガチ中華の世界では羊肉は非常にポピュラーな食材。クミンや唐辛子を利かせた羊串など、日本でも人気を広げつつある。
そんな町中華から少し遠い食材を、大阪王将は大胆に丼へ落とし込んできた。
実際に提供された「ラムトンジンギス飯」を見ると、まず目を引くのは中央に鎮座した目玉焼き。これが実にいい。茶色く艶めくラム肉、豚肉とタレ、その上に半熟気味の目玉焼きという組み合わせは、ビジュアルの時点で完全に勝っている。
この「目玉焼きをのせる」というアイデアが秀逸だ。
ただ焼肉をのせた丼ではなく、一気にワクワク感が増す。どこかジャンクで、どこかB級グルメ感もありながら、しっかり「食べたい!」という衝動を刺激してくる。黄身を崩した瞬間に完成するライブ感まで含めて、非常に現代的な見せ方だと思う。
しかもこの料理、単なる焼肉丼では終わっていない。
ラム肉特有の香りを活かしながら、甘辛い味付けでしっかりご飯へ寄せている。ジンギスカンらしい方向性はありつつも、町中華の丼ものとして成立させる着地点が見事だ。
肉と野菜にタレの力強さ、香ばしさ、そして卵のまろやかさが加わることで、ぐいぐいご飯を食べ進められるバランスに仕上がっている。
個人的には、このメニューを食べながら「焼肉丼って、まだこんな見せ方ができるんだな」と感じた。
焼肉丼というジャンル自体は昔からあるが、「ジンギスカン×町中華」という掛け合わせにすることで、一気に新鮮な景色になっている。
近年はヘルシー志向の高まりもあり、ラム肉への注目度は以前より確実に上がっている。高タンパクで脂が軽いというイメージも浸透しつつあり、外食チェーンにおいても今後さらに採用が増えていく可能性は十分ある。
そう考えると、この「ラムトンジンギス飯」は単なる限定メニューではなく、ラムを町中華へどう接続するかという実験としても面白い。
ラム肉の可能性を感じさせる一杯としても、そして大阪王将の限定メニューらしい企画力を味わう一杯としても、非常に印象に残るメニューだった。

