日本人にとって、香港は魅力的な海外旅行先だ。おいしいグルメ、唯一無二の絶景、そして香港での営み、すべてが心を躍らせる魅力的な香港ポイントである。
<自己責任で行ってほしい香港スポット5選>
今回は、香港旅行に行くならば「自己責任で行ってほしい香港スポット5選」を厳選してお伝えしたいと思う。気軽には行けないかもしれないが、行くならば自己責任がともなう場所だ。
実際に行ったことがある筆者の価値観で、自己責任レベルを★印の数で表している。★印が多いほど自己責任レベルが上がり、最大自己責任レベルは★印5つだ。
1. 川龍村 / 自己責任レベル★
香港には知られざる「静かに眠る伝説の村」があることをご存じだろうか。まさに大自然が広がる、癒やしの村なのである。その村は、香港の中心部から鉄道とバスを乗り継いで1時間ほどの場所にある「川龍村」。バスから降りると目の前に村役場があり、食堂が2軒、そして坂道に連なる民家が複数。
特に人気の食堂は「端記茶楼」(hong kong 57-58 Chuen Lung Estate, Route Twisk)で、あまりにも人気がありすぎて中国や海外から訪れる客も多いという。14:00ごろには閉店してしまうのて注意が必要だ。可能ならば、時間に余裕をもって午前中から伺いたい。
村は山奥にあるため、どこからどこを見ても草、森、山、川。住居は鉄筋コンクリート作りがほとんどだが、ゆるやかな段差のある土地に建てられているため、非常におもしろい環境のなかにある。村は居住地区と田畑の地区に分かれており、田畑ではさまざまな植物が栽培されている。このあたりは極めてきれいな湧き水が流れているため、一級品のクレソンを摂ることができる。農民に話して、クレソンを売ってもらうこともできるようだ。
村には散歩をすると気持ちよさそうな自然あふれる道がいくつもあり、時間をかけてウォーキングしている観光客や村民の姿を見かけた。旅行者のひとりは「まさか香港でこんなにも素晴らしい大自然を体験できるとは思わなかった」と話していた。川龍村へはカンタンに行くことができる。香港MTR荃湾線の荃湾駅(チュンワンえき)からバスで50~60分ほどなので、香港旅行に少し疲れたら、川龍村に行ってみるのもアリである。
ちなみにここ、バスがなくなると歩いて香港の街まで戻らなくてはならない。バスの時刻だけは絶対に守るようにしよう。バスの乗り遅れは自己責任だが、とはいえ、歩くとなると街までかなりの距離があるので注意が必要だ。
2. 船湾避風塘・汀角 / 自己責任レベル★★
香港の中心部からクルマで20分ほどの場所にある「船湾避風塘」は、華やかな香港からかけ離れた、まさに歴史ある香港を垣間見ることができるポイントである。汀角(ティンコック)と呼ばれているこの地域は、リッチな住宅が並びつつも大自然が広がっており、美しき海岸線には水上家屋が浮かんでいる。
水上家屋には水上生活者が住んでおり、買い物や仕事などの用事があるたびにボートで地上に移動する生活をしている。海に関わる仕事をしている人が多く、水上家屋に漁船がたくさん停泊しており、それがこの絶景を作り上げている。このあたりをクルーザーで見学するツアーもあるほど、密かに人気のスポットである。
なにより心に響くのが、まるで香港のモンサンミッシェルのような地形だ。右を見ても、左を見ても、どちらを見ても海、海、海。そして浮かぶ家。その海を分断するように延びている歩道。香港のなかでもここだけの風景といえる。
船湾避風塘には香港の中心部からクルマで20分ほど。公共の交通手段の場合は、鉄道の太和駅からバスに乗り換えて船湾避風塘で降りると目の前。まだ見たことが無い、落ち着いた癒やしの風景を見に行ってみてはいかがだろうか。ちなみに、このような水上生活者のことを蛋民(たんみん)や船上人と呼ばれることがある。その歴史を知りたい人は、彼らが辿ってきたストーリーを調べてみると新たな発見があるかもしれない。
ひとつ注意がある。ここ、あまりにも絶景なのは事実だが、海であることを忘れてはならない。そう、海に落ちると命の危険がある、落ちたとしても自己責任だ。水上の家にも勝手に行ってはならないし、地域住民の生活を重視しつつ、身の安全に気をつけた行動をとりたい。
3. 重慶大厦(チョンキンマンション) / 自己責任レベル★★★
香港はラグジュアリーなホテルが多いものの「激安」を求めている旅行者がいるのも事実。そんな人は重慶大厦(チョンキンマンション)のホテルに泊まるといい。重慶大厦は巨大商業施設で、尖沙咀(チムサーチョイ)にあり、複数の激安ホテルがテナントとして入っている。
ここ、かなり自己責任レベルが高い場所だ。重慶大厦の1階にはたくさんインド料理店がテナントとして入っているが、その多くがぼったくりカレーである。カレーの味は普通だが、料金が法外な場合が多いので、個人的にはオススメしない。
さて、重慶大厦にあるホテルについてだが、「寝るだけ」を目的とした旅行者には最適といえる。日本のカプセルホテルを除けば、おそらく世界一狭いホテルもここにある。1泊数千円ほどで、部屋はベッドが置いてあるだけで、机や椅子を置くスペースはない。たって歩くのも窮屈で、まさに寝るだけ。幸いにもトイレとシャワーはある(共同シャワーの場合もあり)。
激安ホテルの多くは重慶大厦の高層階にありエレベーターで移動するのだが、あまりにもエレベーターの利用者が多いため、エレベーターに並んでからホテルに到着するまで30分かかる場合もある。なかには、16階まであがってから階段で17階にあがらないと行けないホテルもある。ただし、重慶大厦は立地的にとても良い場所で、日本でたとえると新宿や渋谷に泊まっているようなもの。なかには高級ホテルもあり、1万円や2万円以上のリッチな部屋もある。
……騙される人が多すぎるので、重ねて、何度も、何度も、改めて注意するが、重慶大厦の1~2階には多数のインド料理屋があるが、大半がボッタクリ価格。どうしても食べたい場合は注文前に価格を聞くことを忘れてはならない。良心的な店は、料理の値段が最初から書かれている。
そうなると、重慶大厦には良心的なインド料理店はないのか? という話になるが、あるのはある。1~2階ではなく、さらに上階に、本格的なインド料理店が複数ある。少なくとも1~2階のインド料理店は推奨しない。
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4. 馬灣大街旧村 / 自己責任レベル★★★★
上記で紹介した重慶大厦に「香港のカオス」を求めて訪れる人は多い。だがしかし、これからご紹介する「馬灣大街旧村」を知っている者は少ないし、訪れる人も観光客もほとんどいない。この村はすでに廃村となっており、大都市香港の中心部に近いにもかかわらず、時とともに朽ちるのを待っているのだ。しかも香港の中心部からかなり近い場所にある。
香港空港があるランタオ島から香港中心部に向かう途中、ふたつの島を通過して本土へと渡る。そのふたつのうちひとつが馬灣島で、かつてそこに栄えた漁村が、馬灣大街旧村だ。現在は島の北側に高級リゾートマンションが建っており、馬灣大街旧村は島の南側に位置する。まさに 大都市の陰と陽である。
馬灣大街旧村の建物は当時のまま残されており、金網によって建物に入れないようになっているものの、人々で栄えていた時代の姿をそのまま残している。誰もいない廃墟でありながら、当時の思いを胸に訪れる人がいるようで、寺院や地蔵だけ、なぜか蝋燭や線香が灯されていることもある。
かつて食堂だった建物、マンションだった建物、民家だった家、そして学校だった建物。いまにも廃墟から人が出てきてもおかしくないくらい現存されている。立ち入り禁止区域ではないため、釣り人やディープな廃墟マニアがいることもあるが、行くときはここが廃村であり、それなりのリスクがあることは忘れてはならない。
馬灣大街旧村への行き方は簡単だ。香港本土から鉄道で青衣駅まで行き、馬灣行き(リゾートマンション行き)のバスに乗り、到着したら徒歩で馬灣大街旧村に行くことができる。そもそも人がいないので、治安的に悪くはないが、女性一人や夜に出向くのは推奨できないし、何かあっても助けてくれる人はいないので、自己責任レベルは高い。
馬灣大街旧村は、いつもは目にすることができない、香港の別の顔を垣間見ることができる貴重な廃村だ。馬灣大街旧村から、同じ島にある高層リゾートマンションが建っているのが見える。そこであなたは、何を思うだろうか。廃村は、沈黙したまま朽ちるのを待っている。
5. 沙頭角(サトウカク) / 自己責任レベル★★★★★
香港の沙頭角(サトウカク / Sha Tau Kok)は特別な地域だ。香港と中国シンセン市の境界がある地域で、日本人は香港警察の許可なく入ることが許されていない。もっと厳密にいえば、外国人は許可なく入れない。香港側とシンセン側を行き来している地域住民もいるが、外国人は行き来できない。また、沙頭角に入ることを許可された外国人でも、中英街と呼ばれているストリートに立ち入ることは許されない。もし入ってしまうと捕まる。
何から何まで、ルールと自己責任が多すぎる地域、それが沙頭角。行きたいと思っても、すぐには行けない。香港警察にインターネット上から申請し、入ることを許可してもらうことが必要なのである。少なくとも平日2日前には申請して許可を得ておきたいところだ。許可が出たら、メールでPDFファイルの許可証が届くので、スマホやタブレット等に保存して向かう。この許可証、とても重要なので、必ず持参しなくてはならない。クラウド上に保存せず、必ず実データをスマホに保存しておこう。スマホの電波が弱い地域があり、iCloudなどのクラウドに許可証があるとダウンロードできずに困ることがあるからだ。筆者は困った。
香港の中心部からは、電車とバスを乗り継いで向かう。沙頭角の入口で、いったんバスが停車。街の入口は検問になっており、バスに警察官が乗り込み、乗客全員のIDをチェックするのである。外国人は、香港警察から得た許可証をスマホで見せる必要がある。そして、その場で「中英街に入ってはならない」と念を押すように言われる。
ちなみに筆者、検問でトラブった。このとき、iPhoneに保存していた許可証が勝手に(?)クラウド上に移動されており、スマホ電波も激弱だったことから、許可証を見せることができず。なんとバスから降ろされてしまったのである……。警察官の詰所でiPhoneの許可証のアイコンをタップするが、なかなかダウンロードできず。警察官と私で、必死になってiPhoneをタップ連打するという状況に。
「この日本人怪しい! 連行するか!?」とは思われていないようだが、かなり焦った。警察官たちはとても親切で、ようやく許可証を見せることができ、沙頭角の中心部に向かうことができた。
沙頭角の街には市場や食堂があり、そこで名物料理の鶏肉・鴨肉を食べることができ、さらに名物ミルクティーも飲むことができる。だがしかし、和やかな雰囲気の街ではあるものの、外国人が絶対に立ち入ってはいけない場所が「柵なし」で存在し、事前にダメなゾーンを知らないと警察に捕まる。かなり自己責任度が高い地域ではあるが、その緊張感のなか観光することができる希少な地域でもあるのだった。
自分が外国人であることを理解して現地人を尊重しつつ行動
香港は広大だ。地図で見ると小さく思えるかもしれないし、事実として面積は広いとは言えない地域かもしれないが、それでも、探索・観光するとなれば、香港の広大さを理解することになる。
香港でラグジュアリーな旅を楽しみつつ、香港のエキサイティングな地域も体験する。それこそ、香港のすべてを堪能した旅と言えるのではないだろうか。とはいえ、自己責任度が高い地域に行く場合は、自分が外国人であることを理解して、現地人を尊重しつつ行動したい。

