『ぽこ あ ポケモン』レビュー:家族に先を越されてネタバレを食らうオッサンプレイヤーがたどり着いた本作の真価とは

Nintendo Switch 2専用ソフト『ぽこ あ ポケモン』が、2026年3月5日に発売となった。本作は発売から4日間での販売本数が世界累計220万本、国内100万本超という爆発的なセールスを記録している。

筆者の家庭では、妻と小学生の娘が発売初日からゲームに没頭していた。発売日の夜、筆者も仕事を終えてようやく手を付けた頃にはすでに、娘が手掛けた街には草木や花畑が広がってポケモンたちが楽し気に暮らしていたし、妻に至っては最初のポケモンセンターの修復に着工していた。

▲プレイ開始してから最初のポケモンセンターの修復に着工するまでには、急いでもだいたい3、4時間くらいは必要?

▲なお、完成までは日を跨ぐ必要がある

完全に「置いていかれた」状況で、まずは主人公の見た目をどうしようかと悩み始めたところ、「後で自由に変えられるんだからテキトーに決めてサッサと始めなよ」と急かされた。

▲キャラの見た目も自由に変えられるので少しは時間をかけたかったが……

それから約2週間。世間では本作の自由度の高い街づくりや、ポケモンたちとのゆったりとした交流を称賛する声が多く、すでに数多くのレビューが出回っている。

▲ポケモンとの交流が本作の魅力。このパモは「わた」をご所望のようだが……

▲「わた」を渡すと、「これでぐっすり眠れる!」とご満悦の様子。ほっぺを手でスリスリする仕草がいちいち可愛すぎて悶絶

とにかく「やるべし」ということは十分伝わっていると思うし、散々ネタバレも垂れ流されている状態ではあるが、ここで筆者はあえて、まだこれから始めようかと悩んでいるプレイヤーや、ネタバレをされてモチベーションが下がっている方に向け、家族プレイならではの視点から語っていく。と言うのもこのゲームは「ネタバレ」がむしろ武器になる、極めて稀なタイトルだと感じるからだ。

具体的に、先ほどの「見た目は後でも変えられる」話もそうだが、特に花の植え替え作業などは知っているのと知らないのでは効率が段違いだ。

筆者は当初、「いあいぎり」で花を種に変え、別の場所に蒔いてから草ポケモンを連れてきて成長させるという遠回りな方法を取っていた。手間ばかりかかる作業に辟易としていたところ、娘から「『たがやす』を使えば花のまま移し替えられる」と教えられた。作業効率が劇的に向上した瞬間だった。

▲花に向かって「いあいぎり」を使うと……

▲花の種を入手できる

▲花を生やしたいところに種を植える

▲ナゾノクサなどの草ポケモンを連れていると、一瞬で花は咲く

▲……が、そんなことしなくても「たがやす」を使えば

▲花をそのまま持ち上げることが可能だ

また本作では地面の種類によって生える草の色や形も変わり、現れるポケモンも違うが、「たがやす」で草をつかめば特定エリアの草をそのまま別の地面に運んで植え替えることができる。わざわざ地面から作り変える必要はない。

▲特定エリアに生えるピンクの草を「たがやす」で持っていく

▲通常では緑の草しか生えないエリアに「木かげのピンクの草むら」を作ることができた

▲「木かげのピンクの草むら」からはニャオハが登場!

この効率化こそが『ぽこ あ ポケモン』の真髄だ。セーブデータは、本体ごとに島のデータが共有となっているSwitchの『あつまれ どうぶつの森』とは違い、ユーザー毎で個別で作れる。それでも家のテレビの大画面でプレイされると「まだそんなエリア行ってない!」「また新しい技を覚えてる!」「見たことないアイテムが!」と妻や子からネタバレを食らってしまうことにはなるが、それが逆にプレイを豊かにしてくれることもある。

▲最初に覚える技は「みずでっぽう」。枯れた草木も元通りにできる

▲技だけでなく、特定のポケモンに変身することも。ラプラスに変身すれば水の上もスイスイだ

「後でそれが出来るようになるなら、今は個々のポケモンたちの小さなお願い事をこなすより目の前の大きなミッションに専念しよう」という選択もできるし、「どのポケモンと早く出会うべきか、どんな役に立ってくれるのか」という知識も得られる。

忙しい大人にとって、「時間泥棒になる」ことは必ずしもゲームを楽しむうえで好評価のポイントにはならないし、実際、筆者の周りにも「『ぽこ あ ポケモン』だけは(本当はやりたいけど忙しいから)絶対にプレイしない!」と固い意思表明をしている友人もいたりする。

それでも「いずれはプレイしたい」なら、なるべくSNSでも本作に関する情報を一切遮断したくなるが、個人的に、本作に限ってはネタバレを恐れる必要はないと感じる。むしろネタバレされた状態で遊んだ方が、より深く、長く楽しめる設計になっているとすら思う。

また、家族と一緒に遊ぶならやはり妻や子よりも効率重視で進めるべきという思いは、マルチプレイ時の協力の際にも痛感した。

マルチプレイをしたとき、娘はカイリューに変身して空を自在に飛び回れるようになっており、妻はパワーアップした「いわくだき」で整地作業をテキパキと進めていた。一方、筆者ができたことはゴローンに変身して転がることくらいだった。

▲前方から飛んでくるユルい顔のカイリューは、娘のメタモンが変身した姿だ

▲ゴローンに変身してゴロゴロ転がる親子……これはこれで楽しいが

妻が地形を整えている後ろを、地形のかけらを「掃除機」みたいに吸い込んでいくことしかできない情けなさ。また、ポケモンたちと「かくれおに」に誘われた際には、妻が草に変身して見事に隠れながらゴール目掛けて突き進んでいる横で、筆者は何もできずただ遠くでじっと隠れているしかなかった。

▲妻が整地したあとを掃除するのが夫の役目

▲「かくれおに」の一場面。筆者の右上で動いている黄色い草は、実は妻が変身した姿だ

▲ただその場にじっとしているだけの筆者。一方、妻が変身した草は、もうゴールであるパソコンの前に

▲妻がパソコンにタッチして、「かくれおに」がフィニッシュ! 完全に筆者は「ただ見ているだけ」だった……

それでも楽しい。できることが限られているからこそ、家族から新しい技を教わる喜びが大きい。そして徐々に使える変身が増え、妻や娘に教わりながら街を形作っていく過程は、単なるゲームプレイを超えた家族の時間になっている。

すでに数多くの攻略情報がネットに溢れている時代である。「ネタバレを避けたいから今は触れたくない」という選択もあるだろう。しかし『ぽこ あ ポケモン』は違う。このゲームにとってネタバレとは、むしろ楽しみを増幅させる要素なのだ。家族で共有しながら、少しずつ理想の街を築いていく。これこそ本作で優雅に“スローライフ”味わうためのポイントだ。

もちろん、なるべくネタバレしてほしくない箇所もある。そもそもなぜ『ぽこ あ ポケモン』の世界には人間がいないのか、どこへいってしまったのか。本作をプレイしていくと、エリアのいたるところで人間たちの記録を読むことができるが、それも無数にある。核心をつくような話から、一見何の意味もなさそうな料理のレシピやメモ書きまで。そういったものを探し求めながら世界の異変を考察していくのも本作の醍醐味だ。

▲ゲームの序盤で目の当たりにする光景。この世界に一体何が……

▲人間たちの記録は手紙やタブレットなどさまざまな形で落ちている

▲「ポケモンの住むところが変わってきた」という内容が。これも何かのヒントだろうか?

それにしても、荒廃した街並みにはどうも見覚えがあるが、一体どこなのか。ちょうど同時期に初代『ポケモン』のリメイク作である『ファイアレッド』『リーフグリーン』がNintendo Switch版としてリリースされたことも話題になったが、やはりこれも本作の世界と関連している。

娘は初代のポケモンを知らないし、街並みにもまったく見覚えが無いわけだが、「子どものころ、ここで化石を復元したなあ。お父さんはカブトを選んだ」なんて昔話を語れるのも楽しい時間。まさに初代ポケモンを遊んだプレイヤーだからこそ、妙なクソデカ感情が湧きおこってしまうのも本作の魅力だ。

▲スペースシャトルなどの展示が。ここは博物館だろうか? 初代『ポケモン』にも登場した記憶が……

▲1階は化石が展示されている。間違いない、初代『ポケモン』で「カブト」を復元したあそこだ!

ポケモンで育ってきた我々親世代こそ、子どもと共に本作を楽しんで、ポケモンの魅力に家族丸ごとドップリ浸かろう。

▲タイトル画面にも気の利いたやり込み要素が

▲ゲーム中で撮影した写真をタイトル画面に飾れるのだ

(文:平原学)

ガジェ通ゲーム班

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