不登校35万人超、3人に1人が支援届かず。教育NPOが示す「自治体への提言」とは

  by sdgswriter  Tags :  

不登校の子どもらにデジタル教材を提供するNPO法人eboard(イーボード)は、
この度、不登校支援において先進的な取り組みを行う全国14自治体を対象に調査を実施し、行政・教育関係者向けの報告書を制作した。

背景にあるのは、急増する不登校の子どもたちだ。

文部科学省の調査(※)によると、その数は現在35万人を超え、過去10年間で、小学生の不登校は5.3倍、中学生は1.4倍にと、増加の一途をたどっている。
しかし、その中でもおよそ「3人に1人」が専門的な相談・指導等を受けられておらず、従来の公的支援の枠組みだけでは対応が困難な状況にあるという。
※文部科学省2025年10月発表「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」

eboardの調査は、こうした社会課題の解決のために、自治体と民間団体が連携して持続可能な支援体制を構築するための、具体的なロードマップを示すことを目的に実施された。

「不登校支援」拡充のためのプロセスに加え、自治体らへの「提言」にまで言及


今回発表された報告書のポイントは以下の3点だ。(プレスリリースより)

1.自治体による不登校支援の段階の「4類型」を提示
公費助成の程度と質的保障の在り方から、自治体の支援施策を「4つの型」に分類。自治体の現在地の客観視を可能に。

2.不登校支援の「2つの発展経路」と現場の壁を可視化
「制度拡充(行政主導)」と「民間育成」の2つの経路において、予算・人員・組織文化の観点から生じる具体的なボトルネックを整理。

3.eboardからの有効な支援のための提言
調査結果を受け、不登校支援を長年続けるeboardより「フリースクール等民間団体との早期の関係構築」、「各自治体の地理的条件や人口動態に応じた制度設計」、「学校内・外、両輪での支援」の3つを提言。

筆者が注目したのは3つ目の、支援拡充のための「提言」にまで踏み込んでいる点だ。

最も関心があるのは、「フリースクール等民間団体との早期の関係構築」の部分である。
現在の不登校の増加や人口減少地域における学校の統廃合等を考慮すると、フリースクールを中心とした民間団体の存在があってこそ、子どもたちの学びの確保へと繋がることを、まずは行政・教育関係者たちが頭に入れておくべきだろう。

また、2点目の「各自治体の地理的条件や人口動態に応じた、制度設計」の部分も、報告書を閲覧すると納得感のあるポイントだ。
「メタバースによる不登校支援」といった新たな取り組みは、昨今、各報道でも見受けられ、筆者もデジタル社会の進展に驚かされる。
ただeboardによると、「同じ施策であっても予算措置やその運用体制において自治体間に違いが見られ、それが成果の違いにもつながっていた」という。

施策そのものに加え、各自治体が置かれた地理的条件や人口動態、民間団体との関係性等の要素に基づき、近しい条件に置かれた好事例の細部から学び制度設計することが求められる、というのは、行政の担当者からすると「まずはそこに焦点を当ててみよう」と、最初のステップを踏み出しやすい印象だ。

自治体と民間団体の担当者のリアルな声も、報告書はHPからダウンロード可能


調査結果の<不登校支援の「4類型」>と<基本的支援からの2つの「発展プロセス」>については、報告書に図解とともに記載があるので、興味のある方はHPからダウンロードして閲覧いただきたい。
自治体と民間団体の担当者のリアルな声も載っているので、よりリアリティのある調査と言えるだろう。

最後に、不登校児童生徒の推移と、その中で専門的な相談・指導等を受けられていない子どもたちの推移の図も掲載する。

一目で切迫した状況が分かるが、一方では積極的に不登校支援に取り組む自治体が増えつつある状況もある。こうした動きが、全国に広がることを大いに期待したい。
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※調査報告書:eboardのホームページ内のフォームよりダウンロード可能

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