銀座の「⼩布施寄り付き料理蔵部銀座」で行われている熊本の焼酎とのコラボコースを食べてみたのでレポートする。コースの名称は「球磨焼酎『川辺』付き くまもと⿊⽑和⽜リブロースTEPPANセット」で、熊本の代表的な焼酎である球磨焼酎を堪能しながらのコースだ。
非常に多くの料理でお腹も満足できるようにたっぷりの品ぞろえコースのようだ。コースのメインはあくまでも焼酎なのだが、球磨焼酎『川辺』を製造する繊⽉酒造は、明治36年10⽉(1903年)の創業。⽇本三⼤急流のひとつである清流・球磨川を望む豊かな⾃然に恵まれた熊本県⼈吉市で球磨川の伏流⽔を使⽤した球磨焼酎をはじめとした多数の⽶焼酎を製造している。
料理を提供する『寄り付き料理蔵部銀座』は、蔵人たちが酒を造り、休息や食事を共にする「寄り付き場」で生まれた「寄り付き料理」がメインのお店だ。信州素材の味わいをシンプルに活かした料理をもとに誕生したお店である。銀座の一等地に存在する同店は2フロアを有し、最上階はいわゆる屋上階で東京のパノラマを堪能しながらの食事はお腹だけではなく目も楽しませてくれる。
左右を見渡すと、東京タワーとスイカツリーが同時に楽しめるおどろきの眺望だ。まさに東京の二大高層建築を独り占めできる気分はファーストクラスの絶景だろう。
熊本名物の「からしれんこん」を出すとはさすがだと思ってみると、中には信州みそも入っているので九州人でなくてもそれほど辛さを感じずに食べることができるのは工夫とアイデアの勝利だ。オリジナルのからしれんこんもそうだが、酒に合うので真っ先に試したい。
肉は鉄板で焼くが、ステーキとして単独で食べても腹いっぱいの大きさなので、大きさにびっくり、食べてびっくりの2度おいしい黒毛和牛だった。
熊本の焼酎である球磨焼酎は独特の飲み方、つまり流儀がある。当コースでも様々な飲み方ができるので試していただきたいが、燗にして次をどうするのか、という飲み方だ。つまり水やソーダで割るにせよ、ストレートで飲むにせよ、とにかく燗にしてからの話なのだ。温めたものを氷に入れてオンザロックにしたり、ソーダや水で割ったりと、一見すると無駄な工程に見えるがそれがためにまろやかさが一層引き立つのだからお酒というのは不思議なものだ。
ちなみに球磨焼酎の原材料は球磨川水系の水と米だけだ。広義の米焼酎ということになる。焼酎の主な材料である穀物のいわゆる臭さがなく、純粋な米と水から作った蒸留酒なので吟醸酒のようなさわやかさと、ストレートで飲める高品質さを感じた。
熊本産の和牛ステーキはワサビでいただいたが、ちゃんちゃん焼きは信州みそ仕立てで、九州と信州の距離を感じさせないコラボレーションが最大限に引き出されたメニューに満足のコースだった。
同コースは3月15日から4月15日までの期間限定で、2名で川辺4合瓶が1本付く24000円(税別)からのメニューだ。東京の夜景の中で、熊本の焼酎と信州の料理を堪能して旅気分も手にしてみてはいかがだろうか。
※写真はすべて記者撮影