NHKがドラマとして2023年6月24日より放送開始の作品『やさしい猫』。全5話で語られるこのドラマは、日本国内に滞在していたスリランカ人男性が日本人女性と夫婦となるが、オーバーステイを理由に強制送還を命じられるというもの。再考を訴えるが、入管職員に拒絶。幸せな日本での家族生活が壊される危機に陥る。
ネットの声「オーバーステイしたスリランカ人が悪いのでは」
そんなNHKドラマ『やさしい猫』が、インターネット上で物議を醸している。まだ放送前なので詳細は不明なものの「オーバーステイしたスリランカ人が悪いのでは」「不法行為を夫婦愛でごまかしている」との声が上がっているのである。以下は、NHKによる『やさしい猫』の内容解説である。
<NHK公式サイト『やさしい猫』解説>
「シングルマザーで保育士のミユキ(優香)は、震災ボランティアで訪れた東北で、スリランカ人のクマラ(オミラ・シャクティ)と出会う。1年後、運命的な再会を果たした2人は次第に惹かれ合い、ミユキの娘・マヤ(伊東蒼)を交えた3人は家族のように一緒に暮らし始める。同僚保育士のほなみ(石川恋)はよき理解者だ。最初は3人を微妙な目で眺めていたアパートの大家・水上(池津祥子)もやがてミユキたち家族を応援するようになる。婚姻届を提出し正式に夫婦となった直後、クマラはオーバーステイを理由に入管施設に収容、母国への強制送還を命じられる。処分の再考を訴えるも、入管職員・上原(吉岡秀隆)は事務的に拒絶する。口頭審理では偽装結婚ではないかと疑われ、絶望するクマラとミユキ。入管での面会はアクリルごしに30分のみ。理不尽な対応への怒りと、助けられない悔しさにミユとマヤは打ちひしがれるが、わずかな望みを託して弁護士・恵耕一郎(滝藤賢一)を訪ねる。その恵弁護士を紹介してくれたのは入管でこの件に対応した上原だった。上原は入管の現状に疑問を感じ、入管を辞して行政書士となっていたのだ。クマラを助けるためには、裁判を起こして裁決取り消しを勝ち取り、在留特別許可を得るしかない。ただ家族3人で暮らしたいだけ…ささやかな願いを胸に秘め、国を相手どった戦いに挑んでいく」
【#やさしい猫 ドラマ化】
直木賞作家・中島京子さんの話題作が土曜ドラマに登場!
【出演】
優香 伊東蒼 オミラ・シャクティ 余貴美子 滝藤賢一 ほか土曜ドラマ「やさしい猫」
6/24(土)放送開始予定 全5話▼原作・中島京子さんコメントも▼https://t.co/FmpXTfcaXG
— NHK広報 (@NHK_PR) March 16, 2023
6月24日(土)夜10時スタート#土曜ドラマ【#やさしい猫】
30秒PR動画ができました!
あらすじや出演者など、詳しくはHPをご覧ください 👇 https://t.co/YCgPv2CbVB#優香 #伊東蒼 #オミラ・シャクティ #山田真歩 #石川恋 #南出凌嘉 #池津祥子 #麻生祐未 #余貴美子 #滝藤賢一 #吉岡秀隆 pic.twitter.com/It1A3YGdxN— NHKドラマ (@nhk_dramas) June 9, 2023
6月24日(土)夜10時スタート#土曜ドラマ【#やさしい猫】
きょうから、出演者の方々のコメントをお届けしていきます! 🐱
まずは、ミユキ役を演じる #優香 さんのコメントです。あらすじなど、詳しくはこちらをご覧ください 👇 https://t.co/sSY7IaGOSZ#伊東蒼 #余貴美子 #滝藤賢一 #吉岡秀隆 pic.twitter.com/bOrYor1out
— NHKドラマ (@nhk_dramas) June 10, 2023
6月24日(土)夜10時スタート#土曜ドラマ【#やさしい猫】
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あらすじや5分PR動画など、詳しくはこちらをご覧ください 👇 https://t.co/BI7fhTexg5
— NHKドラマ (@nhk_dramas) June 9, 2023
このドラマは感動物語っぽいが?
シングルマザーで保育士のミユキ。震災ボランティアの出先で知り合ったスリランカ人男性のクマラ。二人は惹かれあい、ミユキの娘とともに生活。その後結婚したものの、クマラのオーバーステイが指摘され、入管施設に収容。そして母国への強制送還が命じられてしまう。……このドラマは、そんな感動物語のようだ。
ネットの声「そもそもオーバーステイがダメなのでは?」
物語には、さまざまな同情心を煽る要素もちりばめられているようであるが、「オーバーステイ」は不法行為。
予告編のナレーションには「幸せが突然奪われたのは、彼が外国人だったから」という一説がある。放送前ながら、この説明も多くの人たちの心にひっかかったようだ。「そもそもオーバーステイがダメなのでは?」「原因はオーバーステイであって、外国人であるからではないよね?」という声が上がっている。
複数の著名人たちもモヤモヤとした気持ちをツイート
このドラマに対して、多くの人たちが釈然としない気持ちをTwitterにツイート。複数の著名人たちも、モヤモヤとした気持ちをツイートし、注目を集めている。
たとえば、ファラオの生まれ変わりとして知られているタレントのフィフィさん。彼女は冷静に物語の内容をとらえ、客観的に「幸せが突然奪われたのは彼がただ外国人だったからではなくて不法滞在だったから」との答えを出している。
ドラマに対する肯定的なツイートも含めて、著名人らのツイートを掲載する。
<フィフィさんのTwitterコメント>
「「幸せが突然奪われたのは、彼がただ外国人だったから」ではなくて”不法滞在”だったから。入管にも“不法滞在は犯罪です”と、張り紙してますよ。外国人が知らなかったはずないから、事前に対処できたはず。海外でも同じ扱い。不法滞在を正当化するプロパガンダドラマを公共放送で流すのは良くないです」
「入管法改正が話題になっているこんな時に、受信料を徴収してる公共放送で”不法滞在”を正当化するようなプロパガンダドラマを流すなんて…情に訴えて、ゴネ得がまかり通る社会にすれば、ルールを守ってこの国に生きる多くの外国人に失礼。こうした放送が逆に外国人の印象を落とすって分からないのかな」
「令和5年1月1日時点で日本での不法滞在者数は、7万491人で、令和4年より3732人増加したとのこと。不法滞在者の国籍、上位は以下の通り。これを見る限り、現在難民申請が認められる内戦など亡命が必要とされる国でないと思われますが、それでも不法滞在者に在留を認めない日本の入管は悪となりますか?」
「幸せが突然奪われたのは、彼がただ外国人だったから」ではなくて”不法滞在”だったから。入管にも“不法滞在は犯罪です”と、張り紙してますよ。外国人が知らなかったはずないから、事前に対処できたはず。海外でも同じ扱い。不法滞在を正当化するプロパガンダドラマを公共放送で流すのは良くないです。 https://t.co/acFISoCiLa
— フィフィ (@FIFI_Egypt) June 11, 2023
入管法改正が話題になっているこんな時に、受信料を徴収してる公共放送で”不法滞在”を正当化するようなプロパガンダドラマを流すなんて…情に訴えて、ゴネ得がまかり通る社会にすれば、ルールを守ってこの国に生きる多くの外国人に失礼。こうした放送が逆に外国人の印象を落とすって分からないのかな。 https://t.co/acFISoCiLa
— フィフィ (@FIFI_Egypt) June 11, 2023
令和5年1月1日時点で日本での不法滞在者数は、7万491人で、令和4年より3732人増加したとのこと。不法滞在者の国籍、上位は以下の通り。これを見る限り、現在難民申請が認められる内戦など亡命が必要とされる国でないと思われますが、それでも不法滞在者に在留を認めない日本の入管は悪となりますか? pic.twitter.com/Te8wjXzQmJ
— フィフィ (@FIFI_Egypt) June 11, 2023
「彼が外国人だったから」じゃなく、不法滞在者だったからでしょう。旧NHK党には、NHKをぶっ壊してほしかったね。 https://t.co/dCHsTxTAnR
— 有本 香 Kaori Arimoto (@arimoto_kaori) June 11, 2023
ていうか、この人が一旦スリランカに帰ってから結婚して配偶者ビザで日本に来ればいいだけの話なんじゃね?
法務省
・出国命令により出国した者の上陸拒否期間は,出国した日から1年間上陸拒否
・速やかに日本から出国する意思をもって自ら出入国在留管理官署に出頭したhttps://t.co/5oQeUtCqL8… https://t.co/zaYkR0B4RS— May_Roma めいろま 谷本真由美 (@May_Roma) June 11, 2023
どうしても車が必要だったのでと言って車検切れの車で公道を走ったら、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金。さらに、6点の違反点数を加算で30日間の免許停止をくらって困って泣いてる日本人がいても同情しないんだろ?自業自得だと当然助けないよね、絶対に車運転すんじゃねーよ!と思うくせに、ビ… https://t.co/eax4iNV9n3
— ヴィズマーラ恵子🇮🇹 (@vismoglie) June 11, 2023
NHKが法律に従うなしと、不法労働外国人を称賛するドラマを作るなら。私たち国民も滞在外国人も、NHKに受信料を払う必要ないし、「ドラマにしてくれー」と喚きませんか。
NHKをぶっ潰す。ガバナンスがないんだよ。自民党介入しろよ https://t.co/9O9qoKCita— 石井孝明(Ishii Takaaki) (@ishiitakaaki) June 12, 2023
『やさしい猫』原作は、スリランカ人男性と日本のシングルマザーの恋愛を描いた小説。その男性は入管収容に苦しむことになる。日常に潜む「偏見」や、仮放免の若者たちが突き当たる壁も見えてくる。フィクションだけれど、丹念に取材された「現実」に基づいている。 https://t.co/cqqnB27VDV
— 安田菜津紀 Dialogue for People (@NatsukiYasuda) June 10, 2023
これは是非多くの人に見てもらいたいドラマ
「仮放免」「収容」「強制送還」という言葉の裏に、未来を見通せず翻弄される人生や、理不尽に引き裂かれる家族の姿があるということを、ドラマを通じて感じ取って欲しい
原作の参考文献には拙著も#入管法 #入管 #やさしい猫 https://t.co/zOZ20xutqc
— Kaoru Nemoto (@KaoruNemoto) June 10, 2023
このドラマ「#やさしい猫」は録画して永久保存しよう。原作者の #中島京子 さんとお会いしたのは、ドラマと同じく、スリランカ人男性の在留資格を巡る裁判の傍聴で。フィクションではあるが内容はリアル。「仮放免」「収容」「強制送還」。日本の #入管問題 の闇を描いている。 https://t.co/klBB2yVhj1
— 樫田秀樹 (@kashidahideki) June 10, 2023
法律監修しています。ぜひ、ご覧ください。 https://t.co/YHueKeT4Fh
— 指宿昭一 (@ibu61) June 10, 2023
オーバーステイをした事実をどのように表現しているのか
重要な部分は、登場人物たちの「法令順守」に対する思考だ。もしドラマの内容が「オーバーステイを棚に上げて美化した物語」「かわいそうだからオーバーステイぐらいイイじゃない」であれば、釈然としない視聴者はさらに出てくるだろう。
はたしてこのドラマでは、オーバーステイをした事実をどのように表現しているのだろうか。私たちが誤解していただけで実は真っ当な内容なのか、それともオーバーステイしたことをスルーして棚上げした展開になるのだろうか。真のジャッジは、放送後にならないとできないかもしれない。
ドラマが原作と同内容とは限らない
原作小説があるドラマではあるが、ドラマが原作と同内容とは限らない。しかし、より詳細を知りたい人は原作をチェックしてみるといいかもしれない。
皆さんはこのドラマ、どのようにお思いだろうか。
※記事画像はNHKドラマ公式Twitterより