岡本夏美、次の10年は「時が運んでくるものに乗りたい」「想像する楽しみはあります」 映画『パティシエさんとお嬢さん』で“ふわふわ”お嬢さんを好演

  by ときたたかし  Tags :  

尊すぎる“純白ラブコメ”漫画として人気の「パティシエさんとお嬢さん」が、ドラマ化に続いて実写映画化され、劇場版として公開になります。

街の小さなケーキ屋さんでパティシエとして働く主人公(崎山つばさ)が、毎週お店にスイーツを買いに来る“お嬢さん”に恋をするというピュアな物語で、恋に不器用なふたりのもどかしすぎる“両片思い”に注目の本作。

そのお嬢さん、波留芙美子役を、ドラマ・映画「賭ケグルイ」シリーズ、映画『ハニーレモンソーダ』など、話題作への出演が続く岡本夏美さんが、甘いものが大好きで少し天然なふわふわ“お嬢さん”を好演しています。

岡本さんは、「nicola」専属モデルなどを経て、2013年『夜行観覧車』でドラマ初出演。その後もドラマ・映画・舞台と活動の場を広げています。これまでの10年、そしてこれから10年について語っていただきました。

■公式サイト:https://www.tvk-yokohama.com/patissier_movie/ [リンク]

●2013年の「夜行観覧車」のドラマ初出演後、さまざまな映像作品で多彩な役柄を演じられていますが、改めて演技のどこに魅力を感じていますか?

ありがたいことにいろいろな役柄をいただくことが多くて、その都度、役柄を通じていろいろな感情に出会うことが多いんです。普通にわたしが生活していたのであれば直面しなかったであろう感情に出会うことがとても多いので、それは魅力でもありますね。

その反面、苦しくなることも多いです。親がいなくて、いじめられ、ふりむいてもらえない役柄で泣いてしまうシーンなど、そういう瞬間もたくさん訪れます。でも、気づくと、役柄を通してその子の存在がとても愛おしく思える。自分が演じる役柄と一緒になってやっている感覚が毎回あるので、それはお芝居でしか感じられない感情だなと思いますし、そういうことにめぐり合いたくてやっているところはあると思います。

●いくつもの感情に出会いたいことが、お芝居の原動力になっているのですね。

その子になることでしか知れない感情がありますよね。普通に岡本夏美として生活していたら、わからないことがあると思うんです。今回の『パティシエさんとお嬢さん』で言うと、好きなのにもどかしくて伝えられないという気持ちには、わたし自身ではならなかったと思いますし、ほかの作品で言うなら、寂しさを埋めるために何かをする作業も、わたしならしなかっただろうなと思うんです。

いろいろな作品でいろいろな役柄と出会うことで、自分とは違う考え方の子に出会うので、それがとても楽しいです。お芝居が上手くいってもいかなくても、この子でよかったと思えるので、それが楽しいですし、この仕事ならではだなと思います。続けている理由のひとつにすぎないですが、わたしの中の大きな理由ではありますね。

●今回の『パティシエさんとお嬢さん』で描かれる<もどかしすぎる両片思い>の恋は、岡本さん自身はなることはなさそうとのことですが、あこがれたりはしますか?

わたし自身はわからないですが(笑)、実際にはあるかも知れないですよね。気づいていれば両想いであり、その場合はお付き合いをすると思うので、最初の両片思いの状態はあるだろうなあとは思います。映像のように俯瞰では見られないので、そういう意味でもこのドラマは面白いなと思いました。

●映像ならではの感情の描写ですよね。

そうですね。誰かの目線がないと両片思いかどうかわからないので、そういう意味では新しい作品だと思いました。

●さて、これまでの10年を振り返り、何か思うことはありますか?

芸能界へ13歳で入って今年24歳になりますので、まる10年にはなりましたね。でも、そこまで大きく捉えていないので、気持ちはまだまだ卵です(笑)。10年やった感覚もあまりないので、わたしはたぶんそういうタイプです。囚われないタイプです。

ただ、ここ4~5年の自分の意識の話なのですが、わかりきった上でやることをしたくないという想いが常にあります。たとえば、こういうセリフの言い方をしたら、こういう音が出るだろう、こういう表情をすれば、こういう顔で映るだろうと、自分のわかっている範囲内でのお芝居をしたくないんです。でも、そこをはみ出す作業は、とても勇気がいることで、まるで暗いトンネルに入るみたいなイメージです。

なので、とても勇気が要ることなのですが、それをどの作品でも続けて行きたいなと思っていて。そのためにはとても準備が必要なので、瞬発力も含め、努力したいと思っています。

●次の10年については考えますか?

次の人生は33歳ですね。すごいですね、大人(笑)。考えますね。でも、そういうことに囚われてしまうのは好きじゃないですし、日々わくわくしたいじゃないですか。人生は1回きりしかないので、自分がわくわくできることを、仕事もプライベートも、自分がやっていて楽しいと思うことをしていたいですね。そのためには勉強も必要!

何も考えていないわけではないのですが、それこそご縁と言いますか、時が運んでくるものに乗りたいです。これからどうなっていくのだろうと想像する楽しみはあります。その時のために、今は備えないといけないですね。

■ストーリー

パティシエ・丈士(崎山つばさ)の働く「パティスリー・シュバル」に、
毎週金曜日、スイーツを買いにやって来る“お嬢さん”・芙美子(岡本夏美)。

1週間働いた自分へのご褒美としてはもちろん、“パティシエさん”に会えることも楽しみにしている。一方の丈士も、自分が作ったケーキに目を輝かせながら選ぶ彼女に惹かれていた。

しかし恋愛に奥手な丈士は、一向に彼女の名前すら聞けないまま…。

お互いに“特別なパティシエさん”と、“特別なお客さん”の関係のままの2人。

出会いから1年、丈士の兄でお店のオーナーシェフ・稜(村井良大)に背中を押される日々の中、遂に彼女の名前を聞き出す策を思いつく丈士。

果たして今度こそ、丈士は芙美子との関係を前進させることができるのだろうか?

両片思いの2人の恋の行方は…?

5月6日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
(C) 銀泥/一迅社
(C) 2022「パティシエさんとお嬢さん」製作委員会
配給:トリプルアップ

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo