モンスターパニックDIY映画『宮田バスターズ(株)-大長編-』監督・坂田敦哉&主演・渡部直也インタビュー!「本番一発勝負の繰り返し、毎回円陣を組み気合いを入れて撮影していました」

  by ときたたかし  Tags :  

宇宙生物駆除を業務とする中小企業を描いた規格外の国産B級映画『宮田バスターズ(株)-大長編-』が現在、池袋シネマ・ロサにて公開中です。前進のインディーズの短編映画『宮田バスターズ(株)』はインディーズ映画配信サイトDOKUSO映画館で3か月連続視聴ランキング1位の快挙をとげ、2019年カナザワ映画祭で「期待の新人監督」に選出されるなど、様々な映画祭で話題となって2年。このほどクラウドファンディングにより、約20分間の短編映画が長編映画としてパワーアップリニューアルし、長編も“徹底したモンスターパニックDIY映画”に仕上がっています。その監督・坂田敦哉さん、主演・渡部直也さんにインタビューを実施しました。

■公式サイト:https://miyata-gogo.com/ [リンク]

●ファン待望の劇場公開ですが、今の率直なお気持ちはいかがでしょうか?

坂田監督:初めての長編による劇場公開なので本当にうれしいです!

渡部直也:やっと「ここからだぞ!」という気持ちです。スタートだと。直接のスタッフでない方までがビラ配りを手伝ってくださったり、幸せな映画だなと思います!

●とてもエネルギーに満ちあふれていて非常に楽しく拝見しましたが、撮影現場の熱気が伝わってくるようでした。

渡部:確かに撮影現場でのエネルギーはすごいものがありました。セットは壊したらもう作り直せないので、本番での一発勝負。それの繰り返しだったので、熱気みたいなものが映像から出ていたらありがたいです。重要なシーンでは何回も円陣を組み、毎回気合いを入れて撮影していましたので(笑)。

坂田:わざわざ「号令」をかける役割だけの人もいるんです。大切なシーンの前には彼を呼び、気合いを入れてもらうという。

渡部:坂田監督の言葉を借りると「バイブスを入れる!」という感じですかね。それを1回注入してから本番の撮影を始めるという。楽しい撮影でした!

●タイトルや設定などから、1980年代の洋画感が素敵だなと思いました。

坂田:(世代的に)ドンピシャですか、やっぱり。でも正直なところ、僕は80年代を狙って作ったわけではないんですよね。いつも言われてびっくりしているんです。

渡部:けっこう言われるんですよね。毎回のようにご指摘いただくところです。

坂田:そこまで意識はしていないんです。たまたまのモチーフとして思い付いたのがあれになっていて、それが刺さってくださる方が多かったようなんです。

渡部:監督は何かのマニアやオタクではないんですよね。不可抗力みたいな感じです。

坂田:そうなんです。だからふられてもあまり深い話ができないんですよね(笑)。でも、とてもありがたいです。いつも感想をいただくたびにうれしく思いますね。

●すると、アイデアのもとは何だったのでしょうか?

渡部:今だに覚えていますが、最初に監督が言われていたのは「車を壁に突っ込ませたい」ということでした(笑)。

坂田:そうなんです。初期衝動としてはそうですね。僕の場合、ストーリーではなく、話題になりそうなことを自主映画でもやれていることを見せたかったんです。なのでセットも全部自力で組み上げ、そこに自力で作った車を突っ込ませたら、面白いなと。さすがにそこまでやっている学生の自主映画はないでしょうから、何かしら話題になるとだろうなと思ったんですよね。

●まず撮りたい映像や、試してみたいことが先行してあったという。

坂田:セットも『スター・ウォーズ』みたいなものは無理だったので、中小企業ならいけそうだなと。なら、宮田バスターズにするかと。なので、いろいろなことが後付けなんですよね。後から宇宙生物の設定も考えていたので。

渡部:なので宮崎美子さんが参加された時に「宇宙生物ってどんなニオイなのかしらね」とおっしゃっていて、決まってないので返事に困ってしまいました(笑)。

●自主映画ならではの面白さもあると思いますが、短編の時は不満があって今回の長編の制作に至ったそうですね。今回の手応えはいかがですか?

坂田:満足しています! 会心の出来。でも会心と言いながら一撃ではないのですが。

渡部:これはもう本当に「インディーズ映画界のサグラダ・ファミリアか!」というくらいの追撮、追撮で。公開中も追撮するのかと思うくらい追撮していました。

坂田:何回やったかわからないくらい撮りましたね(笑)。映画を撮りながら修行させていただいてるところもありますので。短編で完全に反省して、今回は一発でいけたのではく、やれることをできるかぎりやっている感じでした。

渡部:それが面白いんです! 新しい小道具も出てきたり!

坂田:短編の時に世に「出したものがすべて」ということがわかったんです。なので、出すまでは妥協したくないなと思いつつ、いろいろな方にご迷惑をかけながら頑張ってみました。自主映画なので、わがままにやらせていただきましたね。

●その甲斐あって楽しい作品になりましたね。最後にメッセージをお願いします!

渡部:この映画は、時代に取り残されている人間たちの悲喜こもごもですかね。「オレもそうだよ!」と思うかも知れない。SFだと思って入ると、意外とサラリーマン悲喜劇だったりするので、ご期待ください!

坂田:ただのSFではない、人間ドラマもあります。子どもから大人まで幅広い世代の方に観てほしいです。ポップですけど、マニアックでもあり、誰が観ても楽しめるように作っていますので、ぜひ映画館で鑑賞してください!

■ストーリー
どんなものにも終わりは訪れる。
人々の安全を守るべく、長きに渡り宇宙生物と戦い続けてきた中小企業の均衡は「テクノロジーの進歩」によって崩れ始めた…。

宮田バスターズ(株)-大長編-
池袋シネマ・ロサにて公開中
(C) 映像製作団体友

渡部直也

大須みづほ、佐田淳、山本愛生 ほか

監督・撮影・脚本・照明・編集・特殊造形:坂田敦哉
2021年/日本/日本語/カラー/16:9/ステレオ/72分/(C) 映像製作団体友

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo