マンハッタンは細長い島で、世田谷区程の面積です。緯度は青森県とほぼ同緯度で、どおりで大雪にも見舞われます。ただ、高層ビルとアスファルトに敷き詰められた土地柄ゆえ、夏の暑さは人工的に跳ね上がり猛暑も続き、暑さ寒さの振り幅が異常に広い街です。
縦長の島を通るのがアベニューで、1番街から始まり12番街まで大通りが走り、この数字の通りだけでなくレキシントン、マディソン、パーク、ブロードウェイなどの数字以外のアベニューも加わります。そして横をストリートがコマめに走ります。
この島の土地は価値があります。しかし、空き地なんてあるんでしょうか?マンハッタンでもイースト・ハーレムのような端の端あたりの、家賃が安い地域で更地を見たことがありますが、それらはビルが建つ建設予定地です。
さて、ミッドダウンにも空き地が出来ますが… ”あります”ではなく”出来ます”がポイントなのですが、ミッドタウンでは平屋の小さな店舗がいくつかある建物数軒をぶち壊して更地にし、そして新しくアパートを建てている工事真っただ中の物件をよく見ます。
例えば写真の風景は、医薬品売上高世界2位のファイザー本社と目と鼻の先の東側41丁目。近くにはイスラエル領事官やブラジル領事館他がある領事館銀座で、ニューヨークデイリーニュースの本社やテレビ局もすぐそばにあります。
建設中のビル以前は、クリーニング屋、日本レストラン、ハンバーガー屋、ピザ屋が並ぶ平屋建て繋がっていました。いつの間にかピザ屋の店舗に移転の知らせが貼られ、周りの店舗もいなくなりました。不動産会社がこれらの小さな商店の並びの平屋を買収して、建物を解体し、平屋にして新しくビルを建てている流れです。このビルはアパートとして貸し出す、もしくは売り出すのでしょう。
この辺りは”Walk to work.”と、”徒歩圏内で通勤可能”の売り文句で、ミッドタウン勤務であれば徒歩通勤可の大変便利な場所柄ですので、貸すにしても売るにしても簡単に高値がつき、借りて買い手はすぐにつくことでしょう。
アメリカのボードゲーム”モノポリー”は、日本の双六に似た要領で、盤上の不動産取引でビルやホテルを建て、他プレーヤーから高額な家賃を得て対戦相手を破産させるものです。
マンハッタンにはエレベーターのないような低いビルが2、3棟並んでいる街角をよく見ます。その小さなビルの1階は店舗で2階からアパートになっています。こういう建物は不動産会社の”餌食”になりやすく、先ず1階店舗は立ち退いて、アパートの住人達も気の毒に撤退を余儀なくされます。暫くすると建物は壊され、更地になり、空いた敷地にやがてアパートが建ちます。
ミッドタウンの花形、五番街でも同じような風景に出会います。42丁目にあるニューヨーク公共図書館はニューヨークのランドマークで映画にもよく出てきます。入り口に大きなライオン像が2つ並び観光客の写真スポットでもあり、その有名図書館から数ストリート東に上る一角に更地があります。
この更地になる前は、背の低いビルが数棟並んでいました。老朽化しているビルでもなかったのですが、ミッドタウンの五番街には不似合いだったようで、まさにモノポリーの如く不動産取引で買収されたのでしょう。そして不動産会社は高額な家賃を得て、更に資産を増やすです。
これで財を成した人がすぐ頭に浮かびました、ドナルド・トランプ第45代アメリカ合衆国大統領です。ボードゲーム・モノポリーを地でいく人物です。モノポリーは”独占”を意味する英語、さて、不動産同様、願いの再選も隙あらば”独占”できるでしょうか?