実写版支持の秘訣は「愛」!名作を撮り上げたフランスの冴羽獠、フィリップ・ラショー氏の素敵カットをご覧ください

  by ときたたかし  Tags :  

原作・北条司が「これぞシティーハンター!」と太鼓判! 観賞したファンの絶賛も後を絶たない、高い完成度で話題の実写映画『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』。来日した監督・主演のフィリップ・ラショーさんは「過去にうまくいかなかった作品も観てきた。それらを反面教師にし、愛情をもって製作に取り組んだ」と取材で語りました。

●リアルタイムで観ていたので、まさに完璧なシティーハンターがよみがえった感覚にもなりましたが、ファン歴は長いのでしょうか?

1980年代、フランスのテレビ局で日本のアニメーションが流れた時、僕らのジェネレーションは夢中になった。もちろん僕もだ、ウソじゃないよ(笑)。冴羽獠はフランスではニッキー・ラーソンという名前だったけれど、彼は愉快でお茶目なところがあって、戦うと無敵。ヒーローだ。

●当時のフランスには、そういう作品がほかになかった?

フランスのアニメーションは貧しくてね(笑)。とにかく日本のアニメーションは革新的だった。

●冴羽獠を自分で演じることは念願だったのですか?

もちろん、もちろん!
ほかの俳優を起用することも考えたんだけど、子どものころから観ているからね。日本の漫画を実写化して日本でお披露目って、信じられないよ!

●エロディ・フォンタンさん演じる槇村香もよかったです!

北条司先生も同じことを仰っていて、一番好きなキャラクターなんだそう。彼女のことはよく知っていたので今回すぐにお願いしたけれど、ファルコンを見つけることが大変だった。ファルコンを演じたカメル・ゴンフーは映画俳優ではなかったので、アクションシーンもゼロから教えたくらいだったよ。

●新宿には行きましたか?

実は新宿っぽく見せようとは思ってないのさ。最初はロケも考えたけれど、まわりが日本人なのにフランス人が母国語で話しているのもね。かといって、フランスの特定の街でもない。ただ、大都会の雰囲気にはこだわりたくて、日本みたいな高層ビルがないのであとで足したんだ。

●今回の来日では行けましたか?

日本に到着してすぐに行ったよ。来日当日が唯一、僕らの自由な夜だった。新宿でゴジラを見たよ(笑)。最高だった。まるで映画の中にいるようだった。

●今回の作品を観て一番思ったことは、オリジナルを実写化する場合、対象への愛やリスペクトが重要だということでした。自分なりの実写化~などと説明をされることがありますが、そういうものは要らない。

シティーハンターにはお馴染みのキャラクターやアイテムがある。ハンマーやカラスや、海坊主みたいな<コード>だ。そういうものはできるだけ取り入れようとした。この作品の魂は、獠と香の決して叶わぬ恋であったり、獠とファルコンが敵対関係にある一方で、どこかで助けあっている部分がある。そういう二面性を大事にしながらできるだけ忠実に再現した。

●日本でも実写化企画はありますが、スベる時はスベりますからね。

過去にうまくいかなかった作品も観てきたよ。それらを反面教師にし、愛情をもって製作に取り組んだんだ。

●北条先生とは、どういう話をしたのですか?

初めて北条先生にお会いした時、なんて素晴らしい人なんだろうと思いました。今回日本で再会出来て、すごくうれしかったです。「また一緒に何かやろう!」と仰ってくれましたが、どうなるでしょうか(笑)。僕たちもぜひまたご一緒出来たら良いなという話をしました。北条先生は謙虚で寛容で、すごく好意的で。大好きです!

●今日はありがとうございました! 最後にメッセージをお願いします!

アクション・コメディーの要素がたくさんあるので、笑いはもちろん、ちょっとしんみり感動したい人に、ぜひおすすめです。「シティーハンター」という枠を超えて、日本のアニメーション全体にオマージュを捧げたいと思いました。僕のリスペクトの数々が込められている作品です。裏切りませんよ(笑)。

『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』
11月29日(金)より、TOHOシネマズ系にて全国公開!

■監督:フィリップ・ラショー(『世界の果てまでヒャッハー!!』)
■出演:フィリップ・ラショー(冴羽獠)、エロディ・フォンタン(槇村香)
■配給:アルバトロス・フィルム
■コピーライト:(C) AXEL FILMS PRODUCTION – BAF PROD – M6 FILMS

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo