『YouTube』の音質は悪いのか?
オーディオ愛好家などは『YouTube』の音質を悪いと言います。また、CDやDVD,地デジと比べると音が悪いと感じている人も多いです。 ただ、YouTubeはパソコンに付属してきたスピーカーやモニタ内蔵のスピーカーで再生しているため、そのように感じても口に出さない人も多いです。実際、CDの再生はしっかりとしたオーディオシステムを使いDVDの鑑賞はテレビの比較的音質の良いスピーカやホームシアターシステムを使っている人が多く、本当にYouTubeが悪いのか自信がないと感じている人も多いです。
気のせいなのか測定してみました
http://www.youtube.com/watch?v=vitEyDSBsAI
『YouTubeの音は悪い 16[kHz]で強制カットされる チャンネル登録 2,479 本の動画』(http://youtu.be/vitEyDSBsAI)
上記の動画で実験内容を公開しています。 まずは”ホワイトノイズ”と呼ばれる音声を作ります。 ホワイトノイズとは全ての周波数が一定して分布している音声のことです。ラジオのチューニングがあっていないときに出る「ザー」という音に似ている音声です。 ホワイトノイズを”スペクトルアナライザー”(スペアナ)で分析すると全ての周波数が均一に表示されます(fig.1)。
fig.1 アップロードする前の音声スペクトル 均一に分布していることが確認できる
次に、作成された音声ファイルを動画ファイルにして『YouTube』にアップロードします。その後、YouTubeの機能を使ってダウンロードします(注:自分でアップロードした動画は正式にダウンロード可能です。) ダウンロード後、動画ファイルを動画編集ソフトを使って音声ファイルを取り出し、そのファイルをスペアナ解析しました。(fig.2)
fig.2 ダウンロードした音声スペクトル 高い周波数成分が欠落していることが確認できる
『YouTube』でアップロードされた動画の音声は16,000[Hz]でカットされていることが確認できます。非常に微妙な部分ですが、ピュアオーディオとしてはこの波形は嫌われると考えます。
考察:何故『YouTube』の音は悪いのか
『YouTube』は3Dや4K2Kと言った高画質などの映像面での改善を行なっています。特に4K2Kについては再生環境が無いのにもかかわらずストレージ強化などを行なって推進しています。一方、サラウンドなどの音声に関わるフィーチャーは全く強化されていません。それどころか、今回の検証のようにとてもピュアオーディオファンを満足させるものでも有りません。 ただ、これはユーザの嗜好を正しく分析しているのではと思います。 それは、音声に関して気にする人が少ないからと考えます。 テレビを買うときに、大画面のものを買う人は多いですが、大きなスピーカーが付いているものより、ベゼルが薄いスタイリッシュなモデルの方が好まれます。 また、サラウンドシステムを購入する人もテレビの台数と比べると非常に少ないと考えます。
オーディオシステムも、小型化が行われ音質より手軽さを求めている結果なのかと考えます。大型のスピーカーで評価が高い『JBL社』も『iPod』用のパワーアンプ付きミニスピーカーをリリースしています。 大手スピーカーメーカーのマーケティング結果からみても、これが正直な意見なのかと考えることができます。
『YouTube』もこのことを踏まえて高音質化という方向を捨てて、高画質化の方向に向いているのだと私は考えます。