沖縄旅行のすゝめ

  by いごっそ  Tags :  

2015年2月@久高島(沖縄)

沖縄旅行!という言葉からどんな旅をイメージするだろうか?
マリンスポーツ、沖縄料理、三線生演奏などなど。
確かに筆者も初めての沖縄旅行=夏のマリンスポーツのイメージであり、昼はスキューバーダイビング、夜は沖縄料理に舌鼓を打ち、民謡酒場で盛り上がった事を鮮明に覚えている。

が、今回はそんなイメージとはちょっと違った沖縄旅行をオススメしたい!
それは『観光ガイド』の視点によって新しい沖縄を知る旅である。

言わずもがな、沖縄には世界遺産に認定されている場所がたくさんある。
皆さんも今帰仁城跡や斎場御嶽など聞いた事があるのではないだろうか?
沖縄によく行く旅行者は実際に行った事がある方もいるだろう。

だが『観光ガイド』と一緒に旅をした方は何人いるだろうか?

沖縄の観光名所には地域の方々が運営する『観光ガイド』が存在する。
浦添ようどれ、中城城跡、勝連城跡、今帰仁城跡、久高島など。
ガイド料は無料もあれば有料や参加人数によって変わるものなど様々。

今回はその中でも斎場御嶽での『観光ガイド』との旅を紹介したいと思う。

斎場御嶽は旅行雑誌などに『パワースポット』と紹介される観光名所の一つである。
パワースポットと聞くと「運気が上がる」とか「恋人ができる」などという事を思い、斎場御嶽に訪れる人もたくさんいるのではないだろうか?
だが、斎場御嶽とは19世紀まで女性しか入る事を許されなかった沖縄の聖域であり、琉球王国や地域の方に最も大切にされてきた自然崇拝の場であり、琉球王国の祭礼の場でもあった。
(実際、今もこの地域の住民には観光客の入場に反対している方も多い)
ゆえに斎場御嶽に入る前に簡単な映像を見る事が義務付けられており、斎場御嶽でのマナーの説明を受ける。
その後、希望者は斎場御嶽の『観光ガイド』をその場で頼む事ができるのである。
※ガイド料は1~10名まで1グループにつき2,000円(11名以上は1名増すごとに100円増)

今回、私は金城さんというガイドさんと斎場御嶽を旅した。
金城さんはとても丁寧に『御門口(ウジョウグチ)』『大庫理(ウフグーイ)』『寄満(ユインチ)』『三庫理(サングーイ)』など案内をし、斎場御嶽と首里城との関連性や聞得大君(きこえおおきみ)、アマミキヨ、過去にどのような祭礼を行っていたのか、さらには第二次世界大戦の砲撃によってできた『砲弾池』の事まで詳しく話してくれた。
事前にインターネットや観光雑誌にて斎場御嶽の知識を仕入れていたのだが、そこに上書きするかのごとくより詳しい情報を金城さんは語ってくれる。
さらにはその場で浮かんだ素朴な疑問、質問にも明るく答えていただき、型にはまったガイドではなく、本当にたくさんの知識の中からガイド時間に合わせた説明をしてくれている印象であった。
また『三庫理(サングーイ)』の奥の拝所から見える『久高島』の琉球神話の話にも及び、斎場御嶽だけでなく久高島への興味も膨らんだ。
(結果的に翌日、久高島にも行く事にし、久高島から斎場御嶽を眺める事にもなった)

二つの鍾乳石による占いについて説明してくれている金城さん

今回の『沖縄旅行のすゝめ』では旅した場所での『生きた言葉』の大切さをお伝えしたい。
最近はインターネットなどが発達したこともあり『観光ガイド』などいなくてもそういう場所について理解した気になる事が多い。
だが、そういう場所の説明はインターネットなどでカバーできない事も多く『観光ガイド』の説明でないと聞けない情報もたくさんあるという印象を受けた。
今後は『観光ガイド』を活用した沖縄旅行をぜひオススメし、さらに沖縄を知ってもらいたい!

「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」は有名な言葉である。
しかし、福沢諭吉氏は続けてこのように書いている。
「賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとに由ってできるものなのだ。人は生まれながらにして貴賎上下の別はないけれどただ学問を勤めて物事をよく知るものは貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるのだ。」

旅も『学び多き旅』でありたいものである。

<斎場御嶽>
御嶽(うたき)とは、聖域とされる空間であり、祈りの場です。斎場御嶽(せーふぁーうたき)は琉球王国の中で最も格の高い聖地。人工的な建造物はなく、うっそうとした樹木とむきだしの岩山そのものが神の宿る存在として拝まれていました。かつては男子禁制で、たとえ国王であっても女装に改める必要があったと伝えられています。

1979年高知県土佐市生まれ。 土佐高等学校、大阪府立大学農学部獣医学科卒業。 大学在学中より国内公演はもちろん、海外公演や国際共同制作などのProduceを行ない、Osaka Short Play Festival、大阪・アジアアートフェスティバルにスタッフとして参加。black chamber、精華小劇場事務局などを経て、2009年〜2014年はGorch Brothersに所属。主に劇団「柿喰う客」、中屋敷法仁のマネジメントを担当。 2015年1月より独立し、フリーランスのProducerとして活動中。舞台に限らず様々なジャンルの企画、運営、広報や制作講座、講演なども行なっている。

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