紙物も扱うデザイナーにとって、今や印刷所の手配や配送までが仕事の責任範囲に広がっているのは最早常識。以前なら印刷営業さんが足しげく通ってくれ、入稿のCD-RやMO（！）などを渡したらある程度お任せで安心できたのだけど、そこはネットが浸透しライフラインともなったこの世の中、値段の比較から入稿、配送先情報入力まで全てオンラインで完結する。
逆に言えば、ネットに何かトラブルがあれば全ての作業が止まってしまう。今回もそれが原因らしいトラブルが起きている。TVでもCMをしている、安さと早さがウリで全国に多く顧客がいるであろう印刷会社に障害が起きている模様だ（9月30日現在）。
実際、私も被害を受けてしまった。今日の午前中にクライアント先に納品されるはずの印刷物が今現在も届いていないどころか、進捗状況（というより状況説明か？）の報告も、お詫びすら届いていない（30日 21時）。2日前、印刷会社から「入稿データに何も問題無いので印刷に入る」とのメールが届いて以降、何の音沙汰もなかった。
ざっと印刷物が出来るまでを説明すると、
デザイン作成→デザイン完成→印刷用にデータを微調整→入稿（印刷会社にデータを引渡す事）→
（ここからは印刷会社の作業）→印刷所でデータに問題ないかチェック→印刷→梱包・発送作業→
（ここからは運送業者の作業）配送→到着・納品
以上が大体の流れで、印刷会社に作業が移った時点からは進捗状況をメールや電話等で知らせてくれるのが普通だ。データに不備があれば知らせてくれ、発送まで出来れば配送会社や問い合わせ伝票番号を教えてくれる。万が一印刷会社にトラブル等があり、納品期日に影響が出ようものなら、速攻で連絡をしてくれるのが常識。締め切りは絶対なのだ！
ところが今回、進捗のメールが一切来なくなった上に、こちらからのメールの返答まで来ないばかりか、電話も一切繋がらない。呼び出し音すら鳴らない状況だ。
この事態にTwitter上などでは情報を求めるデザイナーや印刷発注者達が書き込みや状況把握のため集まっていた。届かない印刷物に不安を抱く人、メールが返ってこないことを怒る人、運良く電話が繋がり対応してもらえたと報告する人、この印刷会社に頼まなくて良かったと安心する人、果ては、以前この印刷会社であったトラブルや事故を捜し出した人まで現れる。
私自身も、とにかく自分だけが困った状況ではない事に加え、状況が少しずつわかってきたことで少し冷静さを取り戻せた。締め切りの前日納品にしていたお陰でちょっとだけだが時間に余裕があったので、他の印刷会社の選定作業と入稿作業に入った。
印刷物は、通常 入稿してから4日〜10日程度（ページ数や部数、加工等による）かかるのだが、今回の印刷物はいわゆるチラシだったため当日印刷をしてくれる所が見つかった。もちろん費用は高く、通常の5倍程度の費用がかかる。だが、やはり「締め切り絶対」というルールの前ではコストは度外視。間に合うだけ良かった。
いつの間にかお詫び文が出ていたが、この事故（と言っても良いでしょう）は社内ネットワークが異常に遅くなって生じた物だと書かれている。注文しているお客に対して個別に連絡がないということは、サーバやデータに障害が出ているのかもしれない。
このトラブルに対する憤りは感じつつも、ネットワークやシステムの脆さに恐怖も感じた出来事。徹夜明けに追い打ちをかけるような一日だった。
※画像はunit3が作成。
