前3回に引き続き今月末で著作権保護期間を満了し、生前の著作が“自由化”される先人たちを分野ごとに紹介して行きます。
今月末で著作権保護期間が満了する先人たち‥2014・その1【日本文学編】
http://getnews.jp/archives/711260 [リンク]
今月末で著作権保護期間が満了する先人たち‥2014・その2【海外文学編】
http://getnews.jp/archives/712251 [リンク]
今月末で著作権保護期間が満了する先人たち‥2014・その3【美術・建築編】
http://getnews.jp/archives/713344 [リンク]
今回は音楽分野の先人たちです。
三木露風(1881-1964、代表作『赤とんぼ』『かっこう』)
作詞家・詩人。兵庫県揖西郡龍野町(現在のたつの市)に生まれる。旧制中学校在学中の1906年(明治39年)に最初の詩集『夏姫』(血汐会)を刊行。上京後、鈴木三重吉が主宰する『赤い鳥』の執筆陣に参加し、主に童謡の作詞を手掛けた。代表作の『赤とんぼ』『かっこう』を始めとする大部分の詞は山田耕筰(1886-1965)が作曲している。
1922年(大正11年)にカトリックの洗礼を受け『日本カトリツク教史』(第一書房、1929年)などの信仰に基づく著作数点も公表している。1964年(昭和39年)の暮れに交通事故で意識不明の重体となり、回復に至らず逝去。勲四等瑞宝章を追贈された。生家は出身地のたつの市龍野町に現存し、一般公開されている。
なお、代表作の大半を作曲した山田耕筰は現行法に基づけば2015年(平成27年)末、つまり約1年1か月後に著作権の保護期間を満了する。
古川太郎(1911-1964、代表作『富嶽三十六景』『箏八重奏曲』)
作曲家。栃木県に生まれ、宮城道雄に弟子入りし箏曲を学ぶ。戦前は東京音楽学校選科で生田流箏曲を専攻し、1942年(昭和17年)に『富嶽三十六景』で都新聞(現在の東京新聞)が主催する邦楽コンクールに二等入選。
戦後は各地で箏曲のコンサートを開催し、日本の伝統音楽復興に尽力した。1954年(昭和29年)、ラジオ東京(現在のTBSラジオ)の委嘱で作曲した『箏八重奏曲』が文部省芸術祭奨励賞に選ばれる。
日本では今月末に著作権保護期間を満了する海外作曲家たち
以下の作曲家は日本やカナダ、ニュージーランドなど著作権保護期間が50年の国では今月末に満了を迎えますが、それぞれの本国では来年以降も著作権が存続する予定です。
テオドール・ブルーメル(ドイツ、1882-1964)
代表作は『弦楽三重奏曲』『シュヴァイツァー五重奏曲』など。
グスタフ・ベングトソン(スウェーデン、1886-1964)
代表作は『弦楽四重奏曲』『チェロ協奏曲イ短調』など。
アレクセイ・ジヴォトフ(ロシア、1904-1964)
代表作は『九重奏のための断章』など。
ヴィレム・カップ(エストニア、1913-1964)
代表作は『交響曲第2番 ハ短調』、歌劇『レンビトゥ』など。
また、以下の作曲家は日本における戦時加算対象国の人物ですが、サンフランシスコ講和条約が発効した翌年の1953年以降に発表した作品については戦時加算は適用されません。
ジョージ・ダイソン(イギリス、1883-1964)
『交響曲ト長調』(1937年)や『ヴァイオリン協奏曲』(1941年)は戦時加算対象だが『甘美なるテムズはゆるやかに流れる』(1954年)や遺作『カンタベリーの巡礼者たち』(1964年)は対象外。
コール・ポーター(アメリカ合衆国、1891-1964)
『ラヴ・フォー・セール』(1930年)や『ビギン・ザ・ビギン』(1935年)、『ソー・イン・ラヴ』(1948年)は戦時加算対象だが『オール・オブ・ユー』(1954年)や『トゥルー・ラヴ』(1955年)は対象外。
(その5に続く)
画像:三木露風(1948年撮影)