チェアーマンの正体は

  by 草薙 斐  Tags :  

 

こんにちは、草薙 斐です。今回は最近レンタルリリースされました『アジャスメント』をご紹介致します。私は映画館で既に見ました。なんと丁度、映画内のシーンにあるように雨の日に足を運んだ訳です。これこそ”神の計画”ですね。ま、考えすぎですね。

 マット・デイモンが全面に出た日本版のポスターやDVDのジャケットを見ると、「あれアクションなのかな?」という気がしますけど、実はとてもメルヘンチックな映画なんです。テレビの紹介とかでもサスペンスとかスリラーと銘打っていることが多いのですが、ラブロマンスだと個人的に思っています。

 ある日、主人公の前に現れたスーツに帽子姿の人間たち。彼らの目的は”運命”を操作し、”チェアーマン”という人物に従うこと。その運命に逆らい、恋人と結ばれることができるのか。

 上記が大雑把な紹介文です。ですが今回の注目点は、”原題”とこの映画の解釈を述べて見たいと思います。原題は『The Adjustment Bureau』です。

Adjustment  調節すること Bureau 官庁などの局、課、事務所

 直訳すると”調節事務所”です。何とも色気のないタイトルだとは思いますが、邦題では『アジャスメント』になっています。一体何のために調節をしなければならないのでしょうか。こんなくだりがあります。

「君らは天使なのかい?」「そう呼ばれることもあるね」

 スーツ姿で帽子の人間たちは実は、人間の姿をしていますが、厳密に言うと”人間”ではないのですね。彼らはアメリカ政府の機関の人間だとか言うわけではなく、”チェアーマン”の部下で、”チェアーマン”の指示で動いているのです。それでは一体”チェアーマン”って誰なんでしょうか。答えは”神様”です。特にキリスト教の考えの上での神様です。キリスト教の考え方には”運命 destiny, fate”、”神の計画  God’s plan”というものがあります。実はこの映画、宗教的な解釈が含まれているのです。でも決められた運命に従うことは正しいことなのか?その答えはこの映画を見て下さい。この映画はとっても見やすくて、ラストが爽やかです。見た後、私なんて雨の中スキップして、すべって転びました。私が見たときは一人で来ている人が多かったのですが、カップル向けです。人によってはこの映画の後、恋人にプロポーズしてもいいかもと思っています。この映画には、恋に勇気を与えてくれる印象を持ちます。ただ私のようにすべって転んで痛い思いをしても当方では責任を持ちかねます。

 映画にはさまざまな解釈があります。直接見えないことも考えながら見ると、新しい発見があると思います。

 

映画、依存症、英語、アメリカ文化について研究しております。ホームページでは気ままにTIME誌の記事を訳していたり、海外ドラマに解釈をつけたりしています。

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