インターネット考論「インターネットで殺される時代」

  by 森井聖大  Tags :  

 

メキシコ事件

ニュースとしては随分前の話題になるが、いやはや、このニュースは、facebookやフジテレビデモから顕著に現れてきた、ネットのリアル化を考えているところの僕に、かなりの戦慄を与えた。

インターネットで好き勝手に言うのもいいし、正義感からジャーナリズムが突っ込めないタブーに立ち向かう人々がいてもいいが、こういう危険があることを承知で、殺される覚悟をもってやらなければならないとすると、敷居はぐんとあがり、結局はジャーナリズム同様危ないネタには沈黙せざるを得ないということにもなりかねない、というか、多分なる。

まさに、ネットが一メディアとして確固として認知される時代になれば、こういうことも、考えていかなければならないだろう。

だとして、うん、だとして、匿名性の重要性というものを今一度再浮上させる必要がある。

2chなどみていたら、

「匿名だからって好き勝手言ってるな、いっそ実名制に!」

などと憤慨する気持ちも少しあったが、このニュースを見たあとは、考えを改めざるをえない。匿名でなければダメな場合もあるなあ。こういう麻薬組織を糾弾する時は実名では、最終的にこうならざるを得ないとなると、やはり匿名でしか無理だろう。

日本においては、麻薬組織ではピンとこないが、要はヤクザ組織とか反社会的組織で、殺すことは朝飯前みたいな人間を相手に、何かいう時は、もし言いたい人が一般人なら実名では不可能だろう。殺されるまではいかないまでも会社勤めの人は会社にイヤガラセなどもあるだろうし、家の窓ガラスを割られたり、まあ色々ありそうだ。

もともとジャーナリストなどなら仕事という使命感もあるし、功成し名を遂げる意味でも匿名ではなく実名もしくは公のペンネームでやるしかないだろうが、一般人ならば、その必要はないと思う。

ということで、facebookなどで実名を推奨しているが、まあ日本人は頭がいいのか全員がオリコウさんに言うとおりに実名を登録しているわけじゃないから、このままでいいと思う。facebookなんかどうでもいい。欧米の真似をしても仕方ない。日本はこのままでいこう。

現在こういう日本のネット環境でも、大丈夫かなあと思う人たちが結構いる。動画がエキサイティングだから、よく見ているのだが、在特会なんかも、いつ殺されるかわからないと思う。正式には、『在日特権を許さない市民の会』という、本人たちは右翼ではないというが、まあ確かに日の丸を掲げてはいるが右翼というより、ナショナリズム故の排他主義、そしてファシズムだろう。とにかく、ひどいといわざるを得ない活動をしながら、かなり勢力を伸ばしているし、現在の嫌韓の風潮などに彼らが与えた影響は、あるいはニコ生やyoutubeを駆使し活動をする手法などで、元々あるものを助長させたという意味での時代を表した団体と言ってもいい。

このまま人が集まり始めると、無知と愚痴と偏見がはびこる世界で、どうしても大衆の性として、twitterなんかも含めてSNSなんかはやっぱり共感主義に陥り、誰のためにか空気を読んだりしていたら、現実の社会同様、本音は言わないようになって、それもまた面白みに欠ける。黎明期の面白みはもうなくなり、ここまできたら、個人がただ個人として発する言葉の何と空疎なことだろう。

でも、まあ、僕らは、はて、この先、どうなるのか、しばし観察していようではないか。

何故?