高校球児達がありったけの想いを白球にぶつける様は血が滾る。
今年も熱戦が続く全国高校野球選手権大会で一つの騒動が起きている。
4日の1回戦、東海大四(南北海道)のエース西嶋亮太投手(3年)が九州国際大付戦でみせた計測不能の超スローカーブである。
この魔球を駆使し、4者連続を含む12奪三振。
圧巻のピッチングであった。
しかしこのスローボールを目の当たりにし、ある元アナウンサーがこういった。
「世の中をなめた少年になって行きそうだ」
西嶋投手が投げたスローボールが相手打者を侮辱しているというのである。
たしかに投げた際の西嶋投手からは笑みがこぼれ、遊び心もあっての投球であった事は伺える。
だがはたしてそれが侮辱行為といえるのだろうか?
野球はチームプレイを要求されるが多くの時間は個と個のぶつかり合いである。
投手はキャッチャーのミットに目掛けて球を投げ、打者は進塁するために苦心する。
この心理戦こそが野球の醍醐味であると思う。
西嶋投手は賞賛に値するプレイであり、非難を浴びるのは不当なのではないだろうか。
また今大会 1試合11盗塁の健大高崎(群馬)に「野球界の“暗黙のルール”を破った」と批判が起こった。
メジャーリーグでは大量リードしている相手に盗塁をするのは咎められるルールがたしかにある。
日本プロ野球でもあまり見られるプレイではない。
しかしどちらも興行であり、アマチュアのルールではない。
ダルビッシュ有投手は今回の西嶋投手の投球に関し、「一番難しい球」と述べた。
速球のあと計測不可能なスローボールをミット目掛けて投げる制球力、紛れもなく日々の練習に裏打ちされてのプレイなのだ。
野球は油断ならないスポーツである。大量リードされて迎えた最終回で8点差をひっくり返した星稜高校(石川)も今年の出来事だ。
たとえ11盗塁決められたとしても最後に逆転してしまえば勝ちだ。
日本は世界的に見てベースボールの強豪国であることは間違いない。
アマチュアとプロがしのぎを削り培ってきた情熱と技術の賜物である。
その結果がWBC二連覇や昨今の日本人メジャーリーガーの活躍に繋がっている。
野球を楽しむ子供たちには野球強豪国日本と代表であるイチロー選手や田中将大投手、大谷翔平選手のようなスター選手を目指して大いに野球に取り組んでもらいたい。
そのためには野球を見る側の意識も変わらなければならない。
何が優れ、何が駄目なのかよく考えて発言しなければ選手にとって要害でしかないのだ。
更なる高みを目指して野球がより良いスポーツとなるのことを祈りたい。
東海大四も健大高崎も星陵高校も敗れてしまったが、これだけ個性の強い彼らを制した高校はどこになるのか。
夏の甲子園はまだまだ見逃せない。
えっ・・ていうか、高崎健康福祉大学高崎高等学校の校歌、どうなっているの・・・・・・?