「義務」と「責任」の言葉が高らかに叫ばれている時代の風潮を感じていたのは間違いだった。
民主主義が衆愚政治の香りを漂わせ始めて久しい。多くの人の支持を集める立場の人間が、 やがて自分が及ぼす影響に酔ってしまうのはある程度は致し方ない。しかし、実務面を取り 仕切る官僚が実権を握ることはもはや本末転倒だとは思うが、これもまたこの国が抱える病 巣の一つと言える。 しかし、本当にどうにもならないのはまさに衆愚に集約されている。 つまり、今の日本を作り上げたのは他ならない国民だ、という事実にしっかりと目を向けて もらいたい。メディアや風評にまんまと流されて信じ込み、いざ問題が起きれば自分の選ん だ相手に対して罵詈雑言を浴びせ、扇動したとしてメディアを叩くのはいささか責任感に欠 けている。 騙す方も悪いが、騙される方も阿呆なのだ。 天災など人知の及ばない物事への高い意識は素晴らしいが、ひとたび杭が現れればここぞと ばかりに叩くような脊髄反射的な国民性を発揮する前に、分からないことを分からないまま 鵜呑みにする国民一人一人に対して責任を取って貰う必要があるのだ。 ゆえに、 「手前のケツは手前で拭いてから喋れよ」 という次第だ。