鳥取市の「かつ江さん」、公開終了。使用・二次創作も禁止に。ネット上では賛否両論

  by 松平 俊介  Tags :  

本誌既報の通り、鳥取城のキャラクター募集で次点となった「かつ江さん」。1581年(天正10年)の鳥取城攻めで、羽柴秀吉の兵糧攻めにあい、飢えに苦しむ民衆をイメージしたキャラクターだ。いささか異色のキャラクターとして注目を集めている。

[本誌記事]「鳥取城マスコットの公募で次点になった『かつ江さん』が禍々しすぎると話題に」(http://getnews.jp/archives/616724)

このかつ江さん、鳥取市webページで公開されていたが、鳥取市はキャラクターとして公開し、二次利用も許可していた。ところが、事態は急展開。市民からの抗議を受けて公開を終了し、使用・二次創作も禁じるとした。鳥取市は以下のようにページで説明している。

鳥取市「賛否両論の声が大きかったため、このキャラクターの公開と利用を終了します。画像使用も二次創作もお断りします!」

「【公開終了の理由】広く鳥取城跡のことを知っていただくために公表したが、賛否両論の声が大きかったため。
キャラクターの公開を続けることで、話題が鳥取城を離れて独り歩きし、上記の公開意図を逸脱する可能性が生じているため。以上のことから、公開を終了します。
【公開終了後の取り扱い】
平成26年7月10日(木)をもって、このキャラクターの公開と利用を終了します。
今後、画像及び名称の二次利用、二次創作及びその公表をお断りします。
公開終了以前に作成・公開された二次創作については、取扱要領の遵守をお願いするとともに、名称・画像の公開の自粛をお願いします。」(http://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1404452612763/)

この決定を受け、ネット上では早速賛成派と反対派に分かれて議論が持ち上がった。

かつ江さん賛成派「戦の巻き添えの民を描いた優秀なキャラ」反対派「悲惨な歴史をネタにするなよ」

<賛成派の声>
「『気に入らないとすぐクレームを付け、やめさせる嫌な世の中だ』とニュースで言っていた。同感。」
「籠城戦の歴史を学ぶと、見た目一発の優秀なキャラだと思うようになった」
「かつ江さんも衝撃は受けるけど、それなりに受け入れられるだろうと思ったらこの仕打ち。
巻き添え食う民は興味ないのか。」
「かつえ、可愛いじゃん! 」
<反対派の声>
「これはあかん。かつ江さんには狂気を感じる」
「ゆるくなくてガチキャラすぎた」
「悲惨な歴史をネタにするなよ」
「もう少し明るく楽しそうなのがいいと思うけどなあ。」
「まじまじと見れば見るほど笑えない感じ」
「籠城戦マスコットキャラクターという発想そのものが茶化している」
「ゆるキャラは原点回帰すべき。奇をてらったキャラばかり。
ゆるくないゆるキャラにはもう飽きた。」
「冗談でもこんな絵を応募するかねえ。それを採用する役人もおかしいよ」
(以上読みやすくするため一部修正)

など賛否両論がネット上で巻き起こっている。あるテレビニュースショーで「かつ江さん」を弁護するものがあったせいか、はじめは賛成派の声が大きかったが、徐々に反対派の声が増えている状態だ。

なお、鳥取市教育委員会に寄せられる声でも、反対派が多いようだ。朝日新聞は「10日午後4時現在、(教育委員会に)33件のメールが寄せられた。『飢餓問題に対して無神経』といった批判が27件、『歴史の真実を伝えている』といった肯定的な意見が6件だった。」(http://www.asahi.com/articles/ASG7B63YRG7BPUUB013.html)
と、報じている。

作者「かつ江さんというキャラがかわいそう」「ネット上での作品管理がずさんすぎた。もっと市民に説明を尽くしてほしかった」

これに対し作者は、毎日新聞(http://mainichi.jp/select/news/20140712k0000m040062000c.html)や朝日新聞(http://www.asahi.com/articles/ASG7B7WWVG7BPUUB017.html)のインタビューに対して、「かつ江さんというキャラがかわいそう」(朝日)「ネット上での作品管理がずさんすぎた。もっと市民に説明を尽くしてほしかった」(毎日)と訴えている。

いずれにせよ、多方面に反響を巻き起こした今回の問題、まだまだ動きはありそうな感じだ。

(画像は鳥取市公式webページのキャプチャー

http://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1404452612763/)

企業のニュースリリースライターを足掛け4年経験。現在はライターのみならずwebディレクターやテレビ番組の企画にも関わっている。タウン誌や飲食関係の媒体の制作にも携わる。 大学時代は書家や歴史作家について修行をしていたことも。(雅号:東龍) 地域の埋もれた歴史を掘り起こしたり、街歩きをするのが好き。これまで関わってきた雑誌は「散歩の達人」「週刊SPA!」、放送局では主に関東ローカルテレビ局の企画を担当。

ウェブサイト: http://touryuuuan.blog.jp/