貴方の背後の見知らぬ幽霊さん。

  by さとさと小鳥  Tags :  

此の世に執着を残すと、人は幽霊になって彷徨うという。

誰かの写真に写りこむ、声を聞かせてみる、就寝中の枕元
をうろついてみたり…何とかして自分の存在を知らしめようとする。

霊の波長と生きている人間の波長は、ラジオの 周波数 に例えられる。
貴方に霊感というチャンネルがあり、霊からの周波数を強力に受信でき
ば霊の姿を見る事ができるだろう。

心霊スポットで霊を見たい。霊感が欲しい。
そう思う人は少なくない。
実際、霊感を得る為の訓練をする人もいる。

事故などで瀕死から生還した人が、霊を見るようになった
話や、医師看護師、寺の住職に目撃談が多い事を合わせる
と、その精神世界が死の淵と繋がりができているからだろう。

霊感を得たいと思う人は、霊を見る事ができるようになったとして。
後々、自分自身でその始末をつけられるのでしょうか

霊の立場から言えば、「話を聞いてくれそうな人間見〜つけたっ!」

もしくは、「この人は私が見えるらしい…ムカつくから虐めてやろうかな」と言う展開もある。

霊能力者と違うのは、食らいついてくる霊達になす術がない。
霊感を持った貴方の背後に、いろんな思惑の霊達がついてきたとしたら。

未練がましく此の世にとどまる霊は、貴方の背後で機会を狙っている。
自分のいる此の世ともあの世ともつかない処に、引きずり込もうと。

かく言う私は、鎌倉に住むようになってから霊の存在を知るようになった。私の霊感チャンネルは時々、周波数をキヤッチするくらい。

鎌倉の地名の由来は諸説あるが、屍が累々と倉のように!積み重なった
当時の様子から、屍の倉…屍蔵がなまり、かまくらと呼ばれるように
なったと言うのが有力らしい。

そんな鎌倉は心霊ネタに事欠かない。

確かに鎌倉にはそう思わせるものがある。
観光地の表舞台から外れた通りを歩けば、鬱蒼と繁った木々の合間から
時折、霊達の視線を感じる。気がつかない振りをして通り過ぎるのがいい。

 

イラスト/ミーチャ

心霊、猫、タロット占いが大好物の主婦です。

ウェブサイト: http://www.mag2.com/ 夏見きえのペンネームで小説を配信しています。現在休刊です。