全国のラーメンを食べ歩くラーメンライター、井手隊長です。
年末年始は、家で食べられるラーメンも嬉しい。家にストックしておくと、いざという時にも美味しい一杯が食べられる。今回はケンミン食品から発売されている商品をご紹介したい。
ケンミン食品が掲げるスローガンに「すべての人にラーメンを!」という言葉がある。グルテンフリー志向、ヴィーガンなど食の選択肢が多様化する中で、「ラーメンを食べたくても食べられない人がいる」という現実に真正面から向き合った結果、生まれたのがグルテンフリーラーメンプロジェクトだ。
開発の大前提は「小麦を使わないこと」。しかし、単なる代替食品ではなく、ちゃんとラーメンであることを目指した点に、このシリーズの本質がある。
主原料は米。ビーフンで知られる、米加工に圧倒的な知見を持つケンミン食品が、自社の強みを最大限に活かしつつ、大阪の名店「TSURUMEN」店主・大西益央氏の監修のもと、グルテンフリーでもラーメンらしい中華麺を徹底的に追求している。
まずは「グルテンフリー醤油ラーメン」。
まず驚くのがスープの色合いだ。透明感のある淡い琥珀色で、いわゆる清湯系の王道的なルックス。使用しているのは米醤油。小麦不使用でありながら、醤油の立体感がしっかりと感じられる。
カツオと昆布のだしが前に出つつ、香味野菜のやさしい甘みが重なり、さっぱりしているのに物足りなさは一切ない。醤油を主役に据えた実に正統派な清湯ラーメンだ。
麺はつるりとした啜り心地と、適度なコシがあり、スープとの絡みも良い。これは、米という素材を知り尽くしたメーカーと、ラーメン職人の知見が掛け合わさった成果だと感じる。
続いて「プラントベース とんこつ風ラーメン」。
こちらはさらに挑戦的な一杯だ。グルテンフリーに加え、動物性原料も不使用。いわば二重の制約がある中で、「とんこつ風」を名乗る。そのハードルは高いが、結論から言えば、しっかりと満足できるラーメンに仕上がっている。
スープは白濁系で、昆布や香味野菜の旨味を土台に、豆乳のまろやかなコクを重ねた設計。口当たりはやさしいが奥行きがあり、ありがちなヘルシー寄りの軽さに逃げておらず、「とんこつ風」としての説得力を保っている点が印象的だ。
興味深いのは、このイノベーションがラーメン専門の会社ではなく、米に強いビーフンの会社から生まれていることだ。小麦に縛られない発想と、米加工技術というバックボーンがあったからこそ、ここまでラーメンに肉薄できた。既存の枠の外にいたからこそ、ラーメンの可能性を広げられた好例と言える。
「すべての人にラーメンを!」という言葉は、決して理想論ではない。この2杯を食べれば、それが実感として伝わってくる。グルテンフリー、プラントベースという文脈を超えて、ラーメンの未来を感じさせるシリーズだ。今後、どんな味が登場するのかも期待したい。

