
YouTubeでニューヨーク旅を見る、面白い! ”ないとーVlog【おるたな】”の旅のチャンネルはガゼン面白い。ニューヨークに5泊するのだが2024年時点のホテルのレイト1泊は日本円にして4万円。確かに高いけどニューヨークの相場には思った。
彼の見せ場は上手で、その1泊4万円の室内を紹介するのだが、シングルベッドを少し大きめにしたベッドと、信じられないような小さな机と簡易な椅子がある”独房”クラスの小部屋を見せた。確かにあまりにも狭すぎた。ホテルは繁華街のタイムススクエアーにあるため、その小部屋でも4万円になってしまったのだろう。
そこでふとニューヨークのホテルにまつわる話を思い出した。私の日本人の友人は今はもうなくなったがウェリントンホテルというセントラルパークにもタイムススクエアーにも近いホテルに住んでいた。彼女の職場にも徒歩5分で行ける距離だ。
なぜ、ホテル住まい?と思われて当然だが、当時、結婚していた友人のご主人はアメリカ人。そのご主人がそのホテルのマネージャーをしており、福利厚生の一環でホテルがいわゆる社宅として提供されていたのだ。室内は1LDKと言えるかな? 寝室とリビングと広めのキッチンに大きなテーブルが置けて、そこもリビング風だった。友人夫婦は結構派手な金遣いで、遊びに行くと外食でご主人がごちそうしてくれたり、あるいは出前を取ったりと随分余裕ある暮らしぶりだった。
マンハッタンでその大きさのアパートに住むとしたら、今の価値だとおそらく日本円で60万くらいするかもしれない。普通はそれだけかかる家賃がタダなのである、タダだよ! 考えてみてほしい、今貰っている給料から家賃を普通は支払うけれど、家賃の出費がない給料は結構たんまりあるはずだ。
ホテルのオーナーが屋上に孤立したペントハウスを持っていた。友人夫婦はそこでホテルのスタッフを集めて時たまパーティーを開いていた。そのペントハウスはすてきなもので、一軒家のように見えたが、それが屋上にあり、窓の外の景色、とりたて夜景は美しすぎた。タイムススクエアーのあの電飾の広告が目に飛び込んでくるのだから。特に、大晦日のパーティーはゴージャスだったなぁ…と昔を懐かしむ。
オーナーは友人夫婦に住みたければそのペントハウスを社宅にしていいとまで言ってくれたそうだが、そのペントハウスにはエレベーターが繋がっておらず、最上階のエレベータで降りて、そこから階段を使うのが面倒とのことで、オーナーのオファーを断ったそうだ。これまた景気の良い話であったなぁ…
話を戻して、その社宅となったホテル暮らしで起こった不思議な出来事が今となっては笑い話なのだが、この友人夫婦が休暇でホテルの部屋を空けると誰かが友人夫婦宅に侵入している形跡があるというのだ。特に物取りをしているわけではないが、確実に夫婦不在の部屋に勝手に誰かが入っている痕跡があるという。
それがあったためかそれ以降、彼らが休暇中、私は合い鍵を渡されホテルの人に何か言われてもその合い鍵を使用できるよう、友人の夫のホテルマネージャーに一筆書いてもらい合い鍵使用が認められるよう措置をとった。当時のホテルは”鍵”であった、鍵穴に差し込む金属のあの鍵であった。
後にホテルもセキュリティー強化のために、鍵はカードキーへと変わった。カードキーに変わったら流石にホテル従業員の不届き者は友人夫婦宅に侵入できなくなったそうで、友人夫婦はセキュリティーカードシステム導入を大変喜んだ。
笑い話? イヤ、書きながら当時を思い出すと怖い出来事だった。私はカードキー導入前に友人夫婦の休暇中、様子見で渡された”金属の鍵”使用時代、その鍵を使い泥棒が入っていないかチェックをしていたのだが、もし、そこに泥棒というかホテルの従業員と鉢合わせしたら?と思うとゾッとする。そのホテルの従業員であることには間違いないだろうが、とんでもない従業員を雇ったもんだ。犯人はわからぬままに友人夫はそのホテルを退職し、ホテルを退去し、隣の州に夫婦と一人娘が生まれたので3人で引っ越した。
結局、そのウェリントンホテルは閉業し、ホテルは廃れたままの状態で見た目も無残である。しかし、検索すると在りし日のウェリントンホテルの写真が見つかった。

こう見るとなかなか立派なホテルである。建物が二つに見えるが赤いひさしのある建物二棟分がホテルで、懐かしい思い出が詰まっている。残念ながら友人夫婦はその後、離婚し、羽振りよくごちそうしてくれていた元のご主人はLAに移住した。