
日本の清潔さ、街にゴミは落ちておらず、食べ物も安くて美味しい、飲食店のサービスも素晴らしく、しかも、日本は欧米と違いチップが不要なのだから、それは外国人観光客が増えるのは理解できるし、さらに円安のため多くの外国人が日本観光を楽しむだろう。
さて、その清潔で丁寧なサービスが当たり前の日本を知っていると、ニューヨークで面食らうことがある。コロナ以降フードデリバリーが増え、街中は出前配達人の自転車の人たちの多さよ! 手軽に稼げる仕事として仕事も手に入りやすいと思うし、移民風に見える人たちが多いので、場合によっては労働許可書なしで働いている人も多いのではないだろうか。
先日、黒人の方で自転車のハンドルによれよれになった袋に食べ物を入れ、その袋にペダルを踏む足が当たり、よれよれの配達用袋が汚れている姿を見たとき、こんな方法で食べ物が配達されそれを食べる人が気の毒になった。
マンハッタンの住まいの多くは巨大集合体のアパート。特にミッドタウンのアパートはロビーにコンセアージュがいて出前の人から食べ物を受け取る。そして、コンセアージュは発注した住人に連絡し住人は下りてきて食べ物を受け取る。だから、発注人はその食べ物を配達しただらしない服装で汚れた袋に入れられた出前人に会うことはなく、当然その配達経過を知る由もない。
それにしても便利すぎる世の中になり、裕福な人たちは更に暮らしやすくなる。食事も家で作らず、外食に出かけるでもなく、家にいながら好きなものをオーダーしたら配達人が届けてくれるのだ。その人たちはフードデリバリーの雇用も生み出している。
マクドナルドのデリバリーも多く、ファストフードまで出前で頼むのは楽しすぎ?とも思うけど、お金が物言う大都会はもはや外出しないでも、スーパーに出かけなくてもオーダーすれば自宅に運ばれる時代。ちょっと味気ないなぁ…
さて、話をニューヨークのフードデリバリーに戻して、日本のデリバリーはさぞかしキチンとしていることだろうが、こちらニューヨークは随分ひどいのである。出前専門のウーバーイーツはじめ、多くのデリバリーサービスがあり、きれいな配達用のバッグを背負って運ぶ配達人が少ないのだ。日本の出前配達でよれよれの入れ物を使う人は先ずいないだろうし、苦情が出るのは確実だろう。しかし、ニューヨークはお構いなし。直接配達人が発注者と会うことはほぼないからだ。タウンハウスと呼ばれる4,5階建ての小さなビルの住まいの場合は、直接受け取るが日本人ほど気にしないような気がする。
出前配達人は出前を運んで収入を得る、路上での出前配達人同士の諍いも何度か目にした。殺伐としている出前事情である。折角の楽しみの食事をああいう形で運ばれるのは残念である。そりゃ、出前の人たちも気持ちもわからないではないが、きっと日本ならこんな光景は見ないだろうし、フードデリバリーも丁寧にされるだろうし、確かテレビにでる芸人が副業でしていたので、小銭稼ぎに良いクリーンな仕事なのだと思う。
マンハッタンのただでさえ車の多い道路を、フードデリバリー配達の自転車の人たちが歩道近くの道を駆け抜ける。中にはスピード勝負で稼ぎたい配達人は自転車の通る道以外の車道を使う人さえいて、車のドライバーたちにも迷惑なことだろう。
ニューヨークは素敵な街である。でも、その街中を走る出前配達人の不潔な印象と、他者を蹴落としてまで我先にと急ぐ姿はとても残念に思う。しかし、これぞニューヨークとも言える。いろんな意味で多くのトピックを生産する街、これもニューヨークの風物詩になるのかなぁ…
今日も街中は出前配達人が活動するのだ。