北海道はマルちゃん帝国だ。
マルちゃんといえば東洋水産のインスタント食品ブランド。日清食品に次ぐシェアで数多くのインスタント食品を全国展開しているのでお馴染みだろう。このマルちゃんの北海道でのシェアは圧倒的なのだ。もともと北海道内の水産食品の流通を握っていたため、インスタント食品の販売にもめっぽう強かったということだが、現在でもその高いシェアを生かして北海道独自の商品を次々と展開していっている。『焼きそばやきっぺ』なんかも本州の人間には全く馴染みがないが、北海道ではインスタント袋焼きそばとえばコレらしい。なるほど全然違うのだ。
そんな知られざるマルちゃん製品の中で特に目を奪われた商品がコレだ。
『マルちゃんダブルラーメンしょうゆ』
ダブル?ダブルとは2つ?ダブルラーメンとはどういうこと?と手にとってみると、袋がやけに分厚い。まさか?まさかなのである。袋の中にはインスタントラーメンが2つ入っている。この発想は無かった。類似品を考えると、九州発で今や全国区になりつつある『マルタイ棒ラーメン』が2食入りというのはあったが、このタイプのフライ麺で2つ入っているとは。しょうゆという事は他の味もあるのだろうか。
あった!
しょうゆ味の他にみそ味としお味という御三家揃い踏み。この商品、しょうゆ味が約50年前(奇しくも『マルタイ棒ラーメン』と同じくらいのキャリア)に発売されて以来、みそ味としお味が順次ラインナップに加わったようである。ロングラン商品だ。麺もスープも2人前入っているので2人でシェアして食べても良いけど、おそらくだけど1人で超大盛りにして食べるのが本道のように思う。単に2食ぶんでお得なだけだったら普通のサイズのを2つ束ねて売ってもかわらないわけだし、今だって5食パックのインスタント麺はポピュラーだ。あえてダブルラーメンにしているこだわりと、それが長く支持される理由は、そういうところではない気がするのだ。
(S&B社の『ホンコンやきそば』も非常に気になるところだが、また次だ。)
ここで思い出したのが同じくマルちゃんが誇る北海道限定の超人気商品『やきそば弁当』。味の良さもさることながら、インパクトのあるネーミングと、スープ付きという面白い構成も相まって、最近では北海道のお土産としても、また各地で行われる北海道フェアの定番商品として、本州の人間でも触れる機会の増えたカップ焼きそばである。
この『やきそば弁当』であるが、『やきそば弁当』→『大判やきそば弁当』→『でっかいやきそば弁当』の順にサイズアップしていく。そして最大サイズの『でっかいやきそば弁当』にいたっては、なんとフライ麺が縦に2段積みという暴挙!縦積みというのはまさに『ダブルラーメン』と同じ方法論だ。
フライ麺2つ入りのインスタントカップ焼きそばとしては、まるで16:9ワイドモニターが如き形状の『ペヤング超大盛りやきそば』が有名だが、『でっかいやきそば弁当』はそれと比較しても麺重量が20gも多い(メーカー表示による)。これを2回に分けて食べる人間はあまりいない筈だ。とするならやはり『ダブルラーメン』も……。
マルちゃん帝国恐るべしである。『やきそば弁当』が着々と知名度を増しているように『ダブルラーメン』が本州を席巻する日もくるのかもしれない。いや、来て欲しい。もっと常日頃から食べたい。いつの日か、九州発の『マルタイ棒ラーメン』と、北海道発の『ダブルラーメン』が関ヶ原の地で激突、などとつい妄想してしまう。別に激突せんでもいいけど。仲良くして欲しい。
それにしたって北海道の胃袋の雄大さに最敬礼。