大阪府大阪市西区に九条という土地がある。京都と勘違いされそうだが大阪の九条というのもあるのだ。(奈良にもある。きっと他にも…)
駅でいうと大阪市営地下鉄中央線の九条駅。もしくは阪神なんば線の九条駅。
その九条で昔から地元で愛されている店のひとつ焼肉レストラン登ら志(とらじ)というのがある。
小じんまりとした店構えだが、安く良いお肉を食べられると評判で、はるばる遠方からやってくる人もいるお店でもあるが、名物メニューがまたちょっと変わっている。
恋味どて焼き 400円
なんと、焼肉店でどて焼き。
どて焼きというと、主に安価にお酒を楽しめる立ち飲み屋を中心に供される串かつと並ぶ関西特有のおつまみメニューで、牛すじ肉を味噌味で甘辛く煮込んだものだ。大阪では一部ではポピュラーな料理。とはいえ焼肉屋でこれを名物にしているところはあまり聞いたことはない。
焼肉レストラン登ら志のそれはというと、牛すじとこんにゃくを煮込んだものが出される。小鉢に子供用のスプーン(この時はプリキュアだったw)を付けてくれて、なんだか家庭料理のような素朴さと素っ気なさで肩透かしをくらったようになるが、一口食べればその味に驚いてしまう。とんでもなく濃いのだ。通常のどて焼きに対して3倍は濃い。それもけっしてしょっぱいわけではなくて極めて濃厚な味。恋(濃い)味どて焼きの名前に偽りなし。
もちろん焼肉店のどて焼きだからトロトロに煮込まれた肉の品質は最高。お酒もすすむが、常連客が必ずやるのは、どて焼きのライスがけ。実に米に合う味なのだ。これだけ濃くてクリーミーだと、カレーというか、ハヤシライスというか、第三の何かだ。お客さんによっては大盛りライスを2杯お代りする人がいるほど。恋味どて焼きとライス大で満腹になってしまって、肝心のお肉を食べる隙間が無くなってしまったなんていう、焼肉店にとっては笑えない話もあるとか。
日本でも有数の濃いどて焼きを味わってみたい人は大阪九条の隠れた名店・焼肉レストラン登ら志に足を運んで「どて焼き(とライス)ください!」と注文してみて欲しい。どて焼きの新しい世界が広がる筈だ。濃い味に恋してしまう自分を発見するに違いない。