全国のラーメンを食べ歩くラーメンミュージシャン、井手隊長です。煮干しはラーメンのスープでもおなじみの食材だが、あっさりとした清湯系から煮干しをバキバキに効かせたセメント系と呼ばれるものまで、さまざまなラーメンがある。カップ麺でも人気のフレーバーだが、「セメント系」を表現したカップ麺にはこれまでなかなか出会ってこなかった。
6月10日に発売された「マルちゃん正麺 カップ ニボ玉」はセメント系煮干しラーメンへの挑戦の第一歩と受け取った。
「ニボ玉」という名前からは玉子を想像してしまうが、「玉」はタマネギのこと。
2種類のかやくにはたっぷりのタマネギが入っていて、ドライタイプながら大きめでシャキシャキとした食感が印象的だ。そして自慢の麺は乾燥麺ながら生麺らしい食感を感じる素晴らしいクオリティ。
さらに、なんといってもスープの仕上がりが素晴らしい。煮干し、サバ節、カツオ節など魚介の旨味を重ね、粉末の煮干しでさらに煮干し感をブーストさせている。かなりの煮干しのきき具合で、お店もビックリのクオリティだ。
おそらく後入れの粉末スープでとろみを表現し、セメント系に近づけようという気合いを感じる。どうしてもお店のようなドロドロのセメント系には仕上がらないが、これ以上とろみをつけると不自然な仕上がりになるため、ギリギリのラインをついているのだと思われる。
濃厚煮干しに刻みタマネギを合わせる手法は、セメント系の煮干しラーメン店ではおなじみだが、これをあえて「セメント系」や「濃厚煮干しそば」と表現せず「ニボ玉」と名付けたのは、まだまだ煮干し系の伸びしろがあることを示しているのかもしれない。
とにかく素晴らしいクオリティなのでぜひお試しいただきたい。