昨年、米コネティカット州で起きた銃乱射事件をキッカケに、米国では銃規制をめぐる議論が行われているが、そんな中、米テキサス州の非営利団体が『3Dプリンター』を用いて、実弾が撃てる銃の製造に成功したと発表し、物議を醸している。
プラスチック銃『リベレーター(解放者)』
開発したのは、NPO法人「ディフェンス・ディストリビューテッド」の創設者で米テキサス大学の学生でもあるコディ・ウィルソン氏(25)で、ウィルソン氏はCAD(コンピューター利用設計システム)を用いて、単発式小型拳銃『リベレーター(解放者)』を製造。
銃は用心金(トリガー・ガード)や撃針(ファイアリング・ピン)などを除き、パーツは全てプラスチック製で出来ている。
見た目はプラスチックのオモチャのようだが、試射も成功しており、試射の様子はこちらで観ることができる。使用するのは実際の小型拳銃などにも使用されている9mm弾で殺傷能力は十分にある。この3Dプリンターを用いた銃器の設計図は、ウィルソン氏の団体『ディフェンス・ディストリビューテッド』のウェブサイトよりダウンロードすることが可能で、すでに日本からのダウンロードは6万件を超えている。
銃規制の問題により懸念を示す声も
こうした動きに銃規制の強化を訴える団体関係者からは
「プラスチック製の銃は金属探知機に引っかからないため悪用される可能性がある」
「自宅で作れるなら身元調査が実施されないため子供でも簡単に入手できてしまう」
など懸念の声もあり、安全保障面での大きな課題が指摘されている。
しかし、ウィルソン氏は「このプラスチック銃は、暴発すること無く何度も撃てるピストルに比べれば、粗雑で信頼もおけない単発銃だ」と語っており、暴発や故障のリスクなどを考慮すると実用性はかなり低そうだ。
現段階では全てのパーツをプラスチックにすることは難しいため、自宅で「自家製の銃」を製造できる日はまだ遠い。
リベレーターの試射と製造の様子【リンク】(YouTube)
※画像はhttp://defcad.org/liberator/とhttp://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=V_Q16TL1lbgより引用。