開業が遅れていた、豊洲の大型商業施設「豊洲 千客万来」がついにオープン。江戸の街並みを模した建物と、豊洲市場から仕入れた魚介メニューが豊富なのが特徴で、日々、かなりのにぎわいを見せているようです。
オープンしてわりとすぐの休日に伺いました。閉館してしまったお台場の大江戸温泉物語が好きだったので、この「豊洲 千客万来」の温浴施設は、大江戸温泉物語の生まれ変わりのように思って楽しみにしていました。コロナ禍や別業者の辞退、都と意見の対立などいろいろあって当初の開業予定、2018年からは結構延びてしまいましたが、無事オープンして良かったです。
江戸の街並風の「食楽棟『豊洲場外 江戸前市場』」には埼玉県川越市の「時の鐘」に似たモニュメントがあります。埼玉出身としてはシンボルが豊洲に取られたような複雑な気持ちですが、そのモニュメントは炭焼魚串とおにぎりのお店「越後屋助五郎」に並ぶ人々にぐるっと囲まれていました。
他に大行列だったのが、牡蠣専門店の「牡蠣や粋」、「小田原六左衛門」の100円のかまぼこ煎餅。 塩辛や梅水晶、たこ八味などが小さい煎餅に乗ってこの安さです。「豊洲 金ぷら」の汐おでんは期間限定で500円。300円の練り物もありました。丸武の玉子焼きも300円からと、探せば安いメニューもありますが、どこも並びます。スムーズに買えそうなのは、「築地銀だこ」でした。
食楽棟3階にはフードコートが。ここが巷のモールなどのフードコートに比べるとかなり高くて、とくに5000円以上する海鮮丼は「インバウン丼」と呼ばれて話題になっています。
寿司や海鮮丼の店、「築地うに虎」の、「本鮪とうに」の丼は4550円。一番安い丼は「穴子とうに」4050円です。うにやイクラ、本鮪が大量に乗った超高級海鮮丼「皇帝」は1万8000円もしていました。インバウンドの人には許容範囲なのでしょうか。
他の、一見安そうなフードコートのお店も、「世界で人気の3種丼」5200円、「江戸辻屋の本マグロ丼」6980円、という強気の価格。「世界で人気の」と、言い切っているのがポイントです。ちなみにオープン直後は海外のお客さんはそんなに多くなかったです。これからSNSなどで広まっていくのでしょうか。安い店は日本人、高い店は外国人、と棲み分けがされていったら淋しいです。
今回、楽しみだったのは「温浴棟『東京豊洲 万葉倶楽部』」です。大江戸温泉物語の面影を探そうとしたのですが、温浴棟は江戸っぽくなくて普通のモダンなビルでした。入館料は大人3850円。岩盤浴はプラス1500円です。大江戸温泉より1000円くらいアップしていますが、燃料や資材が値上がりしているので仕方ありません。こちらの施設は、8Fの足湯だけなら無料で利用できますが、足湯行きの専用エレベーターはかなりの列ができていました。
料金を払って万葉倶楽部へ。館内着が浴衣なところに、大江戸温泉が思い出されます。温泉は、箱根や湯河原からの運び湯。炭酸泉もあります。お風呂はコンパクトですが、できたばかりできれいで、アメニティも充実しています。
いたるところに、水やお茶が出る給茶機が設置されていて、湯当たりを防ぎます。漫画が大量にあるリラックスルーム、マッサージ、ビュッフェなど複数フロアに渡っていて、一棟まるごと楽しめる施設。屋上の施設利用者用の足湯も眺めが良いです。
「東京豊洲 万葉倶楽部」は、適度にラグジュアリーでクリーンな施設でした。毎日がお祭だった大江戸温泉物語とはまた違った、落ち着いた大人のスパ。江戸の賑わいや混雑は外の食楽棟で体感し、時代をワープして令和のお風呂で癒しのひとときを得られます。インバウン丼が買えない切ない気持ちも、お風呂で浄化されました。