頑張った侍ジャパンをなぜか貶め続けたメディアの罪

  by 松平 俊介  Tags :  

野球の国際大会・第三回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、1次ラウンド、2次ラウンドで次々に強豪を破る快進撃を続けながらも、惜しくも準決勝で敗退し、ベスト4止まりだった野球日本代表「侍ジャパン」。
しかし、彼らはどうした訳か強豪を倒し続けたにも関わらず、メディアからは集中して叩かれ続けた。これは一体何故なのだろうか?

 

なぜか試合前から侍ジャパンを徹底的に叩き続けたメディア

今回、どうしたわけか、侍ジャパンは試合前から徹底的にメディアに叩かれ続けた。例えば、主要な週刊誌は毎週のように侍ジャパン叩きの記事を連載していたのである。

スポーツ紙は書けない侍ジャパン「阿部主将」の刀が錆びた理由(『週刊新潮』3月7日号)
WBC目前なのに周囲がガックリする「山本浩二」監督の野球偏差値(『週刊新潮』2月28日号)
選手を見捨て孫イベント出演 東尾コーチが大顰蹙(『週刊文春』3月7日)
WBC頼みの綱は阿部慎之助の“アベノミクス”だって(『週刊文春』2月21日)

この他、ここでは書けないような、選手が風俗店にいったというようなものさえあり、
常軌を逸したメディアスクラムによる侍ジャパンバッシングが行われていたのである。その内容の多くは、選手と監督の無能さをあざけり笑うものばかりであった。
野球専門誌でも同様で、『週刊ベースボール』の名物コラム「豊田泰光のオレは許さん!」でも、侍ジャパン批判が行われていた。野球解説者の豊田泰光氏によるもので、さすがに上記のような一方的な叩き記事ではなかったが、ここまで選手や監督たちを叩きのめす報道ばかり続くというのは尋常ではない。

それにしても、確かに選手の中に現役メジャーリーガーはいないし、山本監督もセリーグ優勝1回のみの監督であったとはいえ、ここまで叩きまくるメディアというのも、どんなものなのだろう?と首をひねらざるを得ない。これらの雑誌には、他のスポーツのアスリートを褒め称える記事も載っているのだから。
なぜ、このチームだけがここまでボコボコに言われなければいけないのだろう?

例えば、サッカーの男子日本代表やサッカー女子のなでしこジャパンの叩き記事はほとんど無いのである。なお、これらの雑誌の発売期間中、侍ジャパンの成績は連戦連勝で、負けたのは練習試合と、本戦でキューバに負けただけだった。

フジテレビは勝ち試合の時でも「見ないほうがいい」とバッシングを続けた

 
その、メディアによる侍ジャパンバッシングが頂点に達したのが、2013年3月13日放送のフジテレビの朝の情報番組「とくダネ!」のネガティブキャンペーンであった。

j-castニュースの記事に詳しいが、わざわざ公共の電波を使って、

 

「WBCには興味がないんですよ」

「フィギュアスケートを観ればいいんですよ」

「わざわざ長い時間テレビを見る必要がない。試合結果は後でニュースでチェックすればいい」

「イケメンがいない」

「分からなかったらフィギュアを観ればいいんですよ。私はフィギュアを楽しみにしています」
 

と、いう調子で延々と侍ジャパン批判を繰り広げていたのである。私はあまりにもひどい報道に義憤を感じ、ツイッターでフジテレビの侍ジャパン批判は問題だと述べた所、多くの方から共感のツイートを頂いた。みんな、こういう不自然な報道には憮然としていたのだろう。

フジテレビが侍ジャパンにネガキャンをした理由について元フジテレビの深夜番組の関係者がつぶやいてみたよ

 

なぜ、一部のメディアは侍ジャパンバッシングを続けたのか?

 

なぜ、ここまで偏向した報道が続けられたのであろうか。理由を推測すると、メディア全体が不況に陥っている今、一部の勝ち組メディアが侍ジャパンを称賛したために、その他の負け組メディアがネガキャンを張ったのではないかと考えられる。そして、そこには、「マーケティング偏重」「調査報道の不足」「ねたみ・そねみから始まる思い込みによる報道」という、今のメディアの問題点が色々と浮き彫りになってくるのだ。根の深い問題なのである。これらは、稿を改めて考えなければならないだろう。

いずれにしても、山本浩二監督を始めとする選手の方々は本当に奮闘したと思う。 侍ジャパンは重圧に耐え、バッシングに堪え、他の優勝候補が予選でどんどん敗北する中、よくぞ決勝まで駒を進めたのだ。野球解説者の盛田幸妃氏は、ブログでこう書いている。

 

健闘しましたが、勝利の女神が微笑んでくれなかった。侍ジャパンのみんな頑張ってくれました。
胸を張って日本に帰って来てほしい!

 
奇跡のリリーバー 盛田 幸妃 OFFICIAL BLOGより

私も、同じ気持で一杯である。盗塁失敗して号泣した内川選手も気を落とさず、また再チャレンジをしてもらいたい!!
 

(冒頭の画像はウィキベディア http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:WBC_Japan_Japan.jpgより引用)

企業のニュースリリースライターを足掛け4年経験。現在はライターのみならずwebディレクターやテレビ番組の企画にも関わっている。タウン誌や飲食関係の媒体の制作にも携わる。 大学時代は書家や歴史作家について修行をしていたことも。(雅号:東龍) 地域の埋もれた歴史を掘り起こしたり、街歩きをするのが好き。これまで関わってきた雑誌は「散歩の達人」「週刊SPA!」、放送局では主に関東ローカルテレビ局の企画を担当。

ウェブサイト: http://touryuuuan.blog.jp/