「LGBT歓迎」ジェンダーフリーを打ち出した脱毛クリニックが話題に、これまで見過ごされていた問題とは?

  by 中将タカノリ  Tags :  

今や男女問わずすっかり定着した脱毛。以前は成人女性の利用者がほとんどだったのが、近年では男性や10代の若者の利用者も珍しくないようだ。

しかし、この脱毛ブームの中で置き去りにされてきた層がある。それはLGBTなどのセクシュアル・マイノリティの人々。もちろん受け入れるクリニックがないわけではないのだが、当事者が男性料金、女性料金のどちらに当てはまるのか、また特別な手続きなく施術を受けることができるのかなど明示されていることはきわめて稀。脱毛に興味はあるのだが億劫で、クリニックに相談したり足を運ぶことができないという人が多かったようだ。

そんな中、東京・銀座の脱毛クリニック・メディエス銀座クリニックが2月3日に自社ホームページ上で画期的な取り組みを発表した。「当院はLGBT対応のジェンダーフリークリニックです」と打ち出し、セクシュアル・マイノリティの人々を戸籍上の性別の料金で受け入れることを明確にしたのだ。

今回の発表についてメディエス銀座の担当者に話を聞いた。

――今回の発表に至った経緯をお聞かせください。

担当者:当院にはこれまでも、いわゆるLGBTの方が複数、通院されています。お話を聞く中で、従来の脱毛サロン、脱毛クリニックの料金表示はLGBT当事者にとって「男性料金、女性料金どちらに当てはまるのか」が分かりづらいと気付きました。また、足を運んでみたもののLGBTを理由に断られてしまう例もあったと聞き、気の毒に感じました。ならば当院がLGBTの方たちにとって余計なストレスなく利用できる脱毛クリニックとして手を挙げようと考えたのが今回の発表のきっかけです。

――戸籍上の性別で料金を決定するというのは分かりやすいですね。

担当者:脱毛は一般的に男性のほうが時間や回数を重ねる必要があるため高額になりがちです。LGBTの方の場合、現在お身体がどのような状態かによって施術内容も変わってくると思いますので、公平性を考えた結果、現在の戸籍上の性別を基準にさせていただきました。

――LGBTの方からはどのような施術のリクエストが多いのでしょうか?

担当者:MTF(性を男性から女性へ移行したい人、また移行した人)の方の利用が圧倒的に多いのですが、特にVIO男性器脱毛が人気です。次にヒゲ脱毛です。男性器も医療脱毛できるクリニックはまだ少なく、当院では陰茎、睾丸も医療脱毛できるため、性転換手術を視野に入れている方の利用が多いようです。

――LGBTの方を受け入れるにあたり配慮されていることをお聞かせください。

担当者:特別感を出すのではなく、一般の方と同じようにストレスなくご利用いただけることを目指しています。プライバシーに配慮し、出来る限り待ち合いで待機する時間が少ないようにスケジュールを組み、トイレも男女共用の個室を用意しています。またVIOの施術などは「他人に見られるのが恥ずかしい」と感じる方が多いと思いますが、当院は勤務歴の長いスタッフがほとんどなので作業がスムーズですし、いつ来ても同じ顔ぶれです。このことも安心してご来院いただける理由になるかと考えています。

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メディエス銀座クリニックの取り組みはさっそく一定の反響を得ているようだ。今回の打ち出しを見てVIO脱毛の施術を受けたMTFのAさん(21歳)に話を聞いた。

――今回、メディエス銀座クリニックで施術を受けようと思った経緯をお聞かせください。

Aさん:性転換手術を受けたいと思っているのですが、その際に性器の脱毛が奨励されているようで、以前から興味を持っていました。しかし、ホームぺージ等を見ただけでは私が男性料金、女性料金のどちらに当てはまるのか分からず、なかなか踏み切れずにいました。そんな中、メディエス銀座クリニックの打ち出しを見かけたのですが、設定が非常に明確でジェンダーフリー、しかも相談無料を謳っていたので安心して足を運ぶことができました。

――施術までの流れはいかがでしたか?

Aさん:受付からカウンセリングルームまでスムーズに案内していただき、そこで希望する施術内容や体調などをシートに記入し、カウンセリングに臨みました。

細かな施術内容や術後の注意点も説明していいただき、資料もいただけたので、丁寧な案内だと思いました。お手洗いも男女共用の個室があったので、私のようなLGBT当事者は悩む必要がなくていいなと思いました。

――脱毛の施術を受けたご感想をお聞かせください。

Aさん:レーザーを照射するので、目にタオルをかけられて施術を受けました。私は自分の性器に嫌悪感を感じるため、人に性器を見られることにも抵抗感が大きいのですが、目隠ししていたせいか思っていたほど気になりませんでした。レーザー照射の痛みは人によって異なるそうですが、私の場合は「ちょっとヒリヒリするな」という程度で済みました。時間も1時間、2時間長くかかるのかなと思っていたのですが、30分もかかりませんでした。

――施術後から現在までの経過はいかがでしょうか?

Aさん:施術後に水ぶくれや肌荒れのような症状が出る場合があると説明されていたのですが、3日たった現段階では大丈夫です。なにかあった場合のアフターサービスについても案内を受けていたので、安心して過ごしています。対応と言い施術内容と言いとても丁寧、親切だったので、これからも通いたいと思いました。

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ジェンダーフリーやLGBTへの理解促進が叫ばれて久しいが、実際の社会ではまだまだ不足や矛盾があるのが現実だ。当事者が感じている不自由に周囲が気が付かないまま見過ごしている問題も多いと思う。そんな中で打ち出されたメディエス銀座クリニックの取り組みは画期的と言えるだろう。今後、こういった取り組みが脱毛業界のみならずさまざまな分野に広がることを期待したい。

メディエス銀座クリニック 概要
現在、「VIO男性器脱毛キャンペーン」「ヒゲ脱毛キャンペーン」も実施中
興味ある方は公式ホームぺージのキャンペーンページ参照のこと。

所在地:東京都中央区銀座3-9-19吉澤ビル6F
公式ホームぺージ:https://www.medieth.com/ginza

中将タカノリ

■シンガーソングライター、音楽・芸能評論家 ■奈良県奈良市出身 ■1984年3月8日生まれ ■関西学院大学文学部日本文学科中退 2005年、加賀テツヤ(ザ・リンド&リンダース)の薦めで芸能活動をスタート。 歌謡曲をフィーチャーした音楽性が注目され数々の楽曲提供、音楽プロデュースを手がける。代表曲に「雨にうたれて」、「女ごころ」(小林真に提供)など。 2012年からは音楽評論家としても活動。さまざまなメディアを通じて音楽、芸能について紹介、解説している。

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