再生医療の切り札として、iPS細胞が大きな注目を集めています。iPS細胞は、ノーベル賞を受賞した山中伸弥さんいわく「身体中のあらゆる細胞に変化できる能力を有した細胞」。とはいえ、ヒトへの移植・応用は、倫理面など越えなければならないハードルがあります。
しかし、“細胞外マトリックス”でヒトの筋肉を再生する治療は、すでに成功例が。細胞外マトリックスは聞き慣れない単語かもしれません。大雑把にフルーツゼリーで例えるなら、フルーツが細胞、ゼリーが細胞外マトリックスといったところでしょうか。
米国人海兵のロン・ストラングさんは、アフガニスタンでの戦闘で大腿部(脚)に負傷し、歩行が困難になるほどでした。ピッツバーグ大学付属病院で行なわれた手術は、瘢痕(はんこん)組織(皮膚が治癒する過程の組織)を取り除き、ブタの膀胱部分の細胞外マトリックスを移植するというもの。マトリックスは幹細胞に働きかけて、欠落した筋細胞を修復しました。
ストラングさんの術後の経過は良好で、今では歩けるどころか、友人たちと軽くサッカーができるほどに回復しているとのことです。
画像: ストラングさんの経過を知らせるニュースサイトのキャプチャーより
http://minnesota.publicradio.org/display/web/2012/09/09/health/new-medicine-veterans/