【ネタバレの少ないヱヴァQ感想】ファンのナナメ上を行く『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』が2012年11月17日(土)全国公開された。
TVシリーズが放送された95年、旧劇場版が公開された97年「新世紀エヴァンゲリオン」は日本アニメ界に社会現象を巻き起こし、新たなアニメ時代を作り出した。今回の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズ、2007年「ヱヴァ序」、2009年「ヱヴァ破」と公開され、興行収入は「序」20億円、「破」40億円と、新作品が公開される度に記録を伸ばしてる。今回の「ヱヴァQ」も新たな記録をつくることは、ほぼ確実である。
さて、この「ヱヴァQ」だが、新宿にある映画館「バルト9」では、11/17の深夜0時に世界最速公開として公開され、すでに「ヱヴァQ見た!」という声を多数聞いている。もちろん筆者も、世界最速ではないが大阪で11/17AM8:00からの初回上映を見てきた。
筆者の正直な感想としては、予想の遥かナナメ上を、ロンギヌスの槍のごとくネジリながらブチ抜かれた感じだ!全く予想をしていなかった展開の連続で、最初から最後まで、瞬きする時間も惜しいと思えるくらい、アッという間に見終わったと感じだ、とにかく壮絶な衝撃を与えてくれた作品だったのだ!

 

今回の「Q」は“良い意味でファンの期待を完全に裏切った”のである。そこまで、深い予想はしていなかったものの、前作の「序」や「破」から、こうなるのだろうか、といった予想はもちろんあった。他のファンもそうだったと思うのだが、この「Q」の展開は誰一人として、予想をすることは出来なかったに違いない。
筆者は、エヴァンゲリオン専門のブログを運営していることもあり、読者からは様々な感想は届けられる。ファンの声としては「度肝抜かれた」「ビックリした」「想定外だった」といった驚きの声がほとんどだ。しかし中には、驚きはしたがそこまで満足していないような感想も2~3割ほどあるのも事実である。

 

これは“満足感をどこに求めるのか”ということで左右されるのだろう。筆者は、個人的には非常に満足をしている。これほど見事に予想や想像を打ち破られたのだ!予想したとおり、であればこれほどの気持ちの高揚感は得られないだろう。
しかし、そこまで満足していないという人は、おそらく“こうなってほしい”という願望が強すぎたのかもしれない。例えば、ハリウッド映画等で多い展開なのだが、ヒーローになるべき人が、ヒーローになり、最高のハッピーエンドを迎える。もちろん最高のハッピーエンドに到達するまでの過程が楽しい訳であるのだが、自分が好きな人物やキャラクターが、幸せになってほしいと思う願望があり、その願望どおりの結果になれば、満足感は得られる訳だ。
「ヱヴァQ」は、誰も予想が出来ないくらいのストーリー展開だっただけに“こうなってほしい”という願望は、当然、叶えられなかったのだ。そこにスポットがあたっていた人にとっては、満足のいく結果ではなかっただろう。

 

ただ、この「ヱヴァ新劇場版」シリーズは、以前から“良い意味でファンの期待を完全に裏切る”作品なのだ。一作目の「序」では、細かい設定は違うものの、TVシリーズとほぼ同じストーリーであったのだが「破」になり、ストーリー展開は大幅に変わり、新キャラクターも登場。更にはTVシリーズからの主人公である「碇シンジ」やヒロイン「綾波レイ」の性格までもが、変わっていたのだ。TVシリーズでの主人公シンジは、メンタル的にとても不安定で、弱々しいイメージだ。そのシンジが「ヱヴァ破」のラストでは、綾波レイを助けたいという強い気持ちを全面に出し“男らしい”行動をみせた。レイも同じく、TVシリーズでは感情をほとんど出さないロボットのような設定だったのだが「ヱヴァ破」でシンジを喜ばせたいという感情を持ち、料理をしたりと、感情を大きくは出さないが“女の子らしい”面をみせている。「破」ではこのように、“良い意味でファンの期待を完全に裏切った”のだ。
更に“期待を裏切った”のが「Q」である。ストーリー展開は、ファンが全く想像することが出来ないほど、ナナメ上の展開で、“男らしい”変貌を見せたはずのシンジが「Q」ではメンタルをズタボロにされ、またTVシリーズの頃のシンジのように弱々しくなってしまう。

 

弱冠ではあるが、本編の確信に振れない程度に「ヱヴァQ」の話をしよう。ネタバレが少しでもあるのが嫌なのであれば、以降は読まなくても良いかと思う。
「Q」の後半に、とても印象に残っているシーンがある。ネタバレになるので前後のストーリー展開は省略するが、「破」から登場した新キャラ「真希波・マリ・イラストリアス」がシンジに対して、「せめて、姫(式波・アスカ・ラングレー)を助けろ」と言うシーンがある。その直後、ある事が原因でメンタルがズタボロになり、エントリープラグ(エヴァの操縦席)内でうずくまるシンジを見て、アスカが「私を助けてくれないんだ。」と言いながら、シンジの手を引き歩きはじめる。
「Q」に至るまでの間に、シンジが知らない辛い思いをアスカが背負い。それを気遣いマリが「助けろ」と言ったのかもしれない。そのアスカが何を背負い、それでも強気に振舞っているかは、まだ詳しくは見えてこない。
TVシリーズで弱々しいイメージのシンジが、「破」では“男らしく”変貌し、レイを助けた。今度は、アスカを助けることが出来るのだろうか・・・?シンジの成長や今後の変化に期待をしたいところである。

 

しかし、ストーリー中で謎を振りまくの大好きなエヴァだが、この「Q」で、更に謎が増えている。新劇場版シリーズが始まった当初は4部作と聞いていたのだが、劇場で「Q」本編を見終わり、宇多田ヒカルが歌う新曲「桜流し」が流れるエンディングロールを見ながら、筆者が思ったことは『マジか!?次回作が最後だが、謎の回収は出来るのか?また旧劇のように不完全燃焼で終わってしまうのか!?』という期待と不安が入り混ざった心境になってしまった。

 

しかしエンディングロール後の「次回予告」を見た後に少し、気持ちに変化があった。

『これは、次が最後ではないだろう。まだまだ続きがあるかもしれない。』

 

ヱヴァンゲリヲン新劇場版公式サイト(http://www.evangelion.co.jp/)

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