百合の作品は限定された場所だけの存在でなく様々な媒体を通じて手に入るようになりました。
漫画、小説に限らず、演劇や音楽、ゲームやアニメーションなど、多くの場所で私たちはそれを見出すことができます。一方、SNSだけでは、広大な百合関連の作品の情報から発信者のメッセージを隅々まで拾い上げることが困難です。
また、読み手は、多くの話題作に紛れて、『自分にみあった百合』を見逃してしまっている可能性もあります。
『もう少し、届けたい』『もう少し、知りたい』。『ゆりがたり』は、百合の創り手と受け取り手の『もう少し』をつなげるために生まれたシンプルなインタビューマガジンです。とりとめなく話す雰囲気を伝えるためにwebマガジンではなく『文字ラジオ』と称することにしました。
どうぞ、よろしくお願いします。
☆この記事はnoteからの再掲です。
☆『羽山先生と寺野先生は付き合っている』(以下、『はやてら』)についてお伺いしたいんですが、話の上で一番「他の作品にない」と思ったのは「優しい世界」的なところがあると思うんです。その前に『デミライフ!』を描かれていて、元々どちらかというと学園生活を描いていた。けれど今度は社会人になったじゃないですか。
「そうですね」
☆単行本のあとがきに社会人百合が好きと書いてあったと思うんですが、元々社会人や大人百合が好きだったんですか?
「元々雑食なのでどれも好きという感じです」
☆最初、先生同士じゃなくてカフェ店員とOLさんで、だんだん紆余曲折を経て先生になったとあります。普通の社会人から先生がいいとなった瞬間はどういう過程でしたか?
「自分に社会人経験がないのでオフィスが想像しづらくて。学校だったら先生の働いているところを見たこともあるし想像がしやすい。(オフィスだと)仕事してる状態が想像できなくて。日常を描こうにもコピーしているかお茶を入れているか…それくらいしか」
☆ふわっとした…ドラマでよくあるイメージ。
「業務形態がまったくわからないです。パソコンのキーボードをカタカタやっているにしても画面に映す内容がなんなんだろうと」
☆ 情報がつかめないんですね。
「そうです、何にもわからない(笑)」
☆ どういう状況でお茶を汲んでいるのか…(笑)
「何時ごろにお茶を誰にどうやってやっているのか。まったく…」
☆ 詳しい業界がないけれど、学校だったら身近だったと。
「働いた場所は、お弁当屋とか専門学校の管理で機材を管理する仕事をしていたんですが、それだといまいち盛り上がらない。広げづらいのでどうしようかな…『教師』があるじゃん、と」
☆ 確かに経験がなくてもイメージがつく、「人に教える」とか「生徒がまわりにいる」とかドラマができやすい職業かもしれないですね。
「プライベートも描きやすいので。元のOLの設定だと、(相手と)職場が違ったんです。同じオフィスビルの働くOLさんと一階のカフェで働く女子との百合を描こうと思ったんですけど本当に接点がなさすぎて…」
☆ 確かに(交流の時間が)一瞬ですね。
「自分の描きたい気持ちと裏腹に意外と描けなかった。どういう風にしようかな、何かないかなと探して。その前に大人百合の同人イベントで教師の同人誌を出していたんです。もしよかったらこういう感じの世界観でやっていいですかと言って、教師でやりましょうとなったんです」
☆実際、学校を舞台にしていることが生きてますもんね。お知り合いが生物教師と体育の先生だったという話ですが、偶然ですか?
「偶然です」
☆ すごいですね…!
「親戚のおばさんが実際に生物教師で、だんなさんが体育で」
☆ そのご親戚は実際に知り合って学校でそこで結婚した、と…
「そうです」
☆ 結構(設定を)取り入れているんですか?
「結構…休日は予定をあわせたりしている、とかも」
☆ 先生と生徒というパターンはあると思うんです。先生と先生は意外に少ないと思いました。
「学生と先生はみかけるんですが、教師同士は…あまり(他の)作品でも」
☆ ないですね。
「私が知ってる限りだと『まんがタイムきらら』の『教艦ASTRO』(☆)しか知らないです」
☆そういうのがあるんだ。
「めっちゃいいです。未読の方がいたら是非」
☆なるほど。探してみます。
「一巻しか出ていないのでお求めやすいと思います」
☆ぴかち先生の漫画はキャラクターがたっている、キャラクターがいいなと思います。ひとりひとりお伺いしたいんですが、まず羽山先生から…SNSで先日見たんですが、キャラクターをひとりひとり動物に絡めているそうですね。
「そうです」
☆羽山先生はひよこ。確かにそういう感じかなと思ったんです。新米教師感がある。いいなと思ったのは、ジャージをいつも着ているじゃないですか。普段はだらっとして、たまにスーツとか着るとびしっとなる。一巻を読み返したんですが…「この人本当にずっとジャージを着ているな」と(笑) 体育の先生だからジャージですけれど、ここまで百合漫画でずっとジャージを着ているキャラは初めて見た。それが逆に身近でいいのかなと思ったんです。服装やスタイルを決めるときに迷いはありましたか?
「そうですね。体育の先生だからと、常にジャージを着ているのかどうなのかなという気持ちもあったので。さっき話した親戚に聞いたら(普段も)『着てる』と」
☆じゃあ、そのままリアルを取り込んで。
「車通勤の場合そのままジャージで帰ることもあるんですか? と言ったら『ある』と。行ったらジャージ、着て帰るときもジャージ。まじめな先生だったら着替えることもあるけど、そうでもない場合、地方の車通勤だったら着替えずジャージで」
☆ずっと車通勤だと確かにジャージでいられる…。ブランドなど、色々あると思うんですが、参考にしたメーカーなどはありますか?
「学生ジャージになりきらないように、スポーツ系にした方が先生感が出る。黒系のやつを描こうかなと。普通のあずき色のジャージなどは学生に寄ってしまうので」
☆そうですね、すごく「ジャージ」になりますね。
「すごく学生っぽくなっちゃう。そうすると差別化ができないので、できるだけ、朝ランニングしている人みたいなイメージで…」
☆確かにランニングとかしてそう。街中にふと気付くといそうなタイプ。
「朝、犬を連れてランニングをしていそうな…」
☆ ショートカットで、言ってしまえばボーイッシュ感はあるんですけど…ナチュラルというか。きりっとするときはきりっとするけど、普段はナチュラルな性格ですね。自然体で。こういうキャラにしようって固まっていくまではどうでしたか?
「自分の好きなキャラがそういう系統だったので、見た目とギャップ…いいときはかっこいいけど、好きな人といるときはちょっとふにゃっとしちゃう、でれでれになる感じが好きだなと。百合を描いている上で男子寄りになりすぎないようにしたいなっていうのがあって、そこは結構気をつけてます」
☆ あんまり王子様王子様しすぎてるよりは、もうちょっと中性よりにしたいなという…
「女子寄りにしたいなと。百合のよさって『柔らかさ』…」
☆ああ…(感嘆符)
「女の子同士の柔らかさが大切だと思ってるので」
☆ 確かにぴかち先生の百合は柔らかいです、色々な意味で。体つきは柔らかそうに描かれていて、世界観も優しい。『デミライフ!』もそうです。『はやてら』はちょっとエッチな場面があるときに肉感が柔らかそうで。アンソロジーでも色々描いてらっしゃるじゃないですか。『百合ドリル』(☆)なども、幕切れが柔らかい感じで終わったり、笑いを誘うオチだったり。
「読後感は大事にしてます」
☆ 読後感が悪いと次に読むときにひっかかりができちゃうかもしれない、絶対それをつくらない。そこがいいなと思います。
「ありがとうございます」
☆ 次は、寺野先生。癒し系ですが、たまに、あたししっかりしているのよという雰囲気を出してくる。すっごいかわいいじゃないですか。モデルさんとか、こういう感じにしようみたいなのはあったんですか?
「羽山先生の方が先に決まって。羽山先生にあう、引き立つようなキャラクターをつくろうと思って、実はクール系のキャラだったんですよ。イメージすると灰原さん(☆)みたいな」
☆ なるほど(笑)
「一回それで作ったら動きづらかったんですよ。もう少し天真爛漫にしようとキャラを変えて今に落ち着いた感じです。試行錯誤して、二転三転しました」
☆羽山先生に対してあう女性を考えたとき、(最初は)クール系で。
「そうです、引っ張ってあげるようなキャラ像にしようかなと。頼れるキャラクターにしようかなと思ったんですが…どっちも恋愛に不慣れで『一緒にがんばっていく』方が感情移入もしやすいんじゃないかという話をして。確かに、って。等身大のキャラに…それで今の形に落ち着いた感じです」
☆ 等身大っていうところ、はまりますね。こういう先生いるかもしれないっていう感じがします。
「(身近に)いるかもしれない、ということを考えだしたときに、私が高校生だったときの先生が、そういうかわいい感じで。憧れというか、別に百合的な意味はないんですけど、その先生に褒められたいためだけに頑張って、夏休みの課題で好きなことについて一枚の画用紙に研究結果を書く宿題で二位をもらえて…ビスコをもらいました」
☆ あはは(笑) その先生ありきでモチベーションあがって頑張った…
「そうです」
☆ 百合じゃないですか!(笑)
「一位は生徒会長をやっていた学年の優秀な人で、食玩でカブトムシのプラモデルをもらってて…いいなーって思って(笑)」
☆ カブトムシのプラモデルとか、生物っぽいものが好きな先生…。いいエピソードですね。
「まだ『はやてら』では描けてないんですけど(☆2019年5月時点)、寺野先生って羽山先生との嬉しいことがあると一個プラモデルをつくる」
☆ ちょっと待ってください。
「生物室に置いてある…一話かな、飾ってあるあれってイメージ的にはチョコエッグくらいの」
☆ 待ってください、新しい…(笑) 普通は嬉しいことがあったらインスタとかLINEでつぶやいたりそういう風に記録をするけど、羽山先生は嬉しいことがあると「模型をつくる」…。
「イメージとしてはチョコエッグです。食べながら作って…チョコエッグは動物です」
☆かわいいのいっぱいありますもんね。
「海の生物シリーズとか、たぶんいいことがあるたびに」
☆ マニアック…。
「どっかで描きたいんですけど描けてない(☆収録時の話です)」
☆ そういう一面があったんだ…。
「フラグだけは立ててある、生物室に置いてあるっていう」
☆まだそれを羽山先生は知らない…(笑)
「知らない(笑) いつか、ちょっと。『だんだん増えてるな』っていう…」
☆ 楽しみですね。羽山先生がそれを知る瞬間が。
「いずれ」
☆ それはすごいエピソードだと思います。羽山先生といいことがあると作ってしまう。かわいい。いいですね。羽山先生はすごい幸せ者ですね。
「そうです」
☆ 彼女が自分と嬉しいことがあるたびに嬉しくて食玩を組み立ててしまう寺野先生はかわいい。しっかりしてるんだけどそういうところがきゅんきゅんきますね。
「早めに出したいです」
☆ 早く読んでみたいです。エピソードはまだ作ってあるけど使いきれていないっていうのはまだ結構あったりするんですね。
「そうですね。色々描きたいものがまだ用意してあるので」
☆それは楽しみです。今の時点でも文化祭編が入って、学校イベントや授業もある。色々なラブラブ感が出てくるのが楽しみです。連載ですけど毎回読みきり感で読みやすいので入りやすさもあります。まわりの生徒が優しいとか、先生が優しかったり。坂東先生と宮沢先生も好きです。個人的に宮沢先生が好きです。ちょっとだけヒール感があるけど悪気がない大人が。坂東先生と宮沢先生のコンビ、この二人はどういう感じで考えていったんですか?
「その二人は、サブキャラとしてキャラクターデザインから入って。デザインを決めてからキャラ像を決めていった感じです」
☆ 先にキャラデザありきで決めて…
「羽山先生と寺野先生が決まったあとに隣に並べて、色というかカラーリングで決めていきました」
☆ あ! なるほど…!
「羽山先生が赤系統で寺野先生が緑で。じゃあ、あと青とか黄色のイメージカラーで、と。坂東先生が青で宮沢先生が黄色」
☆ そういうことなんだ…。坂東先生はイルカのイメージで。
「そうです。バンドウイルカ(笑)」
☆ 宮沢先生は豚さんなんですか?
「昔見た映画で『僕らの七日間戦争』(☆)っていうのが」
☆ やっぱりそうなんですか! エレーナって…じゃあ宮沢も、宮沢りえ?
「そうです。宮沢りえがやっていたキャラクターの女の子が昔飼っていた動物が豚で、その名前がエレーナなんです。その名前をそのまま戦車につけたっていう」
☆ 宮沢とエレーナって『僕らの七日間戦争』かなって思ってたんですよ。
「おおー、すごい(笑)」
☆世代的にちょうど中学・高校生の思春期くらいで、共感できた映画だったからすごい好きです。エンディングをTM NETWORKが歌っていたんですがファンなんです。
「そうなんですか。私も『僕らの七日間戦争』(☆)がすごい好きで、BGMを流しながら『はやてら』の作業していたり」
☆ あの映画自体、すごく好きだったので…びっくりしました。
「ご存知だとは…」
☆昭和世代だと当時ヒットしたので知っています。
「BGMに青春感のある曲が多くて。BGMとして聞くといいなって。(作中の)文化祭回、屋上に出るシーンがあるんですけど金網のさびとか、そういう部分は曲から…描いてあります」
☆言われてみれば百合として青春というところがテーマになってますね。
「そうです、そうです。しかもその曲名が『GIRLFRIEND』なんですよ」
☆ その曲大好きなやつですよ!
「そうです、それです! めっちゃ聞きながら」
☆ 嬉しいです。TM NETWORKの『SEVEN DAYS WAR』『GIRLFRIEND』は当時小室みつ子さんという方が歌詞を書いてらして、その方の書かれる歌詞がすごい好きだったんです。中学生って抑圧を受けているじゃないですか、何かと…。そこを汲みとってくれる歌詞をいっぱい書いてくれる、すごく共感を感じてはまってたし今も好きです。
「羽山先生が学生時代そうだったんですよ」
☆ なるほど。
「抑圧されている」
☆ ところどころ「初めてなのでわからない」って描写がありますね。
「そこを暖かく(寺山先生が)手当てしてあげる。で、今までの価値観から抜け出せるかなと」
☆そうだったんだ…。TMまで遡るとは思わなかった。めちゃくちゃどまんなかだったので今びっくりしています(笑) 他に参考にしたり取り入れたりしているものってありますか?
「ペン入れのときは『ドラえもん』をずっと流してます。映画の、旧の方を」
☆ 大山のぶよさんの方を…
「1話から25話をずっと日中流していて、それを聞いていると いいなっていうか…」
☆ 『ドラえもん』は今見てもいいのが多いですよね、大人になってからも見れます。
「そうです。いい話が多すぎて」
☆ 名作ばかりです。リバイバルされたりもしてますね。
「『ドラえもん』のなかで多く題材として出てくるのが恐竜なので」
☆ あー(笑) そっか!
「ロマンをかきたてる感じが」
☆ なるほど。
「環境問題なども言っている、動物をテーマにしたものがすごく多いんです。生き物、その部分が寺野先生とつながりがある」
☆ そのテーマ感、動物や共生は「デミライフ!」に絡んでる感もありますね。
「そうですね」
☆ キャラ全体が動物の名前っていう。共存とか共生とかそういうのが好きなテーマってことなんですか。
「そうですね。羽山先生がひよこっていう部分が、まだ自分の殻から抜け出してない。飛びたててないっていう部分でひよこなんですよ」
☆ おしりにカラがついている(笑)
「そうです(笑)」
☆ 寺野先生がティラノサウルスっていうのは飛びぬけて他の動物より大きいです。そこは愛情の大きさというか規模が違うとか?
「寺野先生って実は肉食女子なんですよ」
☆あ、なるほど!
「だけど羽山先生があれだから、ぴよぴよって。だからちょっとこう…まだ一気にがぶりといくわけにいかない」
☆ あはは(笑) じゃあ寺野先生はまだ本気出してないんだ、実は…。恐ろしい…。まだ手で弄んでるくらいな感じで、まだスケールのでかい愛が出てくるかも…。
「そうです」
☆ 楽しみです。言われてみれば肉食女子のしぐさがありますね。
「あります(笑) 羽山先生より先に、寺野先生が羽山先生を好きになっていて。愛の大きさを比べると寺野先生の方が大きいです。実は様子をみながら、だんだんこう…二人とも恋愛が初めてなのであんまりいきすぎるとまずいかな、でもスキンシップしたいな、なんとかしたいっていうのを寺野先生にはなるべくがまんしないよう、正直にしていてもらうようにはしているんです。けど、ちょっとまだセーブしている」
☆『はやてら』の二人が悩みやこだわりを抱えるときって、相手がいやとかでなく、自分をどうしたらいいのか、自分が相手のためにどうしたらいいのか悩んでいたりしてますもんね。
「そうです。だから羽山先生がもし悩んで何かできないっていうときは0パーセントになっちゃうんです。けど、寺野先生が悩んで何かしたいけどできないときは…まあ半分くらいは出す、みたいな」
☆ じゃあまだバランスが平衡的でないところもありつつ…。恐ろしくなってきた、ティラノ先生の色々なポテンシャルが(笑)まだ隠している、そうなんですね。
「それが文化祭の後編で少しは解放されると思うので」
☆ 楽しみになってきました(笑) 坂東先生と宮沢先生はコンビネーションがいい感じで、二人をサポートしています。この二人は恋愛までいかないコンビとして描かれているんですか?
「今のところは付き合っているとかそういうのはない。その二人のエピソードを描きたいとは思ってるんですけど、めちゃめちゃシリアスになっちゃう。現在の『はやてら』の世界観でいくとちょっとずれちゃうかなっていう。もし描くんだったら完全に別物として描いた方がいいかもという感じです」
☆ シリアスになるんだ…それはそれでぐっときますね。
「普段はおちゃらけてるけど、めちゃめちゃシリアスなんです」
☆ そういう大人コンビっていいですよね。根古先生は猫で、公塚先生はハムスターで、かわいすぎると思いました。この二人もキャラ造形はデザインから入りましたか?
「その二人はどちらかというと名前からです。名前を決めて、クラスを担当する担任と副担任、と決めて。名前は猫とハムスターなのでそれで対になるように絡めようかなっていう」
☆二人三脚の回が好きなんですけど、そこで二人でコンビネーションを組んだり組まなかったりもしてますね。六科(むじな)先生と隈元(くまもと)先生という方々もいらっしゃる。こうしてみると先生の数描かれてますね。
「サブキャラとしていつでも作品で羽山先生と寺野先生と色々関係性に関われるように出しておきました」
☆うまいなと思うのが、これだけ人数がいるんですけど毎回読み終えたときにはやてらの二人が結局心に残る。実際の二人のいちゃいちゃが心に残るようになっている。『はやてら』は如実に第一回からキスをするじゃないですか。初々しく付き合い始めたばかりだから、これからゆっくり育むのかなと思ったら一回目でキスするんかい、みたいな。その後もするじゃないですか…。百合キスへのこだわりを感じるんですけど、いつ頃から描くのが好きとか、いっぱい描こうとこだわるようになったきっかけはありますか?
「深夜放映の魔法少女アニメの同人誌で描いていたときからです」
☆ そんなに年季が…SNSで二次創作を描いていたと知って、言われてみれば、その原作にはまる絵柄です。一方が一方をリードする関係性がある。それが今までの作品にも引き継がれていて、一方が一方を引っ張ってサポートしていく感じが共通しているなと。
「そうですね。受けとか攻めとか、どっちがどっちについてもおいしい。片方が片方に百合キスするのもおいしいし。逆に百合キスするのもおいしいし。そこでリバ(リヴァーシブル)に目覚めた。『はやてら』もあっためておいたんです。受け側というかネコ側からするっていう」
☆ あっためていたものが今爆発している。
「そうです、そうです」
☆ 確かに境がない。どっちがどっちでも、っていいですよね。
「ソーシャルサービスで(描画)配信していますが、どっちがタチでどっちがネコ? というのはよく聞かれるんです。でもどっちでもない」
☆「どっちも」…それは大事というか、どっちがどっちと、ばしっと決めちゃってるとそれまでという感じもします。羽山先生も凛としていいと思いますし、寺野先生の方もわりとぐいぐいきているっていうのが明らかになりましたね。
☆教艦ASTRO:蕃納葱著・芳文社刊。
☆百合ドリル:原案・奥たまむし/KADOKAWA刊。お題に対し、作者が百合漫画を描くドリル形式の百合アンソロジー。
☆灰原さん:灰原哀。『名探偵コナン』(青山剛昌著・小学館刊)の登場人物。
☆僕らの七日間戦争:原作・宗田理/菅原比呂志監督。角川映画作品。1988年東宝系劇場にて上映。現在、同作の長編アニメーション化作品『ぼくらの7日間戦争』が上映中。こちらは百合表現があると百合好きの間で話題に。
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黄井ぴかち先生:作品リスト
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