島﨑信長インタビュー「受け取ったものを次の世代につなげていきたい」 アニメーション映画『思い、思われ、ふり、ふられ』

  by ときたたかし  Tags :  

大ヒット公開中の実写映画に続いて9月18日(金)より全国公開となったアニメーション映画『思い、思われ、ふり、ふられ』で山本理央役を演じる島﨑信長さんにインタビューをしました。潘めぐみさん&鈴木毬花さんのインタビューとあわせてお読みくださいね!

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●作品を拝見して、これはアニメーションではあるのですが、本当にそこに存在しているかのようなリアルな世界観がまず印象的で、魅力的な登場人物をはじめ、最後まで見入ってしまいました。

うれしいです。アフレコの時も黒柳トシマサ監督が、「そこに彼らが本当にいるようなものを作りたい」とまさしくおっしゃっていて、それは僕も常々目指してることでもあったんです。

●みなさんの想いと方向性が合致した作品になったのですね。

アニメーションのキャラクターではあるけれども、ちゃんとその世界に生きているということを目指したくて。だからといって過剰に脚色するわけでもなく、このキャラクターたちがそこに生きていたらどうするだろう?ということを意識していました。スタッフのみなさんと見ている方向が同じだなと感じて、いいものが作れるに違いないと気持ち良くやっていました(笑)。

●その相乗効果が作品に結実しましたね。

実際に上がった映像を観た時――なかなか普段は自画自賛できないタイプで、自分の中でもっとこうできた、次はこうしようみたいな反省点ばかり出てくるのですが、みんなの力が合わさってとってもいいものになったなと素直に思えたんです。自信作です!

●声優をしている上で心がけていることは何でしょうか?

僕が思う根本的な、みなさんに知っておいてほしい話をすると、声優っていい声の人、ヘンな声の人、面白い声を出す人っていうイメージがあると思うんですよね。だからテレビに出ている声優さんに「カッコいい声で一言お願いします!」「かわいい声で一言お願いします!」というシーンを目撃することがあると思いますが、普段やっていることは、俳優さんと変わらない。もちろんいろいろな声は出すけれども、その表現には感情の流れがあり、あくまでもお芝居をしているんですよね。

●あの“フリ”はテレビを観ていて違和感を覚えることは正直ありますよね。

その場でフラれて出す声は<流れ>がないので、実際の作中で出ている声とは違うんですよね。別にいい声でなくても声優はできるし、やっていくうちに耳障りの良い、所謂いい声にもなるんです。本当のいい声とは、なによりも作品の流れの中で輝く声だと思っています。どうしてもピンポイントで見ちゃうのですが、流れがまずあり、その中でお芝居をしていくものなんですよね。

●特に“ふりふら”みたいな作品では、みなさんの掛け合いも楽しみのひとつですよね。

そうなんですよね。アニメーションだけでなく外国映画の吹替えやラジオドラマなどでもそうですが、個人個人がどういう声を出すか、ではなくて、みんなで作る大きな流れの中でお芝居をしているということを知ってもらえたらうれしいなと思っていますね。ゲームなどひとり収録の場合は、そこが難しかったりもするのですが。

●今後はどのようなことにチャレンジしたいですか?

何でも機会があれば挑戦させていただきたいと思ってます。その経験は声の仕事にもフィードバックされていくと思うので。だから新たな何かっていうよりは、これからも声優の仕事に向き合って行きたいですね。

あと先輩と接する機会が多いのですが、いろいろなことを教えてもらっているので、受け取ったものを、今度は自分が若い世代につなげていくことができればいいなと思っています。

アニメーション映画『思い、思われ、ふり、ふられ』
9月18日(金)全国ロードショー
配給:東宝
(C) 2020 アニメ映画「思い、思われ、ふり、ふられ」製作委員会
(C) 咲坂伊緒/集英社

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo