黒柳徹子さんがInstagramに森茉莉さんとの思い出を綴り話題に 「今でいうボーイズラブ小説の先駆者」「三島由紀夫さんが大絶賛していらした」

黒柳徹子さんがInstagramに森茉莉さんとの思い出を綴り話題になっている。

森茉莉さんと言えばかの文豪、森鴎外さんの長女で、自身も作家、エッセイストとして活躍。特に「恋人たちの森」や「枯葉の寝床」などの小説で男性同士の耽美な同性愛を描き、現代のいわゆる「やおい」、「BL」と呼ばれるカルチャーに大きな影響を与えた人物だ。

5月11日、黒柳さんは自身のInstagramを更新し、現在外出を控えて自宅で森茉莉さんの作品を読んでいると紹介。加えて昔、通っていた寿司屋で一緒になった三島由紀夫さんが

「この時代に、あの小説『枯葉の寝床』『恋人たちの森』を書いた森茉莉はスゴイ!」

と絶賛していたことや、初めて出会ったパーティーの帰りに森茉莉さんのとんでもなく散らかった自宅に招かれ、1本のコーラを分けあって飲んだことなど数々の貴重なエピソードを語った。

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お部屋での自粛生活、1ヶ月半が経ちました。 私は、お家で、運動したり、読書したり、Netflixで海外ドラマを見たりしています。 最近の韓国ドラマ、面白いわね。 「愛の不時着」「梨泰院クラス」全話一気に見ました。 「さて、今、私が読んでる小説は、森茉莉さんの『贅沢貧乏」です」 森茉莉さんは、森鴎外の長女としても知られる作家です。 とっても素敵で、変わってて、ユーモアもあって、私が尊敬する女性です。 週刊新潮に、テレビを観た感想や批評を、実名で辛辣(毒舌)に書いてらしゃいました。 私は、そのコラムが好きで良く読んでました。 私のことは、いつもとっても褒めて書いてくださってました(嬉)。 当時、「話の特集」に連載していた女性達が主催するパーティに出席したら、「森茉莉さんが、いらしてる」と聞いて、お褒めいただくお礼と悪口を書かれないようにと思って、すぐに、お探しして、ご挨拶に行きました。 「私、黒柳徹子です。いつもお褒めいただいてありがとうございます」 私、びっくりした!! 森茉莉さんは、頭に花柄のプリントのスカーフを三角巾のように結んでいて、その下の方から、ボサボサした白髪の毛がはみ出していた。 少し肩が丸い感じで、地味目の黒いワンピースを着ていましたが、ほぺったは赤くて、とっても健康そうで、親しみやすい感じの方でした。 私が想像していた森茉莉さんは、繊細でインテリ風だと思っていたのですから、驚きました。 森茉莉さんは、今でいう「ボーイズラブ小説」の先駆者でもありました。 昔、私達(渥美清さんや杉浦直樹さんや、永六輔さんなど)が、毎晩行ってた、六本木のお寿司屋さん『鮨長』で、ある時、三島由紀夫さんとご一緒になりました。 私の隣にお座りになった三島由紀夫さんが「この時代に、あの小説『枯葉の寝床』『恋人たちの森』を書いた森茉莉はスゴイ!」と大絶賛していらした。 そして、「もし、映画化するのならば、主役は、岡田真澄(ハーフの美青年)、相手役の少年は太田博之(当時、誰もが認める美少年)がいいんじゃないかな」っておしゃっていたのが印象的でした。 森茉莉さんとは、そのパーティーで初めてお会いしたのに、とっても気があって、いろんなお話をしてくださいました。 パーティー会場を出て、そのまま2人でレストランへ。 私もたくさん食べますが、森茉莉さんも相当なものです。 だって、私たちは、パーティー会場でも、食事をしたのですから! 帰り、私の運転で、茉莉さんのお家までお送りしたら、降りぎわに「ちょっとだけ、お寄りにならない?2分だけ!」と私におしゃった。 当時、編集者の人も誰も森茉莉さんの家も部屋も見たことがなく、茉莉さんの生活ぶりはベールに包まれていた。 私は、あの素敵な小説を、お書きになる茉莉さんの暮らしに、とっても興味があったので、すぐさま「お邪魔させて頂きます」と答えた。 部屋に入り電気をつけると、ゴキブリが2~3匹ササーッて逃げた! 茉莉さんは、まだ玄関にいる私に向かって「徹子さん、コーラ、お飲みになる?」と、、、、、。 ドラマで、もし、あの部屋を再現するとしたら、どのくらいの新聞紙と、雑誌と紙屑が必要だろうか?と考えながら、 私は、部屋の中を見回しながら「コーラ頂きます」と答えた。 冷蔵庫は、小さい台所の茉莉さんの座ってる横長の椅子の後ろにあった。 冷蔵庫の扉は、椅子の背で塞がれていた。 茉莉さんは、凄い力で椅子を動かし、冷蔵庫の扉を開けた。 冷蔵庫の中には、何もなくコーラが1本だけが入っていた。 「栓抜き」と私が言うと、茉莉さんが「どっかにあるはず」とおっしゃって、私は流し台だの、テーブルの上の何も入っていない食器戸棚など、あらゆる所に頭を突っ込んで探した。 やっと見つけて「あった、あった」と私たちは大喜び。 「半分ずつ飲みましょうね」と茉莉さんがおっしゃったので、私は流し台にあったお湯呑茶碗を持って行き、茉莉さんは襖を開けて、なんかベッドの方から「あった、あった」とグラスを持ってきて、私たちは半分ずつにして乾杯をした。 あんな素敵な乾杯を、それ以後あまりした事が無いように思う。 「2分だけ!」が、お話ししながら、4時間経っていた。 あの時に、お部屋にお邪魔して、本当に良かったと思う。 小説やコラムでは知り得ない、茉莉さんの人間性や優しさが良く分かったからです。 その後、気の合う女友達っていう感じで、接していただきました。 夜中に電話が掛かってきて、すごい長電話になり、電話中に私はチョコレートを一箱食べてしまった事もありました(笑) お家の本箱に閉まってある本を、この時期に引っ張り出して、読み返してみるのもおもしろいわね💕

Tetsuko Kuroyanagi(@tetsukokuroyanagi)がシェアした投稿 –

もはや歴史的証言とも言える黒柳さんの投稿に対し、Instagram上では大きな反響が起こっている。

「なんて貴重で素敵なエピソードでしょう❗️✨森茉莉さんも徹子さんも😍」

「森茉莉さん大好きなのでエッセイでは知らなかった徹子さんとのエピソードを聞けて嬉しいです❤️」

「さらっと『私の隣に座った三島由紀夫さんが』(笑)歴史上の人物ですよ😁素敵なエピソード、楽しく読ませていただきました👩💓」

「登場人物が現代史の超有名人だらけですね✨ 重厚なエピソード、ありがとうございます😍」

「何事も楽しむ姿勢に、私も見習わなくてはという思いです😍 私も日頃読めなかった本を読むことにします。📚」

なお黒柳さんは今回の投稿で、読書のかたわらNetflixで「愛の不時着」、「梨泰院クラス」などの韓流ドラマを一気見しているとも綴っている。物事の新旧やカテゴリーにとらわれず、様々な知識を吸収しようという黒柳さんの姿勢は、人として豊かに生きる上で見習うべきところが多いのではないだろうか。

※画像はInstagramから引用しました

中将タカノリ

■シンガーソングライター、音楽・芸能評論家 ■奈良県奈良市出身 ■1984年3月8日生まれ ■関西学院大学文学部日本文学科中退 2005年、加賀テツヤ(ザ・リンド&リンダース)の薦めで芸能活動をスタート。 歌謡曲をフィーチャーした音楽性が注目され数々の楽曲提供、音楽プロデュースを手がける。代表曲に「雨にうたれて」、「女ごころ」(小林真に提供)など。 2012年からは音楽評論家としても活動。さまざまなメディアを通じて音楽、芸能について紹介、解説している。

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