1990’s~ コギャルにみる世代感

  by アゲジョ  Tags :  

 

1990年代、世を賑わわせたものといえば、何といっても”コギャル””丘サーファー”(海に入らない偽サーファー)と呼ばれた若者たちでしょう。深夜にもなれば”トゥナイト2”で連日のように、その生態が特集されました。その当時、世の中を賑わわせた若者たちも、もう三十代も半ば。家庭を築かれている方も多いことでしょう。

■その世代の特徴

”コギャル”とは、主に当時の女子高生たちをさす言葉で、茶髪ロングのアムロヘアー、日サロ(日焼けサロン)通いのガングロ、制服にミニスカート、なぜか自分が通っている学校とは違う都会の公立高校や、有名私立高校のカバンを持ち、そこには謎の書体で書かれた文字、足元はもちろんルーズソックス。仲間との連絡手段はポケベル。みんながそういった特徴を持っていたため、後姿で知り合いなのかを判別するのは、ほぼ不可能な状況にありました。間違えて彼女をナンパしてしまったというお茶目な話も聞いたことがあります。また、私服よりも制服のほうがモテるという暗黙の了解があったため、放課後はもちろん、休日でも制服で行動するという現象が日本各地で見られました。

その対抗馬として”しのはらともえさん”をオマージュにしたシノラーという人々も現れましたが、彼女たちの存在を脅かすには至りませんでした。コギャルたちは、多くの流行語を生み出しました。その一部を抜粋します。

■MK5(エムケーファイブ)=マジギレ5秒前

当時、広末涼子さんが”マジで恋する5秒前”という大ヒット曲も生み出すほどの社会現象にもなりました。ほかにも前述のポケベルを題材にした曲”ポケベルが鳴らなくて”を発表しています。

■チョベリグ=超ベリーグッド

対義語としてチョベリバ=超ベリーバッドがあります。

■KY(ケーワイ)

空気が読めない人。

応用:「昨日の合コンの男たち、ブサ面のKYばっかで~、チョベリバ!!ホントMK5だわ」

こんな言葉を日常的に話す女子高生が渋谷のセンター街をはじめ、片田舎の駅のベンチ、コンビニの駐車場など、町の至るところで目にすることができました。そののち、さらに下の世代のコギャルたちに対して、マスコミが無理やり”マゴギャル”というニックネームをつけて盛り上げようと目論んだものの、まったく浸透しませんでした。

 

■思考的背景

この世代は集団性意識が極めて高いという特徴があり、そこには彼女たちの親世代の特徴が大きく関わっています。親世代は団塊の世代であり、彼女たちは団塊Jr世代です。団塊の世代の成り立ちは戦後、昭和22~24年生まれの人々を指し、終戦を迎え、人々が一定の”安心””安全”を確認したことをきっかけに”第一次ベビーブーム”が起こりました。その世代が大人になっていく過程の中で、人々の情報の中心にあったのがTVでありマスメディアでした。現代のようにインターネットから情報を”選択する”時代ではなく、メディアからの情報に対して”受身”の時代だったといえます。

子どものころは街頭テレビに映し出される”力道山”の姿に、”みんな”で熱狂し、大人になる過程の中で、”東京オリンピック”が開催。それと同時にカラーテレビが普及し、その後”大阪万博”が開催。一部のエリートは”学生運動”身を投じるなど、世代一丸となって日本の”高度経済成長期”を支え盛り上げてきました。立場こそ違えど情報に対して人々は平等であったわけですから、必然的に”みんな”という”大衆文化”が生まれます。つまり大衆性が根底にある以上、例外的な発想を嫌うとった傾向がありますから、第三者の目を非常に気にする世代であるともいえます。そういった親世代の持つ傾向を踏襲している彼女たちなわけですから、雑誌などのメディアの影響をモロに受け、必然として”同じカッコ=安心”という現象を生み出したのかも知れません。

 

ネットでは若い世代に対して「ゆとり乙www」といった言葉をよく目にします。かつての自分たちの若かりしころを振り返ってみてください。相当酷かったはずです。プラトンですら「最近の若者は…」と嘆いていたそうですから、いつの時代も変わらないものですね。

 

 

 

画像: from flikcr YAHOO!

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