調理時間
炊く前40分、炊けたら40秒
材料 2人分
生筋子 ひとはら(鮭一匹ぶん)※生筋子です。すでにしょうゆなどで味付け加工済みの筋子を買わないように注意してください!
お湯
塩 スプーンこんもり5杯ぐらい
しょうゆ 適量
作り方
【1】
いくらのしょうゆ漬けを作ります。
生筋子をばらします。
生筋子がつかるぐらいの量のぬるいお湯に塩を大さじこんもり1杯分ぐらいいれて、手で静かに筋を取り、ほぐしていきます。塩水にするとよくほぐれてくれます。
お湯のぬるさの目安は、お風呂だったら絶対に風邪を引くレベルのぬるさ。半身浴するにしてもぬるすぎる!ぐらいのぬるさ。お風呂をあがって3時間ぐらい経って「あーこりゃ温水プールだな、もう一回わかさなきゃ」というぐらいのぬるさです。
あんまり熱いお湯でやると、いくらがゆで卵になってしまうので注意。
途中薄皮がむけてきてお湯の上澄みにふわふわ浮いてくるので、何度もお湯を変えながら根気よく。
これは3回目ぐらい↓ 白いものがまだ取り除けていない筋です。
5回ぐらい繰り返すとこんな風になります↓ お湯で白っぽくなってますね。もうそろそろOKです。白っぽくなったいくらをもう一度強めの塩水にくぐらせます。
こんなに鮮やかに!
【2】
いくらをざるからあげて、容器にうつし、ちょうどいくらがかぶるぐらいの量のしょうゆを入れます。そのまま冷蔵庫でしばらく寝かせます。
【3】
お米が炊けたらいくらをカレールーのようにどばーっとかけていただきます。
【ワンポイント】
薄皮を剥ききれないと歯ごたえのぷちんぷちんしたいくらになります。
●いくらライスのお話。
いくら丼。自分でつくるいくらのしょうゆ漬けは、秋だけの楽しみです。
大好きすぎて、語ることが多すぎるので、一回の記事では書ききれないので、
今回は本文をこれで終わりにしたくなってしまうほど、いくら丼が好きです。
いろんなアングルで撮りました。
塩漬けばかり買ってきていた母とは逆で、わたしはしょうゆ漬けがすきです。
お店のいくら丼を食べていて、いつも「ああ、うまいうますぎる。でも、でも、もうあとすこし、いくらがのってたらなぁ」といつも思うのです。
「一度でいいから、カレールーのようにどばっといくらがかかってるいくら丼、いや、いくらライスを食べたい! しかもスプーンでな!!! がばっと!!!!!」
という思いを抱えてきたので、就職して自分でお金を稼げるようになった22歳のとき、早速それを実行に移しました。
参考にしたのは花井愛子さんの「どん底の毎日ごはん」(芳賀書店刊)。
少女小説の東の横綱が氷室冴子さんなら、西の横綱は花井愛子さん。
そんな時代がありました。
月の印税収入1千万もザラだったという少女小説の大家だった花井さん。
ところが、その資産運用を父親に任せていたところから「ご破算でねがいましては」な生活が始まります。
父親が急死したことから、自分の筆一本で稼いだお金が一円も動かせなくなってしまい、あげくには親族内で起こる骨肉の遺産相続劇に巻き込まれ、そして不動産の差し押さえ。今日住む家にも明日の食費1000円すらにも事欠く生活が始まるのです。
こんなときは筆も鈍ります。小説を書く心境どころではなくなってしまった花井さんの窮地を助けるヒットには恵まれませんでした。
「どん底の毎日ごはん」は、そんな日々を救った「自分で作るおいしいごはん」の記録。もちろん材料費の安さは必須条件です。
花井さんは、著書の中で「生筋子を一腹買ってばらせば、何人前ものいくらが取れる」というのです。
作り方も簡単。ぬるま湯で作った強めの塩水でゆっくりゆっくり筋をほぐして、いくらの薄皮を剥いでいけばいいのです。
薄皮は、お湯のなかのいくらを静かにかき回していけば勝手にはがれてくれます。
そうして、作ったいくら丼。
とはいえ貧乏性のわたし、どうしても「どばー」をやるには二の足を踏み、お米をおかわりしては何度も何度も楽しんでいます。
ああ、これでまた太る…でもやめられない。
●ごちそうさまでした。